急速にキャッシュレス化の進むフィリピン、そのキープレーヤーたち

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PayMayaウェブサイト

ピックアップ:The Philippines is going cashless – finally

ニュースサマリー:フィリピン中央銀行が2016年に開示したデータによれば、同国内におけるクレジットカードを利用した決済の割合はわずか2.2%であると報告している。しかし、新型コロナウイルスの影響でキャッシュレス決済の普及が一気に進んでいる。

詳細情報:2020年に入り新型コロナウィルスの感染者数が国内でも増加し始めると、フィリピン政府は同国全土で長期間に及ぶ厳格なロックダウン政策を実施した(※フィリピンで行われたロックダウンは世界最長かつ最も厳しいとされていた)。買い物や銀行へ行くことを制限された多くの人がキャッシュレス決済の利用を開始し、ユーザー数が急速に増加した。

現在同国内で最も利用されているキャッシュレス決済はGCashとPayMayaの2つだが、両サービスには異なる特徴がある。

  • GCashフィリピンの通信会社Globeの運営するモバイル決済サービス。
    フィリピン最大の電子決済プラットフォームで約6万3,000件の実店舗とオンラインストアで利用可能。登録ユーザー数は2,000万人を超え(※フィリピンの人口は1億人強)、2020年5月のトランザクションは前年同月と比較して8倍、1月~7月末までの総取引額は前年同時期と比べ280%増となり1,000億ペソ(約20.7億米ドル)を超えた。
  • PayMaya…フィリピンの通信会社Smartの運営するモバイル決済サービス。
    様々な事業体と提携し、あらゆるシーンでの電子決済の利用促進に取り組んでいる。マクドナルドやKFCなどの店舗決済に利用されるエンタープライズ向けデジタル決済ソリューション「One by PayMaya POS」や、金融サービスへのアクセスができない人へ融資を実行する「Smart Padala by PayMaya」ネットワークの構築、タクシーの支払いへのQRコード決済の導入などがそれだ。
  • 新型コロナウイルスにより利用者が急増したと話題に上がるのは主にGCashの方だが、一方のPayMayaはこれまでとは異なるシーンでのキャッシュレス決済を支援することとなった。
  • 例えばフィリピンの教育機関は現在、オンライン学習とオフライン学習を組み合わせた「ハイブリッド型」教育に取り組んでいるが、全国の40を超える学校では学費に関してもオンライン・オフラインでのキャッシュレス決済に対応する「ハイブリッド型」とし、PayMayaの決済サービスを採用した。
  • 具体的には、オフラインでの支払いであればPayMayaアプリのe-Walletによる支払いが一般的だ。その一方、オフライン(対面)での支払いは、「One by PayMaya POS」を使用し、QRコードによる支払いとクレジットカードやデビッドカード、プリペイドカードによる非接触決済での支払いが主流となりつつある。
  • 競合する部分も多々ある2社だが強みとする部分が異なるため、フィリピンのキャッシュレス決済の普及自体が2社による「ハイブリッド型」で進んでいく可能性が高い。

背景:新型コロナウィルスの流行により、現金のやり取りを介した感染リスクを抑えるためにキャッシュレス決済の利用者が世界的に増加している。また、ロックダウンなどの政策で行動規制が長期間続く国や地域では買い物や銀行に行く機会が限られるため、これまで現金や対面でのサービスを好んでいた層も、好むと好まざるとに関わらずECやキャッシュレス決済の利用を開始している。

現金による支払いを好む人の多かったフィリピンだが、VISAの行った調査によると70%以上の人が新型コロナウイルスの脅威が去った後でも、キャッシュレス決済を継続して利用すると回答している。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志