VALUは復活するのかーー千葉氏が4500万円を個人出資、小川氏に聞く「VA優待に代わる個人支援の仕組み」とは

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2018.7.24

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写真左から:個人投資家の千葉功太郎氏とVALU代表取締役の小川晃平氏

個人を支援するソーシャルネットワークVALUは7月24日、個人投資家で実業家の千葉功太郎氏を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は4500万円で、新株の発行にはJ-KISS型新株予約権方式が採用される。千葉氏は昨年12月にも同社の第三者割当増資を引き受けておりこれが2回目となる。

なお、VALU代表取締役の小川晃平氏に確認したところ、同社にはこれまで個人投資家として堀江貴文氏、キメラ、デザインプロダクションのパーティーが出資者として参加している。これらの出資額や株式比率等の詳細は公表されていない。

VALUの創業は:2016年11月。ブロックチェーン技術と分散化の思想で個人を支援するプラットフォームとして2017年5月にβ版が公開された。ユーザー(発行者)は「VALU」という仮想ステータスを発行し、これをビットコインなどの暗号通貨で販売することができる。支援者はVALUER(バリュア)となり、そのアイテムを購入する代わりに「優待」と呼ばれる対価を得ることができる仕組み。公表されているユーザー数は10万人。

VAはVALU内で他の人と売買することも可能で、ユーザーの活動注目度やVALUERコミュニティの質によりVALUの価格が変動するマーケットの機能も提供している。今回の増資でVALUはサービスの開発、運用体制を強化するとしている。

VALUをめぐる疑問ーー小川氏に聞く、個人を評価するプラットフォームの可能性

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さて、VALUが久々に表舞台に戻ってきた。数百万円の出資が多い個人の出資額として、破格とも言える評価をしているのが千葉氏だ。VALUには初期の頃から発行者としても参加しており、今日時点で175名のVALUERを抱える「VALU通」でもある。

また筆者もVALUが公開された後、千葉氏と同じ時期ぐらいに参加してこのソーシャルネットワークの可能性を体験した一人でもある。「VALU」というマーケットを手段に、個人が個人によってエンパワーされる分散した世界観は、中央集権の強いインターネット世界とは違う新しいパラダイムを感じさせてくれた。

その一方で大変な事件も発生した。昨年末に話題となった「VA全売り事件」だ。ここではその事件の詳細は割愛するが、この出来事によってVALUはその仕組みの脆弱さを露呈することになる。

個人を個人が支援する新しい世界を構築するのか、それとも消費者保護もままならないグレーなサービスに終わってしまうのか。VALUの小川氏に実際に利用してみて感じたいくつかの疑問をぶつけてみた。(以下、太字の質問は全て筆者。回答は小川氏)

まず最初に、VALUの面白さでもあり、また難しさの要因となったのが売買できるマーケットの存在だ。個人を支援する手法としてクラウドファンディングがあるが、これをソーシャルネットワークと組み合わせるということは考えなかったのか

元々私がフリーランスで活動していたこともあって、社会的な信用がない個人が活躍できる場所をブロックチェーン技術を使って作ってみようというのが立ち上がりのきっかけだったんです。会社には時価総額のようなものがあるのに個人にはない。それを可視化してみようと。また企業の場合は受けた支援をイグジット(株式等の売却)という方法で返すことができる。それには2次流通させる場所が必要だった。

VALUがVALUであるゆえんはこの売買マーケットにある。支援した人が対価を受け取る前にやめたくなった場合、それを転売できる仕組みがあれば流動性が生まれ、もっと支援しやすくなる。これは株式市場で証明されており、それを個人に持ち込んだという経緯は理解しやすい。

ちなみに同社は規約で「VALUは株式を含む有価証券、前払式支払手段、法定通貨または仮想通貨のいずれにも当たらない」としている。

VALUが優待という対価設計を発行者に全て委ねている点がもう一つの難しさの要因と考えている。例えば株式公開企業であれば決算を開示し、それが株式市場の売買流動性につながっている。こういったVALU側でのルール設計みたいなものは考えていないのか?

