米バーチャルアシスタント「Zirtual」が突然サービス停止へ、直後にStartups.coに買収されるという急展開

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今週月曜日の8月10日、バーチャルアシスタントサービスを提供する米スタートアップ「Zirtual」が、一夜にして閉鎖した「事件」は業界に衝撃を与えた。Zirtualはそれまで550万ドルの資金を調達し、400名もの従業員が同社で働いていたが、突如ウェブサイトには「休止中」と表示され、ツイッターアカウント、Facebookページなどすべてのページが閉鎖されたのだ。

そして、2日後の水曜日になって、新たなニュースと共にZirtualは戻ってきた。スタートアップローンチプラットフォームのStartups.coがZirtualの買収に同意し、同社のサービスを来週月曜日の8月17日に再ローンチされると発表されたのだ。

これによって、突如職を失ったかのように思えたZirtualの400名の従業員の、少なくとも一部は仕事を継続できるようだ。

原因は?「自社採用に切り替えた結果、コストが増加し資金が尽きた」

なんとか救済策は示されたものの、何の警告も注意喚起もなく突然サービスが停止し、400名の従業員が解雇されるという事態は、関係者に大きなショックを与えた。

同社はこれまで550万ドルの資金を調達してきたが、シードラウンド以降はすべてデットファイナンス、負債による資金調達をしてきた。Zirtualが提供するバーチャルアシスタントサービスは、月額99ドルで「無制限のタスク」を提供するものであり、同社はこの定額プランにこだわっていたものの、一方でコストばかりが増える状況だったのかもしれない。

ファウンダー兼CEOのMaren Kate Donovan氏は12日に、Medium上で今回の事態が発生した経緯と現在の思いを綴っている。そこで、今回サービス停止にいたった理由を一言シンプルに「burn(焦げ付いた)」と説明している。Donovan氏曰く「個別の契約労働者から自社の採用へとシフトした結果、人件費が爆発的に上昇し、その結果資金が底をついてしまった」という。

何の予告もなく突然の閉鎖になってしまったのは、最後の最後までさらなる資金調達に奔走していたためだという。「さらなる資金調達に失敗し、次回の給与の支払いができないことが明らかになった時点で、法律に基づいて全従業員を解雇しなければならなくなりました。すべてのお客様に対するサポートもできなくなりました」と説明し、従業員はじめ関係者を失望させてしまった状況に対して悲痛の思いも綴っている。

なお、Medium上のコメントによれば、従業員に対して未支払い分の報酬はすべて支払われるとのこと。

Startups.coという救世主は見つかったものの、従業員や顧客との信頼関係を回復できるかどうかも含めて、今後の道のりはまだまだ険しそうだ。

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