ライブ体験の企画制作・検索を支援する英Fever、シリーズDラウンドで3,500万米ドルを調達——楽天キャピタルがリード

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Image Credit: Fever

ロンドンを本拠とし、ライブ体験の制作と発見を提供するスタートアップの Fever は5日、楽天キャピタルがリードするラウンドで3,500万米ドルを調達した。この金額には Atresmedia のほか Accel、Alibaba Group のアメリカ投資会社元会長 Michael Zeisser 氏からの出資も含まれており、これまでの総調達金額は7,000万米ドルに達した。

同社 CEO 兼共同設立者の Ignacio Bachiller 氏は、今回の調達資金を Fever による研究開発の取り組みと市場拡大、エンジニアやデータサイエンティストの採用に活用するとした。同氏は次のように述べている。

今回の投資は、プラットフォームを拡張し、体験のランドスケープを形作るという Fever にとって重要な時期になされました。このラウンドにより、新たな都市体験を発見したいと思う消費者が真っ先に向かうプラットフォームとして当社の地位は確固たるものになるでしょう。

端的に言うと、Fever とはニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、マンチェスター、パリ、リスボン、マドリード、バルセロナ、ビバオ、セビリア、バレンシア、マラガ、イビザなど様々な都市において、その土地の情報、ポップアップ、体験をまとめたものだ。

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ユーザは iOS や Android 対応のアプリやウェブサイトを使い、トピックごとに検索して近隣のイベントや今後開催されるイベントを見つけたり、ブックマークしたりすることができる。もしくは、劇場、コンサート、ナイトライフ、DJ、映画、スポーツ、ファッション、ウェルネス、文化ツアー、ゲームといったカテゴリーで各自の関心事(やテイストメーカーやインフルエンサーの関心)に応じた個人向けのレコメンデーションを閲覧できる。こうした体験は、わずか数クリックで取引を完了できる独自仕様の会計システムを通して予約することもできる。

Fever ではこの他にも Secret Media Network(および Secret London と Secret NYC のブランドチャンネル)のほか、行動データを活用して Fever Originals などのソーシャルメディアチャンネル用にターゲティングされたコンテンツを制作する編集チームも運営している。同社では成功を収めるイベントの特性を見分けることができるため、イベントプロモーターやブランド企業のリスクを軽減できるという。

Fever Originals では、ブルックリンでの没入型の「不思議の国のアリス」をテーマとする2階建てバスやマドリードでの音楽・アートのフェスティバルのほか、ヨーロッパ最大の脱出ゲームまで、ありとあらゆる情報を取り扱っている。現在ロンドン関係でラインナップされているのは、ライブ DJ 付きスパイス・ガールズのボートパーティ(24米ドル)、ウィスキーカクテルをテーマとするテムズ川での「水上」ジャズクラブ(14米ドル)、 ABBA をトリビュートする歌の集いディスコ(6米ドル)、BBC 制作のテレビ番組「Planet Earth II」と「Blue Planet II」を担当したプロデューサーとのトークイベント(13米ドル)などがある。

Image Credit: Fever

イベント主催者は同社に対し、プラットフォームを活用したことで得られた参加者数や追加的なチケットの販売額に応じて手数料を支払う。以前、この手数料はチケット取扱手数料の約3〜5倍に設定されていた。

事業がうまくいっているのは明らかだ。Fever によると、昨年にパリ、ロサンゼルス、リスボン、マンチェスターに進出してからの売上増加率は年率100%を超えており、今では1万のイベントリスト(毎月300のリストが追加)を抱え、週あたり1,200万人が利用している。さらに、ロサンゼルスとニューヨークでは人口の4分の1にリーチしており、Fever Originals イベントに参加した有料会員は累計で20万人を超えた。

Rakuten Capital マネージングパートナーの Oskar Mielczarek de la Miel 氏によると、Fever は成長を続ける「体験型経済」のメリットを最大限享受しているという。体験に対する支出が北米で1人あたり2,000米ドルと、他のどの家計カテゴリーをも上回ったとする McKinsey & Company の調査結果を同氏は引用している。 驚くまでもないが、この分野は年率6%で急成長している。 Mielczarek 氏は次のように話している。

ニューヨークやマドリード、ロンドンなどの大都市で多くのデジタル顧客を獲得し成長を続けている Fever に感銘を受けました。中でも最も重要なのは、若いチームのクオリティとリーダーシップです。Fever はその革新的なソリューションによって、急成長する体験型経済で資本化し、デジタルマーケターに大きな価値があることを証明するというユニークなポジションを確立しました。Fever の成長へ向けた旅の一員となること、そして楽天が持つグローバルなエコシステムとのシナジーを開拓していけることを楽しみにしています。

Zeisser 氏は Fever の顧問兼取締役として経営に参画する予定だ。以前の投資家には Flickr の CEO である Bernardo Hernandez 氏、サッカーチーム、レアル・マドリード選手の Sergio Ramos García 氏と José María Gutiérrez Hernández 氏、グラミー賞を3回受賞したことのある Alejandro Sanz 氏、Twitter と Foursquare の初期投資家 Jeff Pulver 氏などがいる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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