消費者の47%が購入の意思決定に活用ーー拡大する顧客レビューを分析する A.I スタートアップ4社を評価

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Image by Zhifei Zhou via Attribution Engine. Licensed under CC0.

既に2010年の時点でアメリカ人の4分の1(24%)がオンラインで製品のレビューやコメントを投稿しており、インターネットユーザーの78%が製品リサーチのためにオンラインを利用している。しかしその統計はもう古く、数字はさらに高くなっている。ここ最近の BrightLocal の調査によると、2016年に消費者の91%がオンラインレビューを定期的または時々読んでいると回答し、47%がローカルビジネスの意見ーーつまりはレビューの文言の具合だがーーこれを購入の意思決定に考慮していると発表した。

また BrightLocal では74%の消費者は、肯定的なレビューがあるとローカルビジネスをより信頼していると答え、60%が否定的なレビューがあるとビジネスを利用したくないと答えているという。したがってレビューは重要であり、その表現された内容は重要になってくる。意見、ウェブ、社会階級、速度などのレビュー内容を理解するためには、自動自然言語処理(NLP)や他の形式の AI が必要だ。

BazaarvoicePowerReviewsYotpo などの商用レビュー管理プラットフォームのおかげでブランドやオンライン商取引サイトはレビューを収集、再配置することで売上を上げている。これは重要な機能だ。Bazaarvoice は「当社顧客の平均65%が一回の訪問で売上を得ており、52%が評価とレビュー付きの製品ページで利益を得ている」と報告している。

しかし、全てのプラットフォームが自身の製品やサービスについて NLP(自然言語処理)を利用しているわけではない。これは私が興味を持っている会社、星付き評価というよりは実際にレビューで言われている内容を見ている会社のことだ。 4つ星評価を見て、それからカスタマーレビューの分析を見て自分で考えてみよう。

顧客レビューにはいくつかの分かりやすい情報が含まれている。 星の評価以外にもカテゴリーに分類された評価があり、例えば Airbnb では精度、コミュニケーション、清潔、場所、チェックイン、価値などのカテゴリーがあるが、これらに説明的な力は備わっていない。

したがって我々にはレビューテキスト、つまり自由形式の顧客の声を受け止める項目を設けているのだ。このテキストはストーリーを伝え、そしてこの物語が売上に繋がるキーとなるため、ここで話された商品やサービスの側面、ストーリーを表現するための言葉、そこに隠された感情を知る必要がある。

レビューテキストについて、スタンフォード大学の Dan Jurafsky 教授はレビュー言語、特に日常言語における自然言語処理について説明しているように、レビュアーについて多くのことを明らかにしている。(Jurafsky のデータ科学研究はレストランやレビューアが食べ物ーーこれはメニューに書かれている言葉と価格の間の関係性を含めーーについてどのように話しているかを解明している。また、NLP と AI は、悪口を言う言語を特定し、詐欺的なレビューを検出することでレビューの節度を守ることができる。が、これは別稿にてお伝えすることにしよう)

最終的にレビュアーの個性が重要になってくる。年齢、性別、地理的位置などの人口統計的特徴、評判やレーティング、ソーシャルプロファイル、レビューの新しさなどが関係してくる。

複雑なデータシナリオについて説明しよう。 Bazaarvoice のブログ記事は、データサイエンスの課題のいくつかを解説しているが、解決策はカバーされていない。 私がこれからご紹介するスタートアップは、分析ーーNLP、機械学習やその他の AI ーーを導入し、課題に対応している。

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上:Revuze 分析ダッシュボード

1. Revuze は、ブランドの健全性に加えて製品とその属性に焦点を当て、いくつかの差別化要因を生み出している。

異なった方法で人々が与えられた話題について話していることを発見するために注意喚起する機能と、「良い」とか「幸せ」「ひどい」などの単語を使用するような明確な手がかりがないフレーズで感情を識別する機能だ。

Revuze の分析はレビューに限定されていない。 同社の技術では、アンケート回答、コールセンターのテキスト、ソーシャルメディアからトピック、キーワード、センチメント抽出に NLP を利用する。 ソーステキストは、半監視された機械学習によって生成されたカテゴリー分類学に対して分析される。 同社は2015年秋、イスラエルのカエサリアにある Nielsen Innovate Incubator から輩出され、製品体験管理(PEM)に注目して「総合的な製品とサービスの経験を顧客に認識させる」ことを可能にした。

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上:Aspectiva のウェブサイトに組み込まれた Crowd Opinions の概要

2. Aspectiva は、レビュアーの製品属性および機能に対する認識に焦点を当て、局面に応じたレビューの集約および製品検索を提供する。

機械学習によって実施された局面抽出は、バックグラウンドでの分析と結び付けられ「すべての製品の真の用途と完全なユーザー体験に基づいて作られた推奨事項」を明らかにしてくれる。

結果の画像ーー商品の側面と感情評価が示される画像ーーは、オンラインコマースサイトに組み込まれている。 上記の Brandwatch レポートによれば目標はコンバージョン率と販売収益を引き上げることだ。 また Aspectiva は API を提供しており、顧客は Aspectiva の分析に独自のフロントエンドを構築して製品の属性を把握することができる。

