食品流通DXのクロスマート、シリーズAで2.7億円を調達——デジタル販促で、メーカー・卸業者・飲食店・消費者の〝四方よし〟を目指す

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クロスマートのチームメンバー。前列左から2人目が代表取締役の寺田佳史氏。
Image credit: Xmart

飲食店とサプライヤーをマッチングする「クロスマート」や受発注プラットフォーム「クロスオーダー( サプライヤー向け 飲食店向け )を運営するクロスマートは、シリーズ A ラウンドで2.7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ギフティ(東証:4449)、SBI インベストメント、みずほキャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル。クロスマートにとっては、2019年9月に実施したシードラウンドに続くものだ。

今回の調達を受けて、クロスオーダーの営業強化、各種採用を強化する。ギフティとは、食品メーカーが飲食店にオンライン営業できる「クロスオーダー販促」をローンチする予定。また、今回の調達とあわせて、ギフティ代表取締役の鈴木達哉氏がクロスマートの社外取締役に就任する。

納品伝票のデータ蓄積から始めたクロスマートだったが、データの分析の結果、青果物は他の食材と比べて FAX による注文比率が高く頻度も多く、さまざまな規模の卸業者が青果物を取り扱っているため、受発注プロセスに課題を感じている卸業者が多いことが判明。飲食店が LINE で発注し、サプライヤーがデータの形で注文情報を受け取れるクロスオーダーをローンチした

2019年11月のクロスオーダーのローンチから1年あまり、受発注処理件数はすでに7万件を突破した。国内では都市部を中心に、飲食店がコロナ禍の緊急事態宣言下で時短営業を余儀なくされる中、飲食店の活動低下はクロスマートにとってマイナスに働くかと思いきや、数ある業種の中で最も進みにくいとされた飲食業の DX に追い風となり、クロスオーダーのユーザ増に寄与しているという。

昨年実施された最初の緊急事態宣言の時の落ち込みは、飲食店の営業自粛に比例して大きなものだったが、今回(現在実施されている緊急事態宣言)はそのときほどではない状態。飲食店は、1.補助金や助成金の申請(資金繰り)をし、2. 間接コストを見直し、3. 売り上げを補填するため EC 展開する、という方向へ動いている。

現在、多くの飲食店は 2. をやっている最中。食材や賃料を極端に下げることはできない。でも、仕組みを改善することで、受発注のスタッフの人件費を下げましょう、というのがトレンドになっている。まさにそれができるのがクロスオーダーで、PMF(プロダクトマーケットフィット)できたと考え、シリーズ A 調達に踏み切った。(代表取締役 寺田佳史氏)

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クロスオーダーは青果物の受発注プラットフォームだが、どの飲食店が何をどの程度購入しているかがわかるので、飲食店に対して、昨年の同時期に買っていたものを今年お勧めしてみたり、親和性があるかもしれない別商品を併売してみたり、といったアプローチが可能になる。メーカーはこれまで飲食店を訪れて営業していたが、データドリブンなオンライン販促に転換できることになる。これがクロスオーダー販促だ。

メーカーにはマーケティング予算を使って、クロスオーダーのデータをもとに自社商品をマーケティングしてもらえる。その商品の発注は卸業者に行くため、卸業者も儲かる。飲食店、卸業者、メーカーの「三方よし」の状況が作れそうだ。卸業者にメリットがあるスキームにしたいので、メーカーからの予算の一部が、卸業者にもシェアできるようにしたいと考えている。(寺田氏)

今回ギフティが出資しているが、消費者向けサービスが強い同社の力を活用して、クロスマートは B2B2B2C(メーカー→卸業者→飲食店→消費者)がつながる、消費者を巻き込んだマーケティングプラットフォームを形成したい考えだ。前述の三方よしが「四方よし」になるかもしれない。ギフティにとっては、従来のコンビニやスーパー以外に、飲食店にもネットワークを広げられる可能性がある。

SBI インベストメントの親会社である SBI ホールディングス(東証:8473)は、全国各地の地方銀行と提携や連携関係にあるため、クロスマートでは今回の出資を受けて、地銀各行と契約関係がある地場の卸業者を紹介してもらうことを期待しているという。