世界経済混迷の中、a16zがクリプト2号ファンド設立ーー彼らがブロックチェーンにベットする「5つの目的」

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ピックアップ:Crypto Fund II

ニュースサマリー:Andreessen Horowitz(a16z)は4月30日、ブロックチェーンに特化したクリプトファンドの第2号を設立したことを発表した。調達する金額は5億1500万ドルとしている。同社クリプトファンド1号は2018年に3億5000万ドル規模で設立していた。

話題のポイント:2018年に設立した第1号ファンドは、特に金融市場を中心にFacebookのLibraやCeloなどに投資を続けています。また昨年10月には、クリプト(仮想通貨)スタートアップ向けブートキャンプ「a16z Crypto Startup School」を発表し、ファンドとして積極的かつ対外的に「ブロックチェーン」の用語を使用し始めていました。

もちろんa16zは、ただトレンドに乗って「ブロックチェーン」という言葉を使っているわけではありません。パートナーのMarc Andreessen氏は2014年時に「Why Bitcoin Matters」・同じくパートナーのChris Dixon氏も2013年の時点で「Why I’m interested in Bitcoin」と、ブロックチェーンに対する見解を示していました。

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ただ、この世界経済が不安定なタイミングでの2号設立は少し意外に感じた方もいるかもしれません。しかし、逆に先行きが不安定なタイミングだからこそブロックチェーン業界に特化したファンドへの新たな資金投入は理にかなっていると私は感じています。

COVID-19により、例えば絶対的成長が見込まれていたシェアリングエコノミーやその他新興経済圏が大規模なモデルチェンジを余儀なくされ始めています。具体的には、UberやLyftが人の運搬ではなくモノの運搬へ、Airbnbがショートステイからロングステイといったことが挙げられるでしょう。

一方のブロックチェーン事業は成長準備段階に入っていました。業界内でも金融を始め、コンサルティングやセキュリティーといった分野では、エンタープライズとの協業など発展をしていたことも事実です。ただ、取引ボリュームが高いとまではいえず、R&Dを中心に法的な側面や社会的カルチャーの整備などに焦点が当てられているような状況でした。

Libraのホワイトペーパーでも言及されていたように、本当の意味でブロックチェーン的概念を載せた(パブリックチェーン)プラットフォームの浸透は2025年頃を目標とするとされています。その理由は以下のように述べられています。

The challenge is that as of today we do not believe that there is a proven solution that can deliver the scale, stability, and security needed to support billions of people and transactions across the globe through a permissionless network. – Libra Whitepaper

つまり、ブロックチェーンの最大価値を引き出すためにも「今」市場導入を焦ることなく、段階を経た中長期的な計画の元に動くべきだということが市場プレーヤーたちの共通概念です。そうした意味でも、Andreessen Horowitzのこれまでの活動は、ファンドに加えてクリプトスタートアップスクールを設立し、絶対的なクリプトスタートアップを増やすことで、業界における中長期的な市場整備を試みていたのだと思います。

では、そうした取り組みを進めるa16zが特に注目する5つのブロックチェーンエリアについて見ていきましょう。

Payment (ペイメント)

ブロックチェーンとペイメントの組み合わせは、ビットコインに始まり最もイメージしやすいものではないでしょうか。しかし、いまブロックチェーン×ペイメントが抱える最大の壁はその利用に至るまでのステップの難易度です。

ブログでも語られているように、私たちは既にオンラインバンクやクレジットカードのUXに対し日常生活ではそこまで不便を感じません。もちろん「手数料」という謎の料金を払わされることに疑問は持ちますが、だからといって大きく抗議するまでには至りません。

そのため、ブロックチェーン×ペイメントを世界的に浸透させるステップには明確な「そこまで不便を感じないサービス」に対する対抗案を提示する必要があるのです。1年単位で市場を見てしまうと、「そこまで不便を感じないサービス」がいきなりブロックチェーンによってディスラプトされるとは考えられません。だからこそ、中長期的な目で市場を見れば電子メールが郵便局を、VoIPサービスがが長距離通信事業者をじわじわとディスラプトしたように、ブロックチェーン×ペイメントにも必ずチャンスは訪れる、と主張しています。

