Intelの研究者、50ドルで「スマホのロボット化」に成功

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すべてのロボットが高価だとは限らない。事実、Intelの研究者であるMatthias Muller氏とVladlen Koltun氏によると、スマートフォンが手元にあれば約50米ドルで車輪付きのボットを構築できるそうだ。二人は共著の「OpenBot: Turning Smartphones to Robots」という論文で、スマートフォンを活用してロボットにセンサー、計算、通信、およびオープンソフトウェアエコシステムへのアクセスを装備することを提案している。

市販のスマートフォンをロボットの頭脳として使用すると、コスト削減以外にも多くの利点がある。アップグレードサイクルが短いことから、中古のスマートフォンが手軽に利用できるーー世界的なスマートフォン所有率は全人口の40%にも上ると推計されているーーさらに、スマートフォンのカメラの品質とプロセッサの速度は常に向上している。加えて、コモディティモデルでさえ、慣性測定ユニット、GPS、Wi-Fi、Bluetooth、セルラーモデム、AI推論用の専用チップを搭載しており、中にはデスクトップパソコンのプロセッサよりも優れているものもある。

Muller氏とKoltun氏が設計した「OpenBot」は、スマートフォンをロボット本体に接続して、感知、データ融合、および計算をする。ロボットのシャーシは3Dプリントで作れるように設計されており、最大4つのモーターに対応し、コントローラー、マイクロコントローラー、LED、スマートフォンマウント、USBケーブル用の端子がある。バッテリーパックは専用端子に接続し、必要に応じてモーターに電力を供給する。Arduino NanoボードにはUSB経由でスマートフォンからシリアル通信リンクと電力を供給する。2つの前輪には、オドメトリ信号を送信するセンサーが装備されており、モーターコントローラーに接続されたピンにより、速度と方向をリアルタイムで調整できる。

OpenBotのソフトウェアスタックはシンプルなもので、シリアルリンクを介して通信する2つのコンポーネントのみで構成されている。オペレータはAndroidアプリをインターフェースとしてデータセットを収集することができる。また、このアプリは高度な認識とワークロードのコントロールも提供する。一方、Arduino側では低水準の動作を制御し、オドメトリやバッテリー残量などの測定もする。

このAndroidアプリがあれば、コントローラのボタンをデータ収集や経路探索モデル間の切り替えなどに割り当て、既製のBluetooth対応PS4、Xbox、SwitchゲームコントローラーでOpenBotを制御することができる。経路探索モデルには、ロボットの視界に入った人を検出して追跡する自律ナビゲーションモデルも含まれている。

Muller氏とKoltun氏は、さまざまな機種のスマートフォンを使ってロボットのパフォーマンスを比較するテストを実施した。パフォーマンスが最も低かったのは最も安価なローエンド機種(Nokia 2.2)だったが、それでも約30分で人を検出して追跡することができた。最近テストされたすべてのミッドレンジフォン(Xiaomi Note 8、Huawei P30 Lite、Xiaomi Poco F1など)は、搭載されている専用AIアクセラレータが寄与し毎秒10フレーム以上の速さで人々を追跡した。

Muller氏とKoltun氏は次のように述べている。

当研究は、ロボット工学における2つの重要な課題、アクセシビリティとスケーラビリティに取り組むことを目的としています。スマートフォンはユビキタスであり、年々強力になっています。私たちはスマートフォンをロボットに変えるためにハードウェアとソフトウェアを組み合わせました。その結果、安価でありながら有能なロボットを開発することができました。

実験で、スマートフォン駆動の50米ドルのロボットが人の追跡とリアルタイムでの自律ナビゲーションを行えることが明らかになりました。この研究を発表することで、世界中に配備された何千もの低コストのロボットを介して、教育と大規模な学習のための新しいチャンスが開かれることを願っています。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】