VR、AR、映画の未来まで脅かす、AppleによるEpicへの脅迫行為【Fortnite(フォートナイト)戦争】

SHARE:
『マンダロリアン』制作チームは背景の多くにUnreal Engineを活用している。
Image Credit: Lucasfilm

Fortnite(フォートナイト)開発のEpic GamesがプラットフォームのAppleに対して起こした訴訟は、iOSが全世界で15億台規模にまで成長していることを踏まえればすでに歴史的事件と言えるだろう。だが8月17日、両社の戦いは一段とヒートアップした。AppleがEpicのMac事業およびUnreal Engine事業を脅かしたことにより、両社だけの問題を超え、VR、AR、テレビ番組、映画の制作者にも影響を与えることとなった。

脅迫はAppleからEpicへ宛てられた書簡の中で行われた。この書簡はAppleによる報復措置の一時差し止めを求めた訴訟の「添付資料B」として提出されている。Appleは、EpicがiOS版Fortniteにおいてガイドラインとは異なるアプリ内課金システムを追加したため、Epicの開発者ライセンスを剥奪する計画だとし、次のように述べている。

以下のプログラム、テクノロジー、機能にもアクセスできなくなります。
・すべてのAppleソフトウェア、SDK、API、および開発者ツール
・iOS、iPad OS、macOS、tvOS、watchOSのプレリリースバージョン
Reality Composer、Create ML、Apple Configuratorなどのベータ版のプレリリースバージョン
・ハード・ソフト両面において、MacおよびiOS上のUnreal Engineのパフォーマンス向上に向けた取り組み、Mac版Unreal Engineの最適化に向けた取り組み、XRチームによるUnreal EngineへのARKitおよび今後のVR機能の採用・サポート

よく確認してほしい。AppleはFortniteをApp Storeから排除するだけでなく、MacおよびiOSデバイスでのUnreal Engineのパフォーマンス向上を妨害すると脅迫している。Appleは独自のARMプロセッサへ移行しようとしている最中だ。今後のAR/VRイニシアチブをUnreal Engineがサポートすることを望んでいないと読める。

AppleのTim Cook氏は7月、議会公聴会で証言している

私たちは報復も脅迫も行いません。それは私たちの企業文化に大いに反することです。

だがこの書簡は、独占禁止法違反の強力な証拠でもある。iOSにアプリ内課金の30%を支払うことについて盾付けば、iOSのみならずMacからも追放するという脅迫だ。

次世代の没入型デバイスに対するUnreal Engineの重要性は無限だ。Unreal Engineは、ホログラフィック3Dディスプレイ巨大な3DウィンドウARヘッドセットVRヘッドセットゲーム機映画テレビ番組、さらにはウェザーチャンネルなどさまざまな媒体で写実的なコンテンツの生成に使用されている。8月17日時点で「何百万人もの開発者がUnreal Engineでソフトウェアを開発しており、数億人の消費者がそのソフトウェアを使用している」とEpicは述べている。

AppleがUnreal Engine開発者を締め出したとしても、彼らは別のプラットフォームで没入型コンテンツやテレビ番組、映画などを作り続けるだろう。Apple製のデバイスではそれらの作品が制作されることはなく、AR/VR体験がプレイされることもない。Appleの損失、ひいては顧客の喪失にもつながると考えられるが、現実的にiOSはコンテンツ制作のあり方に影響を及ぼすのに十分なシェアを占めている。

筆者が最も懸念するのは、Appleが「XRチームによるUnreal EngineへのARKitおよび今後のVR機能のサポート」を打ち切ると明言していることだ。AppleがAR/VRグラスに取り組んでいるのは公然の秘密だ。書簡によると、Unreal Engineは少なくともAR/VRグラスの一部として搭載される予定だった。写実的なAR/VRコンテンツを制作できるEpicとの関係を壊し、二番手を選択するのはスマートではない。Fortniteのアプリ内課金の一部をAppleが取れるか否かにかかわらず、すべてをピボットさせるのはさらにまずい。

Appleは書簡の締めくくりとして、Epicが引き続き開発プログラムに参加することを望むと伝えている。AppleがEpicに求めているのはただ一つ、Fortniteのアプリ内課金システムを削除することだけだ。独占禁止法違反の上に開発者の広い怒りを買うことはAppleにとって正しい道でないことは明らかだ。長い道のりとなっても逆の方向に行けばすべてが好転するだろう。

※本稿は提携するVentureBeat記事の抄訳です

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】