Aspectiva は「消費者が書いたテキストをスキャンし、人々が明白な『感情的な言語』そのものを超えて書いた製品に対して幸せであるか不満を持っているか、どのように人々がコメントしているかを学び、実際の文章でも感情を判断する」という NLP 機械学習の組み合わせを展開している。

この機能は Aspectiva 特有のものではない。Revuze は同様のことを主張しているが、多くの競合製品に見られるよりも確かな感情検出が可能だ。

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上:SmartMunk の顧客満足度ダッシュボード

3. SmartMunk story.ly は製品とサービスの属性ではなく、満足度のドライバーとなっているものを中心に解析している。

原則は顧客満足がビジネス結果を推進することに基づいている。だから、顧客を幸せにする要素や失望する要素に焦点を当てることが重要だ。同社のハイブリッド手法は、ブランド製品の開発とマーケティング機能を対象とした、消費者が作成したコンテンツに見られる質的な洞察を定量化している。

「story.ly は、売り手のプラットフォームからフィルタ変数を含むレビューを直接収集する。 数秒で、あなたのスマートなオンラインレポートにそのストーリーが表示される」。

特に顧客満足度ダッシュボードの右下に表示されている存在論のグラフィックが好きだ。 マーケットリサーチエージェンシー Dialego も運営している、SmartMunk の創設者である Andera Gadeib氏は、満足感ドライバーのカテゴリー表現であるオントロジーに取り込まれた機能的および感情的な属性を指摘している。

テーマクラスタについては、TF-IDF の用語ランク付けを介して、入力セット内の用語発生の相対頻度に基づいて生成される。 Gadeib氏は「顧客はコード化されたデーターーつまり、満足度ではなく製品属性に基づいて分類された消費者作成のコンテンツーーを見るのが好きだ」と語っている。

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上:SentiGeek のレビュー分析テクニカルアーキテクチャ

4. SentiGeek は、発売前の顧客からのフィードバック/感情評価の会社である。

(私は非公式に、こちらのオンラインビデオにてその特徴と可能性を示している創業者の Mara Tsoumari氏に助言している)。

オンラインコマース、市場調査、マーケティング、金融機関、行政などは感情評価に期待している市場だ。これらの製品は、レポート、分析、および監視オプションをサポートするように設計されている。 意見の語句と細かい感情を抽出し、顧客プロファイルを生成する能力を持ち、またレビューと意見保持者による分析を提供する。

これは SentiGeek を差別化するレビュアー重視の分析だが、イラストレーションのためにインターフェイスのスクリーンショットを提供するというよりも、SentiGeek の技術アーキテクチャーを見るのが面白いと思っていた。 構文解析と固有表現抽出機能を備えた革新的なオープンソースの NLP パッケージである spaCy の利用に注目する必要がある。 RDF はセマンティックウェブ標準として作成されたリソース記述フレームワークで、ドメイン固有のアスペクト・感情評価用に設計されている。

自分で取り組む場合の選択肢

あなたが強力なデータ論争と分析スキルを持っているなら、DIY は一つの選択肢となる。 DIY オプションは、データ解析ワークベンチ内のレビューテキストを分析することだ。

例えば Aylien は RapidMiner での顧客レビューのためのテキスト解析プロセスの構築について説明している。また、MeaningCloudはExcel でのテキスト分類をカバーしている。 データ科学のスキルをお持ちの方は、おそらくgensimNLTKStanford CoreNLP(Python ラッパーを使用)、TensorFlow などを使用して、Python を選択することをお勧めする。

Python のネイティブ情報抽出に spaCy NLP – SentiGeek の選択肢を使用することができるし、 spaCyは、TensorFlowKerasScikit-LearnGensim、その他の Python AI エコシステムで機能する。

また、商用の NLP サービスを適用して自分で構築することもできる。 John Kelley氏は、Review(Lexalytics の技術を使用している)での彼の研究について、レビュー解析が提供する可能性について語っている。 Kelleyのプレゼンテーションはユーザーエンゲージメントを向上させるための感情を活用するのは時代遅れではあるものの興味深い内容ではある。

先を見据えて

機能と経験の両方に焦点を当て、消費者が製品とサービスの認識を共有し続けることを期待しよう。

「口コミ」問題、購買決定やレビュー、ソーシャルメディアへの投稿の影響は、これからもおそらく大きくなるだろう。 NLP、機械学習、データサイエンスなどのアナリティクスは、ボリュームインパクトとの組み合わせや、エンティティ、感情、多様なメディアにおけるコンテキストを検出できるテキスト分析(および画像とビデオの分析)に最適なソリューションとして注目を浴びることだろう。

もしあなたがブランドを運営する企業であれば、ベンダーやスタートアップからのアナリティクスソリューションを構築または採用する必要がある。さもなければ、あなたには失敗するリスクを負うことになるだろう。

【原文】
【via VentureBeat】 @VentureBeat

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