製造業向け従業員スキル管理システム「SKILL NOTE」を開発するイノービア、インキュベイトファンドらから1.1億円を調達

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.7.4

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左から:イノービア 代表取締役の山川隆史氏、同社ITソリューション部開発グループの小野正貴氏、インキュベイトファンド 代表パートナーの赤浦徹氏

製造業の人材育成を手がけるイノービアは4日、第三者割当増資によりインキュベイトファンドから7,000万円を資金調達、また日本政策金融公庫から4,000万円の借入を行うことを明らかにした。同社にとっては、数年前に AZX Professionals Group から出資を受けて以来の、本格的な外部資金の調達になる。

イノービアは、信越化学工業の技術者だった山川隆史氏が2006年3月に設立。製造業の人材育成コンサルティングサービスを提供する過程で、人材のスキルや資格の一元管理を行うためのプラットフォームとして「SKILL NOTE」の前身となる「ものづくりプラス」を開発。ユーザが製造業以外の分野にも広がってきたため、今年6月に「SKILL NOTE」にサービス名を変更した。

製造業を営む企業では、人材配置や採用計画を練る上で、工程毎にどの社員がどのようなスキルを持っているかを把握する必要があるが、この種の情報管理は、現場の部署に委ねられスプレッドシードを使って行っていることが多く、全社の情報を一元的に管理したり、人事部門が現場の状況をタイムリーに把握したりすることが難しい。山川氏によれば、同じ企業でも工場が2カ所以上になると、他工場の人材スキルの情報を知るのはほぼ無理で、例えば社員の一時的な異動で間に合うことがわからず、人材配置のムダが生じてしまうのだという。

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SKILL NOTE 上でのスキル管理画面の例

SKILL NOTE では、資格管理、スキル管理、受講履歴管理、研修ポータル、キャリア管理の5つの機能を、ウェブベースのダッシュボードで提供。人材育成の PDCA サイクルを支援するとともに、情報の編集権限を複数用意することで、適切な情報管理を可能にした。山川氏の古巣でもある信越化学工業を皮切りに、現在では、ヤマサ醤油、リコーインダストリー、JFE スチール、古野電気など50社以上で導入されている。特に JFE スチールでは、社員13,000人を対象に全社導入されているのだそうだ。

これまでにも、日本内外の大手 ERP が人材マネジメントシステムや人事システムを提供してきたが、その多くは人事部門を対象としたもので現場での利用は想定されていなかった。SKILL NOTE により、部署を横断した人材スキルの管理が可能になり、特にモノの作り手や職能人材の高齢化が進む日本では、どのタイミングでどのスキルを持った人材が定年退職するのかを把握し、タイムリーな人材獲得やスキルトランスファーの実施に効果が望める。

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SKILL NOTE の操作例

国際規格である ISO9001 にも、職務能力の観点から力量管理の項目が設けられているが、製造業を営む企業が、実際にどのような運用を行うべきかの方法については論じられていない。製造業のグローバル化に伴い、品質管理の一環として、SKILL NOTE のようなしくみを使った、人材スキル管理の必要性はこれまでに増して高まっていくだろう。そのせいか、SKILL NOTE もイノービアから営業しているというより、お客さんが SKILL NOTE を見つけてくれる方が多いそうだ。日本内外の企業から英語対応に対する要望も数多く寄せられていて、今回のインキュベイトファンドからの出資では、「Global Scale」「Legacy Market」「Enabling」をキーワードとする、同ファンドの3号ファンドの投資スコープにも合致したのだという。

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イノービアではこれまで、人材スキル管理のコンサルティング業務の一環として、半ばブートストラップ的に SKILL NOTE を開発してきた。これまでにも数ヶ月に一度のペースで機能追加を実施してきたとのことだが、今回の調達を受けて、開発スピードのさらなる加速が期待できるようになる。

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