実は優待はこれから制限していこうと考えています。VALUが公開された当時はまだSEC(米国証券取引所)から(暗号通貨等の規制に関する)発表がないタイミングでしたが、今年に入って規制の枠組みが見えてきています。ただ、突然バタッとやめてしまうのはよくないのと、アプリなど他に優先したい事項があったので、今年の終わりぐらいから安全な仕組みを提供しようと計画しています。

現在の優待はどのようなものが提供されている

野菜送りますとか一緒に飲みに行きます、仕事を請けます、観光地案内します、などなどですね。トークンあげますとかアダルト系は定期的にパトロールしてバン(アカウント停止)してます。

優待がフェードアウトするとなると、VAを購入するモチベーションはどう設計する

(元々優待の設計時には)明確なペルソナがあったわけじゃなく、どういう提供方法がいいのか想像できてなかった、というのがあります。今後はチケット販売やEC、質問箱のようなサービスを優待の代わりや機能として追加していきたいと考えてます。

なるほど。任意に設計する優待よりも明確に「チケット販売」や「質問に回答」と規定された方が購入する側はわかりやすい。

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Image:筆者のVALUステータス

特徴的な活動をしているユーザーで注目している人は

VALU × noteという仕組みを提供しているのですが、そこで活躍しているイラストレーターのナナさんという方はお仕事の発注にVAを活用されています。一緒に仕事をする際は他の発行ユーザーと『VALUを持ち合う』ということをされていますね。

初期には情報商材を堂々と販売したり、インサイダーまがいの行為をしたユーザーもいた

確かにインサイダーのラインは曖昧です。初期は特に『つられ買い』のようなパターンも多かったのですが、最近はちゃんと応援したい発行者のVAを購入するケースが増えてきています。

企業の資金調達手段である株式の仕組みには金融商品取引法が制定されており、この枠組みを監視する証券取引委員会が存在している。インサイダー取引を中心に有価証券の取引をチェックし、消費者を詐欺や不正な取引から保護する役割を担っている。彼らはこれに代わる仕組みを提供するのだろうか。

現在は1日の売買VA数に制限を設けるなどして不正を防止しているが、それでも示し合わせてVAの価格を釣り上げることはできる。こういった発行者をどう制限するのか

現在はパトロールによる防止です。将来的には2点アプローチがあると考えていて、一つは技術革新。人工知能などで検知する仕組みを導入すること。もう一つはこの人の動きは怪しい、インサイダーかもと思えるようなユーザーのリテラシ向上です。

後者についてはやはり人によってばらつきがでてしまう。仕組みとして人を評価するスコアリングのようなものは検討していないのか

ここが大きなポイントで人を評価するというのは実に難しいです。企業であれば売上や雰囲気などがそれに当たりますが、人の場合、現在のソーシャルネットワークのフォロワー数がその縮図としてあったとしても、結局それに寄せられてしまうと意味がない。逆に言えばそこができれば強みになる。

ありがとうございました。

ーー実際に小川氏に話を聞いたのは実は初めてだった。冒頭にも書いた通り、資金面で個人を支援する仕組みにはクラウドファンディングがある。一方、polcaのような少額のモデルはあるものの、大きな額を支援しようとするとその対価がどうなるのか、支援先が失敗したリスクなど考えるべきポイントも増えてしまう。

そういう意味で購入した権利、ステータスを2次流通できる仕組みの提供は今後、個人が活躍する世界を占う上で大変重要だ。ここの成否はやはり最後の質問にもあったように、個人をどう評価するかにかかっている。それはVALUの値上がりによる時価総額ではなく、あくまで個人の信用を可視化したものでなければならない。

彼らがそれを見つけることができるか否か、次の一手に注目したい。

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