「ART STAND」でアートを借りて生活を彩ろう、寺田倉庫の「minikura」を活用したアートのシェアリング

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海外では、敷居が高いアートをより日常的なものにしようとする「Rise Art」のようなサービスが登場しています。とある調査会社が実施した調査によると、20〜30代の4分の1が、初めてのアート購入をオンラインで行っていることがわかっています。Rise Artのようなサービスが、この動きを加速化していることは言うまでもありません。

6,000点以上からアートをレンタル

日本で同様のアートシェアリングサービスが、2015年11月にサービスを開始した「ART STAND」です。会員数は1,000人、作品数は6,000点を突破。アートは平面から立体、絵画から小物までバラエティに飛んでいます。掲載のための審査に設けられた条件は、それが「一点もの」であること。現状は若手作家の作品が多いですが、審査さえ通れば、作家を生業にしていない高齢な人でも幼稚園児でも、ART STANDに自分の描いた絵を出品することができます。

ART STANDのギャラリーページから、好みのアート作品を探し出すことができます。アート別、作家別、またシーン別に探すことも。作品のレンタル期間は、1週間・3週間・1ヶ月で、作品ごとに異なるレンタル価格が設定されています。レンタルする以外に、作品を購入することも可能。平面作品の場合は購入されると作家に7割がキックバックされ、立体作品はレンタルの場合も作家にキックバックがあります。

サービス開始当初は、利用者を都心部でマンション暮らしをする若い世代と想定していましたが、実際には40〜50代の男性が特に多いそう。ギャラリーなどが近場になく、アートを購入する機会もないような人たちから支持されているようです。定期レンタルのプランは、自分の好みに応じてコーディネーターがアートを提案してくれるもの。定額プランはレンタルオフィスの備品としてなど、法人による需要も多く見受けられます。

リアルなギャラリー連動の企画展

「ART STAND」を手がけるのは、ART系ベンチャーの「モーフィング(moph)」と「寺田倉庫」の合弁会社です。アートのシェアリングを実現するにあたって一番難しいのは、取り扱いに細心の注意が必要な作品の保管と物流。ART STANDは、2012年に寺田倉庫が始めた「minikura」のシステムを活用。minikuraは、ダンボール単位でモノを預けられるサービスで、ファッションレンタルの「airCloset」や子ども服交換サービス「mycle」なども利用しています。

寺田倉庫では、minikuraを活用して「アートを盛り上げるサービス」を立ち上げることに。ゼロイチを作るところを得意とするMINIKURAチームですが、アート業界のネットワークが不足していました。そこを補えるパートナーはいないかと探していたところ、武蔵野美術大学卒業生が10年前に立ち上げたモーフィンに出会いました。

「お互いにアート業界の課題を感じていました。芸能界で芸能人がプロダクション事務所に所属するように、日本のアート業界では作家はギャラリーに所属する仕組みです。この古い慣習を取り除くこと。また年々、美術大学の卒業作品は大きくなっていますが、学生にはそれを保管する場所もお金もありません。ART STANDなら、それを解決しながら、彼らの作品をより多くの人の目に触れさせることができます」(寺田倉庫/ART STAND 柴田可那子さん)

ART STANDがまず目指すのは、アート作品10万点を集めることです。今後は、レンタルする人が自分好みのアート作品と出会うためのユーザエクスペリエンス向上にも取り組んでいくとのこと。また、物理的な倉庫を持っている強みを活かした取り組みも。7月21日より開催されるのが、展示会「アートを借りる展」です。Webサイトだけでなく、寺田倉庫 T-Art Galleryにて、レンタルできる作品を展示するとのことです。

 

 

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