多様化するクラウドファンディング、日本的寄付として根付くか

 

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Photo by Dio Hasbi Saniskoro from Pexels

本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております

新型コロナウイルス蔓延の影響で危機的状況に置かれる事業者が増加するなか、寄付などの支援の輪が広がっているようです。コロナ給付金寄付実行委員会、パブリックリソース財団によると、約4割の方が新型コロナウイルスにより経済的影響を受けた個人や団体等に10万円給付金の一部を活用したいと回答したそうです。

こうした回答の背景には、オンラインで手軽にできる「ふるさと納税」や「クラウドファンディング」の普及により、寄付がより身近な存在へと変化したことがあると考えられます。

ふるさと納税とは応援したい自治体に寄付をすると、住民税の還付や地方の名産品などの返礼品を受け取ることができる仕組みです。また、インターネット上でお金が必要な事業や個人と、お金を支払う余裕のある人を結びつけるクラウドファンディングも市民権を得てきました。仕組みの違いにより「購入型」「寄付型」「投資型」「貸付型」などに分類されます。

日経BPマーケティング社の「デジタル金融未来レポート」によると、2019年の購入型の決済総額は約135億円、貸付型の貸付残高は約976億円で、今後5年間で購入型は約14倍、貸付型は約5倍に成長すると予想されています。コロナ禍では特に購入型に注目が集まっており、中でもCAMPFIREの提供する「新型コロナウイルスサポートプログラム」は、2020年2月末から2020年7月時点までで63億円超の金額を集め、支援者数は延べ56万人にも拡大したそうです。

日本でなかなか進まない寄付文化

実は欧米諸国などに比べると、日本における寄付金総額は大きいとは言えません。日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2017」によると、日本の個人寄付総額は2016年で7,756億円、東日本大震災で寄付が活発になった2011年でも1兆182億円です。人口や経済規模が異なるため単純な比較はできませんが、アメリカの2016年の個人寄付総額は30兆6,664億円、イギリスの個人寄付総額は1兆5,035億円です。

では一体なぜ、他先進国に比べて日本ではあまり寄付が活発ではないのでしょうか?その一因には「文化」や「税制」の違いがあります。

例えばアメリカの場合は日本よりもNPO法人の数が多く、中には一流大学の卒業生が就職先に選ぶほど人気や影響力のある団体もあるようです。また、アメリカには税制優遇措置の対象となっているNPO法人が120万件以上あるのに対し、日本には同様の税制優遇措置の認定NPO法人は全国で1,200件程度(※)しかありません。※2020年07月30日時点

また、寄付をした際に所得控除または税額控除を選択し確定申告することになりますが、アメリカの場合は所得控除だけでなく、控除範囲を超えた金額の繰り越しができたり、イギリスにおいては、「ペイロールギビング」という、給与天引きで寄付をした場合に寄附金額が税引き前の給与から天引きされる仕組みなどがあります。

日本でも始まる新しい「応援」の仕組み

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社会的インパクト投資例(画像:クラウドクレジットウェブサイト)

従来の仕組みではなかなか根付かなかった「寄付文化」ですが、これがクラウドファンディングなどで大きく転機を迎えることになります。ふるさと納税やクラウドファンディングは、従来の寄付と比較すると手続きが簡易でメリットも分かりやすい形態となっています。欧米の寄付により近く、日本的寄付の新しい形と言えるでしょう。

支援するメリットについても広がりがあります。寄付やふるさと納税は控除や返礼品などが支援の「お返し」としてありました。ここにもう少し投資的な観点を加えたのが「社会的インパクト投資」と呼ばれる方法です。

社会的インパクト投資とは「社会面・環境面での課題解決を図ると共に、経済的な利益を追求する投資行動のこと(※)」です。社会的インパクト投資は経済的なリターンに加えて、社会課題の解決による公共善も追求する点が特徴です。

※GSG国内諮問委員会「社会的インパクト投資拡大に向けた提言書2019」

例えば、私たちが提供する「中東地域ソーラー事業者支援ファンド2号」の場合、砂漠地帯のソーラー化を進めることで、CO2の排出量を削減できることに加え、1万円あたり565円の経済的リターンが得られます。2019年の世界の社会的インパクト投資の市場規模は推計で約50兆円(1ドル100円換算)、日本における市場規模は2018年で約3,400億円とのことです。

現在、日本を含む世界全体でSDGs達成に向けた取り組みが活性化しています。こうした潮流を背景に、ふるさと納税やクラウドファンディング、社会的インパクト投資などの個人と社会のメリットを両立する取り組みは益々普及するのではないでしょうか。

本稿はクラウドクレジット株式会社編集室によるもの。Twitterアカウントは @crowdcredit_jp。お問い合わせはこちらから