
Image Credit: BioLumic
かつて、科学者から「植物を含む、全ての生命にとって有害なもの」だと考えられていた紫外線。しかし、ニュージーランドのスタートアップ BioLumic はその固定概念を覆し、紫外線を使って農作物の生産量を改善させるべく、500万米ドルの資金を調達した。
同社によると、紫外線を利用することにより、生命を脅かす病気の進行を遅らせ、植物に良い影響をもたらす効果があるとされる。それにより、より丈夫で、魅力的で、生産性の高い農作物を育てる能力を農業従事者に提供できるという。
CEO である Warren Bebb 氏は声明で以下のように語っている。
光は遺伝子組み換え、化学物質の使用、その他自然に反する育成方法に関する不安を一切排除し、安全に植物を操作できる、極めて有効なバイオツールです。BioLumic は育成開始時に、処理として光を利用する唯一の企業です。植物を育成させる重要な段階で、紫外線を豊富に含んだ光を短時間当てると、種子や苗木は病気や害虫侵入に対する抵抗力がより効率的に強化され、最後まで水や養分を土から効率的に活用できる特性を持つようになります。
この投資ラウンドは、アグリテック投資家 Finistere Ventures と Radicle Growth がリードした。Rabobank が最近ローンチした Food & Agri Innovation Fund、そしてニュージーランドからの既存投資家らも参加した。

Image Credit: BioLumic
Finistere Ventures のパートナー Arama Kukutai 氏は BioLumic について以下のように語っている。
私たちは、継続可能なアグリテックの概念を変えようとする世界中のデータドリブン型スタートアップに対し、積極的な投資を行っています。BioLumic の事業は、まさに私たちの理想にぴったりとはまったのです。従来のケミカルやバイオを補完させる UV 処理の活用で、植物の特性をさらに強化することが可能になり、農業に携わる人たちに、農作物の生産量を増加させる新たな方法、そして活力を与えるでしょう。
種子や苗木を処理するこの UV システムは、BioLumic 独自の技術ですでに特許も取得している。収穫の安定性向上、収穫量の増加、病気に対する抵抗力の強化など、長期間にわたり農作物にメリットをもたらすテクノロジーだ。高価値のある商品を生み出すため、すでに世界規模で商業利用の段階に入っており、カリフォルニアとメキシコで大手の生産・加工会社と連携したところ、作物の生産量が最大22%アップしたという。また、スペインやイギリスでは商業化に向けテストを実施中だ。
BioLumic は、紫外線と植物の相互作用を専門とする有名な光生物学者 Jason Wargent 氏によって設立された。ニュージーランドにあるマッセー大学のアグリテック研究所からスピンアウトされた企業である。同社の技術は、10年以上にわたる紫外線関連の光形態形成(正しい紫外線処理を行うことで、根や葉の発達を促進し、二次代謝を活性化させるプロセス)の研究に基づいている。育成チームは科学者とエンジニアで構成されており、現在 Wargent 氏による科学的発見を商業利用につなげ、世界の農業における栽培作業を変えようと尽力している。
まずはレタス、ブロッコリー、イチゴ、トマトの苗木のみに専念するが、同社は調達した資金を使って研究をさらに加速させ、種子に特化した技術を商業化し、今後数年間ですじまき作物や野菜の種子へ拡大することを目指すという。さらに、ニュージーランドとアメリカでチームを拡大していく予定だ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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