〝売れるトーク〟をパターン解析するAIスタートアップのコグニティ、シリーズBラウンドで1.9億円を資金調達——XTech Venturesやディップから

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左から:藤原直哉氏(XTech Ventures アソシエイト)、西條晋一氏(XTech Ventures ジェネラルパートナー)、河野理愛氏(コグニティ 代表取締役)、進藤圭氏(ディップ 次世代事業準備室 室長)
Image credit: Cognitee

認知バイアスを取り除き、従業員のトレーニングやモニタリングに役立てることができる企業向けサービス「UpSighter(アップサイター)」を開発・提供するコグニティは15日、シリーズ B ラウンドで1.9億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、XTech Ventures と求人サイトや AI.Accelerator 運営のディップ(東証:2379)。コグニティにとって、今回の調達は2017年12月に実施したプレシリーズ B ラウンドに続くもので、これまでの累積資金調達額は5億円に達した。

コグニティは、代表取締役の河野理愛氏が学生起業、ソニーのビジネス戦略部門や DeNA を経て2013年に設立。UpSighter は、スピーチ、セールストーク、プレゼンテーションなどを解析・数値化し、より人に伝わりやすいコミュニケーションを提案するサービスだ。セールスパーソンのトレーニングなど、これまで外部コンサルに頼るしかなかった人材開発のシーンで、大企業から多くの支持を得ている。

みずほ銀行をはじめとする金融機関、中小商社、不動産会社などセールスパーソンが多く在籍する企業が導入。UpSighter としての自社ブランド販売に加え、エムスリーが MR(医薬情報担当者)向けに 「MR Insighter」、CRM コンサルティングのスマートウィルが「AI スマートトーク」として OEM 展開するなどホワイトブランド戦略も功を奏した。金融業界向けの「UpSighter for Finance」、河野氏の NHK Eテレ「プロのプロセス」出演をきっかけに開発したピッチ解析 SaaS「 UpSighter for プレゼン!」など機能特化版や限定版も高評価を得ている。

金融機関向けに営業していた際のカウンターパートが入社してくれたことがきっかけになり、金融機関のユーザが増えた。MR 経験者もそう。業界大手の経験者をはじめ、その業界に精通している人に入社してもらい、業界ごとに営業展開していく戦略がうまく行っている。(河野氏)

UpSighter の仕組み(クリックして拡大)
Image credit: Cognitee

UpSighter はこれまでにのべ120社以上に導入、ユーザ数は対象となる各社の従業員の人数ベースでカウントされるが、約6割がリピートユーザだという。機械学習だけに頼らず、調査対象の従業員の会話をアノテーション(タグ付け)する作業を人と機械学習のミックスとしたことが、結果的に有機的なデータの蓄積につながった。

2年ほど前は誰もがなんでも完全自動化が大事だと思っていたが、ようやく、自動化の部分と人がやる部分を組み合わせないといけないということが、わかってもらえるようになった。セールストークやプレゼンといった、企業の「おもてなしデータ」をたくさん持っていることがコグニティの強み。1つのトークあたり40程度はアノテーションできるデータがあるので、機械学習を得意とするインターン生らには格好の材料となっている。(河野氏)

コグニティには現在190名ほどの従業員がいて、その約8〜9割はアノテーションワーカーと呼ばれる録音されたセールストークやプレゼンからタグ付けや解析を行う人たちだ。アノテーションの作業は、河野氏の出身地である徳島などで  Uターン/I ターンした人たちが主にリモートワークで行なっている。彼らに加え、各種業界を熟知した営業や事業開発担当者、機械学習を得意とする大学生や卒業生などからなる絶妙な混成チームがコグニティのサービスを支える。

今回の調達を受けて、コグニティでは共通で使えるアルゴリズムを開発し、中小企業や部署単位でも使える、より裾野の広いサービス展開、また、各事業領域のパートナー企業との協業も含めて、ニーズの高い事業領域に合わせたサービスを展開を目指すとしている。