
Image Credit: Scott Eklund/Red Box Pictures
Microsoftが、Minecraftを利用して人工知能(AI)開発を促進する新プラットフォームについて、ひっそりと発表した(編集部注:原文掲載3月14日)。
プロジェクトのリーダーはKatja Hofmann氏。ケンブリッジに拠点を置くMicrosoftイギリス研究所のMachine Learning and Perception Groupに所属する研究者だ。このProject AIXは、Minecraftを使ったテストを行う機会をコンピュータ科学者らに提供し、AI研究の発展に寄与しようというものだ。
例えば、ニューヨークにいる大勢のMicrosoft研究者らが、Minecraftのキャラクターにプログラムされなくても山を登れるよう教え込むためにAIXを利用している。学習プロセスはトライ&エラーを伴い、実際に人間が何か新しいことを学習する際に利用すると考えられるツールやリソースがキャラクターに与えられる。

Image Credit: by Scott Eklund/Red Box Pictures
Minecraftを制作したことで最もよく知られているスウェーデンのゲーム開発企業Mojangは、2014年に25億米ドルでMicrosoftに買収された。以来、Microsoftはこのゲームを多種多様な興味深い方向へ売り込んでいる。Code.orgとのパートナーシップもその一つで、これはMinecraftのバーチャルワールドを利用して子どもたちにコードを教える手助けをすることが目的だ。またこの1月には、MinecraftEduの買収に続き、Microsoftは学校向けMinecraftの新バージョンについて発表した。
AIに関する最先端の研究にゲームを利用すること自体は新しいことではないが、Hofmann氏はMinecraftをこの目的には理想的なゲームだと考えている。ゲームが提供する機会に多様性があるためだ。「Minecraftは非常にオープンな世界を持っており、この種の研究に最適なプラットフォームです」と同氏。「サバイバルモードでも、友達との『建築バトル』でも良いですし、競争しても良い。私たち自身のゲームが実現できるのです。これはAIにとって非常にエキサイティングなことです。現在の能力以上の幅を持つゲームを作ることができるのですから。」
ゲームはAIの研究手法として優れているだけではなく、その賢明さを証明するためにも利用できる。ちょうど先週、GoogleのAIプログラムであるAlphaGoが囲碁で人間を打ち負かし、マシンラーニングとAIにとって画期的な勝利だと称えられた。
AIXは現在、Microsoft社内で利用されており、また大学関係者などの小規模なグループにも公開されている。そして今夏、このプラットフォームはオープンソースライセンスで公開され、誰もが利用できるようになる予定だ。オープンソースでということは、Microsoftは、AIXをより良くするためのコードを提供してくれる何百、何千という研究者を得るということになる。
Project AIXの詳細については次の記事を参照してほしい:Using Minecraft to build more intelligent technology
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