インキュベイトF出身・日下部竜氏の「DRG Fund」、〝プロフェッショナル系〟3スタートアップへの出資が明らかに

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日下部竜氏は、一昨年の Incubate Camp 12th で統括を務めた。
Image credit: Incubate Fund

インキュベイトファンドに入社したアソシエイトたちが、5年以内には独立し自らファンドを立ち上げることを促されるのは、日本のスタートアップ界では意外と知られた話である。プライマル・キャピタルの佐々木浩史氏を皮切りに、これまでにライフタイムベンチャーズの木村亮介氏、Full Commit Partners の山田優大氏らが羽ばたいていった。

彼らはそれぞれのバックグラウンドを強みに伴走すべきスタートアップを探し出し、若い世代から新たな起業家が生まれるエコシステムの原動力になっている。トラックレコードが少ない分、どんな投資家にとっても最初のファンドを組成するのは大変な苦労を伴うが、古巣であるインキュベイトファンドが Fund of Funds(FOF)形式で、呼び水的に出資するスタイルは定着してきた。

今回明らかになったのは、2017年からアソシエイトとしてインキュベイトファンドに参画していた日下部竜氏のファンドだ。おそらく、イーサリアムトークンの DRG とは直接的な関係は無さそうだが、自身のファーストネームに由来する dragon から DRG Fund と名付けられた新ファンドは組成から1年弱が経過し、スタートアップ3社への投資が実行済であることが明らかになった。

日下部氏はインキュベイトファンドに関わる前は、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券で投資銀行業務に従事。ファイナンスの知識やディールの経験を得た後、生涯通じて VC の仕事をしたいとの思いからインキュベイトファンドの門をくぐったそうだ。新ファンドでは、将来有望な若手ビジネスパーソン(プロフェッショナルファーム・大企業社員等)によるシードスタートアップを対象にする。

起業を考えていても、なかなか踏み切れない。その理由は、創業メンバーだったり、お金の面だったり、その段階では VC もコミットしづらい。

プロフェッショナル系の人たちは、一見すると、スタートアップから最も離れたところにいるように見えるが、起業に興味を持っている層。彼らに対して、スタートアップへの門戸を広げたいという思いから、新ファンドを立ち上げた。(日下部氏)

ここまで何度かプロフェッショナル系という言葉を使ってきたが、具体的にどのような事業モデルや起業家を指しているかは、DRG Fund の出資先を見るとわかりやすい。

野村証券や野村キャピタル・パートナーズで企業リサーチアナリストを務めた平賀洋輔氏が率いる AccuWealth は、企業向け競合・ベンチマーク企業リサーチサービス「アキュウェルス IQ」を開発。Propally は、共同創業者の2人がそれぞれ自ら投資用不動産を保有しながら、収支管理の煩雑さや不動産価格の不明瞭さといった課題を解決しようと、オーナー向け投資用不動産管理プラットフォーム「Propally for Owners」を開発している。3社の出資先のうち、残る1社はステルスで将来明らかになる見込みだ。

DRG Fund の組成規模は5億円で、1ショットのチケットサイズは1,500〜2,500万円。シードラウンドのスタートアップ約10社から15社に出資することを想定している。最大額×最大社数をしても5億円に届かないことから推測できるように、一度出資したスタートアップの事業成長性が確認できた際には、既投資先にフォローオン出資することも想定に入れているようだ。

DRG Fund のメンバーは今のところ日下部氏のみだが、採用・開発・マーケティング等で投資先スタートアップへの支援や、将来はファンド運営に関わることに興味のあるサポーターを募集する。若手ビジネスパーソンからのキャリア相談オフィスアワー、事業構想→会社設立→チーム組成→投資実行までを1〜3ヶ月で完了するプログラム「Boot Camp Program」への参加も募集を開始した。