現代版ゴールド

法定通貨の代替にはゴールドが価値の保存場として長らく役目を務めてきましたが、ビットコインがデジタル版ゴールドとして価値保存を担っていくという主張です。これは、既に実現している話かもしれません。もちろん、まだビットコインはボラティリティーが高く「価値の保存」としては信頼度が低いですが、少なくとも実社会における経済状況を反映した市場が動いているのは事実です。

ゴールドが先物商品として取引されるようにビットコインも先物商品として認知され始めています。こうしたレガシーな金融商品を取り扱いながらも、ブロックチェーンを入り混じるスタートアップも増えて来るでしょう。

DeFi (Decentralized Finance: 分散型金融)

分散型金融は、ペイメントと並び現段階で最も法整備に力が入れられるエリアです。(少なくとも意欲的なロビー活動などが多い)。ブログ内では特にレンディング、デリバティブ、保険、トレーディング、クラウドファンディングと分散型金融によるディスラプトが新しい価値を生み出すとし、具体的には以下のようなパフォーマンスを金融に対して算出するとされています。

  • 世界中の誰でも制限に囚われず利用可能なオープンアクセス性
  • オープンソースに対するコミットメント性
  • 第三者の開発者によるパーミッションレスな拡張性
  • 極限までに抑えられた手数料によるパフォーマンス性
  • 暗号技術によるセキュリティーとプライバシー性

デジタル価値表現

インターネットが当たり前のように浸透したことで、例えばデジタル広告やサブスクリプションのビジネスモデルが生まれました。a16zでは、次のインターネット上における新たな価値表現はブロックチェーンを通したものになると主張しています。

現在、ゲーム業界を筆頭にデジタル上における「所有権」をブロックチェーンを通し表現する取り組みが行われています。つまり、ゲームで獲得するアイテムやキャラクターがユーザー個人のものとして認識され、セカンドマーケットで価値を帯びるという新たな経済圏を意味しています。ゲームに加え、書籍や音楽、ポッドキャスト、プログラミング、デザインなどクリエイティブな場面に新たな価値表現が生まれるだろうとまとめています。

Web3.0

インターネット初期にはWeb1.0、SNS発展期にはWeb2.0と呼ばれた文化がブロックチェーンをベースとすることでWeb3.0へと変化を遂げようとしています。そもそも私たちが変化を求めるのには、既存システムに解消すべき課題があるからです。

確かにWeb2.0時代は、インターネットが民主化されあらゆる情報へのアクセスに流動性が持たされました。その一方で、個人のプライバシーに関する観点が近年問題視されてきており、欧州におけるGDPRがその顕著な例でとなります。

まさにブロックチェーンの特性である非中央集権型は、そうした問題に対する一つのソリューションとして生まれるべくして誕生したと言えるでしょう。上述した具体的な業界へのブロックチェーン応用は、このWeb3という概念が必要不可欠になることは間違いありません。

ということで、上記の5つがa16zが現時点で注目するブロックチェーンの分野一覧となります。

ブロックチェーンの事業は中長期的なプランニングが必要なのは上述した通りです。COVID-19の例でも分かりましたが、いつ市場から求められる価値機能が一変するかは誰にも予想できません。Web2.0が浸透し始めた2000年後半から現代にかけてのインターネットの価値観と、今のそれは似て異なるものであるのは間違いなく、あるテクノロジー初期の概念が最後まで通用するケースは稀なことがほとんどです。

だからこそこれら分野以外の、例えばトラベルやコミュニケーションツールなど、思いつかないような業界とうまくマッチしたブロックチェーンプロダクトが生まれてくる可能性は大いにあるとまとめられており、私はこの観点を持つことがブロックチェーンの中長期的なこれからを理解するうえで大切だと感じています。

確かに、金融業界とブロックチェーンのマッチングによるDeFiはイメージしやすく、初期アダプションであるビットコインとの結びつきもあることから、飛びつきたくなる気持ちもわかります。

しかし、Web2.0が歩んできたあらゆる業界とのマッチングを改めて顧みて、ブロックチェーンのこれからを中長期的に見ていくのは、これからのインターネットの未来を掴むうえでも重要なのではないでしょうか。