ドレイパーネクサスが総額125億円規模の新ファンドを組成、Tim Draper氏を東京に招きイベントを開催

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アメリカの有力ベンチャーキャピタルの一つである Draper Fisher Jurvetson(DFJ)は、DFJ Global Network の名前で、世界の主要各市場にスタートアップ向けのベンチャーキャピタル・ネットワークを展開している。DFJ Global Network の中でも、日本とシリコンバレーをつなぐ市場を対象に活動しているのがドレイパーネクサスベンチャーズで、同社は今月初め、総額125億円(6月2日現在の、LPからの出資約束金による)Draper Nexus 2号ファンドの一次組成を完了し、運用を開始したことを発表した

Draper Nexus 2号ファンドには、IHI、京セラコミュニケーションシステム、クラレ、コマツ、JNC、NEC、パナソニック、日立ソリューションズ、ファーストブラザーズ、富士通、富士フイルム、ブラザー工業、中小企業基盤整備機構など、日本の有名企業や政府関連団体から出資されることが明らかになっている。また、このファンドからは、統計分析webアプリケーション「adelie(アデリー)」を開発するサイカ、デジタルマーケティング・ツール「B⇒Dash」のフロムスクラッチ、企業における業務効率化プラットフォームを開発するチームスピリットといった日本のスタートアップのほか、AYASDICyPhy Works などアメリカのスタートアップも出資を受けている。

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今週金曜日、この2号ファンドの組成を記念して、DFJ の創設者である Tim Draper のほか、DFJ Global Network に参加するソウル、東京、ウィーン、ドバイ、シンガポールの各ファンドからパートナーを招き、Draper Nexus Startup Connections Event と題したイベントが東京で開催された。

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イベントの冒頭には、Tim Draper のほか、イー・アクセス(現在のワイモバイル)創業者および第二電電(現在の KDDI)共同創業者の千本倖生氏、マネックスグループ CEO の松本大氏を招いてパネル・ディスカッションが持たれた。このパネルは、Draper Nexus のマネージングディレクターである Quaeed Motiwala(DFJ-JAIC の時代から、彼は伝統的に〝Q(キュー)〟の愛称で親しまれている)がモデレータを務めた。

Q が日本とアメリカの起業家に違いについてパネルに意見を求めると、松本氏は人は違うものの、起業家に求められる素養は場所が変わっても違いが無いと答えた。千本氏は、自身が DDI が創業した80年代中盤を振り返り、大企業に立ち向かおうとするベンチャーを支援してくれる弁護士や VC はほとんどいなかったと話し、当時と比べ、現在の起業環境が恵まれていることをうらやんだ。

また、千本氏は、自身のイーアクセス創業期の苦労話を披露し、聴衆の笑いを誘った。

イーアクセスを共同創業者の Eric Gan と立ち上げ、安い金額で ADSL を提供し始めた。そうすると3週間後に、私の友人でありライバルでもある孫正義氏がこの市場に参入してきて(編注:ヤフーBB)、ミニスカートを履いた女性達を使って ADSL を安く売り始めた(会場笑)。

そして、我々はビジネスの見直しを余儀なくされた。幸い、その翌年にはイーアクセスは上場することができたが。

松本氏はマネックスの創業当初、ソニーから出資を受けたが、この過程で中間管理職を経由せず CEO と交渉を続けたことが出資を引き出せた成功の一因だっと語った。Tim は、日本の大企業との交渉で、一年以上にわたり FAX でのやりとりを重ね、ようやく 85,000 ドルの出資にこぎ着けたエピソードを披露した。

千本氏のイーアクセス、松本氏のマネックスが設立された90年代終盤と比べると、起業を巡る環境は大きく改善され、スタートアップと積極的に関わろうとする大企業のマインドセットも担当者レベルで大きく変化してきている。大企業では、事を運ぶのに時間がかかるからこそ、スピードというアドバンテージをスタートアップは最大限に活かせるという見方もできるだろう。

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パネルの終わりには、松本氏は、起業家へのアドバイスとして、手がけているビジネスを簡単にあきらめずに継続することをアドバイスした。大きなビジネスを作るのには時間がかかる。ベンチャーは毎日が大変な出来事の連続であるが、信頼できるチームと仕事をすることで、創業者はその苦難を乗り越えられると話した。千本氏は、手がけている通信ビジネスが月額50ドルとか、60ドルとかの規模のものであるから、お金を使うときには1ドルたりとも慎重であれと、常に従業員に言っていると話した。コストを1ドル節約することは、利益が1ドル増えることを意味するからだ。

起業・経営の神様とも讃えられる二人からのインサイトからは、改めてビジネスとは、小さな努力の積み重ねであることを思い起こさせられた。

イベントの後半には、日本で人気のあるスタートアップ6チームが、Tim Draper や DFJ Global Network のパートナー達の前でピッチし、評価の高かったチームには賞が授与された。(Grand Prize は獲得ポイントがタイであったため2チーム)

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Grand Prize winner: スマートドライブ

副賞:日本〜シリコンバレー往復マイレージ、起業家サポートアイテム(提供:日本航空)

車載デバイスとスマートフォンアプリによって、「車ログ」を管理できるサービスを提供。

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Grand Prize winner: アクセルスペース

副賞:日本〜シリコンバレー往復マイレージ、起業家サポートアイテム(提供:日本航空)

安価で打ち上げることができるビジネス向けの超小型衛星、衛星コンポーネントを開発。

AWS Prize winner: クービック

副賞:Amazon Kindle Fire HDX (提供:Amazon Web Services)

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予約システムクラウドの「Coubic」、サロンの当日・直前予約アプリ「Popcorn」を開発・提供

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Tim Prize winner: ランプサーブ

副賞:Tim Draper との30分間のプライベートセッション

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沖縄・東京・エストニアに拠点を構え、LED の点滅による高速通信システムを開発・提供

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