金利・手数料無し〝チップ支払〟だけで運営される給与前払サービス「Earnin」、シリーズCラウンドでa16zらから1億2,500万米ドルを調達

by Paul Sawers Paul Sawers on 2019.1.3

従業員が厳格な給与システムを破り、稼ぎに即座にアクセスできるようにすることを目指すスタートアップ Earnin は、シリーズ C ラウンドで1億2,500万ドルを調達した。参加したのは既存投資家の Andreessen Horowitz が最近発表した Cultural Leadership Fund、Spark Capital、Matrix Partners、DST Global、March Capital Partners、Coatue Managemetn、Ribbit Capital だ。

2012年に Activehours の名で設立された Earnin は2018年10月、「より目的を捉えた社名(CEO Ram Palaniappan 氏談)」に改称。その1ヶ月前には、Andreessen Horowitz がリードしたシリーズ B ラウンドで3,900万米ドルを調達した。

従業員が次の給料日まで何日も何週間も待たず、収入を早期に手に入れられるようにするスタートアップは数多くあるが、Earnin もその一つだ。報道によれば、アメリカの労働者の4分の3以上が給料ぎりぎりの暮らしをしていて、数百人もの人々が予期せぬ出費をカバーするセーフティネットを持っていないことになる。

伝統的なペイデイローン(アメリカの消費者金融が給料を担保に提供する、短期の小口ローンサービス)は、急な出費や基本的な生活費に困る人々を狙っているため、手数料が極めて高い。そのような理由から、消費者金融業界に対しては大きな制限を課す法律が制定されていて、また、人々の給料と支払の間のギャップを埋めようとするテック企業が増加しているわけでもある。

常にいくらまでなら使っても安全かを教えてくれる予算管理アプリ「Even」は数ヶ月前に4,000万ドルを調達、同社は従業員が給料日前に収入にアクセスできるサービス「Instapay」も提供している。同様のサービスプロポジションを提供する PayActiv は最近、2,000万米ドルを調達した。(高い手数料で)労働者を食い物にするペイデイローンの貸金業者を廃業に追い込むような、協調的な動きが起きている。

Earnin の使い方

Earnin のアプリ

Earnin のサービスにアクセスするには、ユーザはまずアプリを銀行口座と接続し、雇用情報を入力する必要がある。Earnin は数多くのペイロールプロバイダ(給与計算代行業者)と取引を交わし、ユーザの支払を管理する。労働者は例えば一日の労働終了後に、どれだけ給与支払を受けたいかを決めることができる。給料日が来たら、Earnin は自動的にユーザの銀行口座から前払金額を自動的に引き落とす。

限度額も設けられており、たいていのユーザは一回の給与期間に対し最大で100ドルまで引き出すことができ、時を経て信用が積み重ねられると、一度に引き出せる金額は最大で500米ドルまで引き上げられる。Earnin はまた、労働者が予定した業務を完遂したかどうかを検証する必要がある。同社の検証システムでは、時給労働者にはタイムシートの写真アップロードを求め、給与労働者には一定時間にどこにいるか捕捉できるよう GPS 位置情報をオンにしてもらう。

金利手数料は不要?

これら全てから、ある質問にたどり着くことになるだろう。Earnin は、何が得られるのだろうか? サービスを提供している部分のどこかで、何%を徴収する必要があると考えるだろう? でも、そうではない。同社は「100%コミュニティサポートのサービス」であることを自称しており、ユーザが自主的に渡すチップからのみ収益を得ている。プライベートな資金調達で2億米ドルもの資金を調達したスタートアップのサステイナブルなビジネスモデルには聞こえないかもしれないが、事実、それが Earnin にとっての現時点での収益源だ。今回1億2,500万米ドルの資金を得て、Earnin はそのチームや事業をアメリカ全土に拡大させる計画だ。

CEO の Palaniappan 氏は次のように語った。

我々は、不公平にスポットライトを当て続けている。我々の業務は、給与前払だけに留まらない。今後、チームや提携関係を拡大する予定だが、最も重要なのは、多くのアメリカ人が直面する経済的課題について、認識を高めてもらえるよう行動し続けることだ。

あるユーザの余裕があるときに他のユーザの支払を肩代わりできるよう、多めのチップ支払を促す「pay it forward」機能をEarnin が提供していることも特筆に値する。このシステムは cause(社会的大義)を支援するためにも利用されており、同社によれば、最近のハリケーンシーズンには、Earnin のコミュニティが避難地域に住む仲間のメンバーを、燃料費を肩代わりして支援したという。

Earnin にはすでに目立ったトラクションがあり、アップルやスターバックスなどアメリカ国内5万社の従業員に利用されているそうだ。

Andreessen Horowitz のジェネラルパートナー Alex Rampel 氏は次のように語った。

経済的課題を解決する上で一企業が社会変化に取り組むことは稀だが、銀行システムを再定義する Earnin の提言や揺るぎのない動機は、彼らを際立たせるものだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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