ランニングを通じて地域の魅力を再発掘する「Runtrip」が目指す道

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Runtrip

近年、都内や街中を走るランナーが増えている。ダイエットなどの身体的な向上を目指す人だけでなく、最近では友人たちと一緒になって走ることの楽しさを求める人も多いという。後者の人たちにとって大事なのは「どこで走るか」だろう。普段の近所だけでなく、観光名所やちょっと珍しい場所で走ったりしてみたいもの。

そこで、旅先や出張先など、初めて訪れる場所の観光地を回れたり、地元の人だけが知っている有名な場所を共有し、走りたくなるランニングコースを見つけることができるのが「Runtrip」だ。

Runtripでは、さまざまな場所のランニングコースの説明や景観写真、マップといった基本情報だけでなく、ランニングの際に重要な荷物を預けたりシャワーが浴びられるランニングステーションの情報なども掲載されている。また、コースのおすすめの時間帯や信号の配置や数、コースの起伏、街灯の様子なども確認できる。

「人気がでてきたランニングコースを通じて、それまでにない地域の魅力を掘り起こし、地域活性へと紐付けたい考えがある」と、株式会社ラントリップ代表取締役の大森英一郎氏は話す。

「国内には1,000万人以上の市民ランナーがいると言われています。観光業界では、これまでイベントや箱もの観光地化によって時間や場所を限定した局所的な集客が行われてきましたが、それも限界があります。そこで、Runtripを通じて世界中にある“道”を地域のコンテンツと捉え、イベントや観光施設だけに頼らない持続可能な地域へのインバウンドに貢献できたら、と考えサービスをスタートさせました」(大森氏)

Runtripでは、プロのランナーなどコースディレクターと呼ばれる人たちがおすすめする道を投稿しており、コースディレクターがインフルエンサーとなりサービスの利用者を増やしているという。

「自社でコースの追加をするだけでなく、いかにコースディレクターを集めて、彼らにおすすめのランニングコースを投稿してもらえるか、に注力しています。また、トライアル的に地元のマラソン大会事務局のアカウントを開設してもらい、マラソン大会のウェブサイト上でのコース案内のツールとして利用してもらっています」(大森氏)

地域にとって、マラソン大会などのコースはいわばその地域の景観や魅力がつまった資産といえる。その資産をランニングを通じてより外に発信していこうという狙いがある。

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「第一回Tokyo・Nightラントリップ」の様子。

7月にリリースにしたRuntrip。最近では、TBSの世界陸上で解説を行っている金哲彦さんなど、市民ランナー指導のカリスマ的存在の人物にコースディレクターとして参画しているという。今後は、コースディレクターによる投稿の促進や、コースディレクターのPRにつながる部分に力をいれていきたい、と大森氏は話す。

サービスの運営だけでなく、リアルなイベントとしてコースディレクターが先導し、渋谷や原宿の裏道や階段、坂道などを走る「第一回Tokyo・Nightラントリップ」を開催。リアルイベントを通じてランニング仲間を見つける場作りや、コースディレクターを軸としたコンテンツづくりに力をいれている。

「コースディレクターならではの東京の裏道の知られる道を走ってみることで、参加者も満足したイベントになりました。このイベントも、ナチュラルエナジードリンクを作っている会社とタイアップするなど、スポーツ関連の企業と一緒になってさまざまな企画を今後の提供していければと考えています」(大森氏)

まずは日本国内の道とランナーをつなぎ、将来的には日本国内の道と訪日外国人、長期的には世界中の道と世界中のランナーをつなぐサービスを目指していくという。Runtripは、東京都主催のビジネスコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY」2014年度のファイナリストとしてプレゼンを行っている。こうした、地域の資源を活用したスタートアップも近年では登場している。今年も「TOKYO STARTUP GATEWAY」を通じて生まれるスタートアップに注目していきたい。

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