シンガポール発、船舶の売買プラットフォーム「Marine Nexus」——数々のピッチコンペで入賞し、現在シード資金を調達中

SHARE:
Mr Eric Chean (left) and Mr Timothy Ong (right) at the finals of the University Startup World Cup in Denmark. Photo credit: University Startup World Cup.
デンマークで開催されたUniversity Startup World Cup 決勝にて
Eric Chean氏(中央左)とTimothy Ong氏(中央右)
Photo credit: University Startup World Cup

現代ではあらゆるものにオンラインプラットフォームが存在するが、26歳のシンガポール人 Eric Cheam 氏と Timothy Ong 氏は海運業向けのものがないという点に目を付けた。これが Marine Nexus を立ち上げたきっかけだ。

現在成長中の同社は今年3月にこの2人が共同設立し、世界中のオフショアサポート船などの船舶の売り手と買い手、またチャーター主などを結ぶオンラインプラットフォームとなっている。

船舶向けのワンストッププラットフォーム

Eric 氏はこのプラットフォームを「船舶向けの PropertyGuru(シンガポールの大手不動産会社)」としており、船舶の買い手とサプライヤーをつなぐワンストッププラットフォームがこれまでなかったことが Marine Nexus の設立につながったという。

この業界は従来型の色合いが強く、仕事に必要な船を探すにもかなり時間がかかります。ディレクトリのようなものが一切ないのです。ホテルや不動産、航空券と違って、Agoda や Skyscanner のようなものはありません。潜在顧客に会うためは、企業が各国を飛び回って展示会に参加しなければならないのです。(Eric 氏)

シンガポールマネージメント大学(SMU)で会計学を専攻し、来年卒業予定の学生である彼は、海運産業で5年以上働いている。彼は船舶仲立業を行う Oceanus Offshore の設立者だ。同社は彼がドバイにある Saudi 海運会社で1年ほど働いた後の2012年に立ち上げた。

困難な時代にいる企業を救う

Eric 氏は、海底油田やガス分野が低迷するこの時代に、オフショア船舶サービスの需要が減少するという事態に見舞われている企業をこのプラットフォームによって救いたいと考えている。

多くの企業が無理のない範囲でコスト削減を行っても利益を実感できない中で、彼らは新たに費用効率の高いオンラインマーケティングとエンゲージしたいという考えを強めています。Marine Nexus によって効率性を最大限にしたり、より多くの潜在顧客にアプローチしたりできるようになります。今のように展示会を渡り歩くことはありません。(Eric 氏)

船を買いたい人やチャーターしたい利用者は Marine Nexus を利用して好きな船を選び、仲介人やオーナーと直接コンタクトをとることができる。彼ら売り手側もまた船舶のリストを無料でサイトに掲載することができる。

Marine Nexus の将来

Marine Nexus には現在、アジアや中東の65を超える企業が400近い船舶を登録している。同プラットフォームには毎月1,000人以上のビジターがおり、ローンチ以降、潜在顧客と売り手とのマッチングが100件以上行われている。

各取引は直接売り手と顧客により行われるため、同社の収入源はプラットフォーム上にある広告や特定企業とのパートナーシップによるものだ。

Eric 氏は今後の拡大計画について明言を避けたが、彼らが現在力を入れているのは中東や西アフリカ、カスピ海のマーケットで存在感を強めていくことだと話した。

さらに同社はマレーシアのオフショア海洋サービスの大手でロジスティクスビジネスも行っている Satumarin と大規模な契約を取り交わしている。これにより、世界中にいる Marine Nexus のクライアントが Satumarin のサービスを受けられるようになる。

投資

Eric 氏と Timothy 氏が Marine Nexus にこれまで投資した額は7,000米ドルを超える。

先週(10月第4週)、彼らチームはデンマークで開かれた University Startup World Cup のファイナルで上位6位に入賞し、5,000米ドルの賞金を手にすることができた。世界規模のコンペの第2弾となった今回、24ヶ国から50チームが参加した。

また、2015年11月にはシンガポール国際商工会議所と SMU が主催した国内のイノベーションコンペで入賞し、1万4,000米ドルを獲得している。

現在、5人のメンバーから成る同スタートアップはシードステージ資金調達を求めている。

この記事は、Tech in Asia のキャンパスアウトリーチ活動の一環で執筆されたもので、当社は南洋理工大学の Wee Kim Wee School of Communication and Information(WKWSCI)と連携している。Tech & Startup Reporting Lab の学生は時事的な成果を披露することができ、ここの学生は One North Blk 79にある報道室からレポートを行っている。この協力作業による記事はこちらから

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する