
マレーシアのフィンテックスタートアップ Jirnexu は、シリーズ B ラウンドに追加で1,000万米ドルを調達したと発表した。この投資は世界的な消費者クレジット調査会社の Experian と、既存の投資家であり日本を拠点とする SBI グループがリードした。
今年5月、同社は SBI がリードし SIG Asia Investments(海納亜洲創投)が参加したシリーズ B で1,100万米ドルの資金を調達していた。
この Jirnexu への投資は、アジアにおいてサービスが行き届いていない膨大な数の顧客に金融包摂を届けようという戦略の一環であると Experian は述べた。
Experian のアジア太平洋 CEO である Ben Elliott 氏はこう述べた。
アジアではまだ10億人以上の人々がきちんとした金融サービスにアクセスできていません。つまり、正式雇用されておらず、銀行口座がなく、オンラインでもオフラインでも取引を行う能力がないのです。金融へのアクセスを推進するという同じ価値や目標を共有する、志を同じくするパートナーと協力することで、弊社はこの地域のより多くの顧客に、よりニーズに合った商品をお届けする機会を得ました。
Experian のビジョンは、同地域の他のフィンテック企業へも投資を行っていることで体現されている。昨年、同社はインドを拠点とするクレジットのマーケットプレイス BankBazaar への3,000万米ドルのラウンドをリードし、今年はインドネシアの金融マーケットプレイス C88の2,800万米ドルのシリーズ C ラウンドをリードした。
Jirnexu の共同設立者兼 CEO である Yuen Tuck Siew 氏は、この新たに調達した資金を使い、金融商品比較サイト RinggitPlus をアップグレードすると述べた。
顧客のクレジットスコアに応じて、適切な商品や銀行もしくは貸主とのより良いマッチングを行います。そしてまた、既存のクレジットスコアや銀行がカバーできておらずサービスを受けていない顧客の、クレジットへのアクセスを向上させます。
RinggitPlus は独自のクレジットスコアリングシステムに基づいて行う、金融資格マッチングサービスをローンチする予定である。
Jirnexu は5月の資金調達ラウンドで顧客のデジタル認証や eKYC(顧客の本人確認)を開発すると述べており、商品の機能を拡張するという意思をすでに公言している。
今興味深いことは、Jirnexu のインシュアテック業界への進出である。マレーシア国立銀行から許可を受け、同社は次のように述べた。
マレーシアの人々が自動車保険、旅行保険、定期保険、医療保険のプランを調べ、比較し、選ぶことができるマーケットプレイスを RinggitPlus は提供する予定です。
Jirnexu はまた、現在は銀行商品にのみ対応しているチャットボットを強化し、顧客が同社のサービスを通じて保険証券を管理することができるようにする予定。
Experian を金融的および戦略的なパートナーに迎えたことで、Jirnexu は需要の創出や分析、そしてデジタルオンボーディング技術といったマーケットプレイスのソリューションを活用できるようになる。
この投資とパートナーシップの両方が、需要の創出、分析を通じたより良い資格マッチング、そしてよりシームレスな顧客体験をお届けする能力といったパフォーマンスの向上を、Jirnexu の既存の金融マーケットプレイスにもたらしてくれます。これによってさらに、銀行や保険会社、サービスプロバイダはモバイルファーストで考えることができるようになり、顧客や貸主とのやり取りも強化されます。(Elliott 氏)
2012年に設立された Jirnexu は今では2倍の大きさとなり、従業員は2018年1月の100名から年末には200名近くへと成長を続けている。
同社のクライアント契約も2018年には前年比で70%成長するものと見られる。その相手は Citibank、HSBC、Standard Chartered、UOB、Zurich、Allianz といった世界的もしくは広域な金融機関、ならびに RHB、CIMB、Public Bank、Etiqa といった地元の金融機関である。
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