沖縄発・インド人研究者の2人が創業したEF POLYMER、4,000万円をシード調達——生ゴミ由来素材で水不足農地の生産性を向上

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Image credit: EF Polymer

<2022年5月17日午前7時更新> 訂正線部を削除、赤字部を追記。

沖縄発のポリマー(高分子吸収体)技術スタートアップ EF POLYMER はシードラウンドで4,000万円を調達したと発表した。このラウンドには、MTG Ventures、Yosemite LLC、Beyond Next Ventures、エンジェル投資家の鈴木達哉氏(giftee 代表取締役)が参加した。

EF POLYMER は、OIST(沖縄先端技術大学院大学)に在籍するのアクセラレータプログラムに参加したインド人研究者が立ち上げたスタートアップで、ポリマーを活用した水不足地域における農業生産性の向上を狙う。同社の EF POLYMER は植物の根の部分の土壌に混ぜることで、根の周辺に10〜20日間にわたり水を保持することが可能となる。砂漠や雨量の少ない地域でも、農作物を安定的に供給できるようになる。

しかも、EF POLYMER の原料は食品廃棄物であるためフードロス問題の解消に繋がる。土壌の中で使用すると、水を保持する機能を果たした後は植物にとって肥料となり、最終的にオーガニックに分解されるため環境負荷にもならない。同社では事業拡大に向け、協業できる企業を求めている。

左から: CEO Narayan Lal Gurjar、COO Puran Singh Rajput 氏
Image credit: EF Polymer

現在おむつ等に使われ一般的に流通しているポリマーは、アクリル系ポリマー等の化学合成されたものが多く、これらは生分解せず土壌を汚染することや、土壌成分と化学反応し吸水力を失うことから農業利用には適しておらず、同社の自然由来かつ安定した分子で構成されたポリマーは非常に優位となると考えられている。

現在、国内では沖縄県と兵庫県淡路島の農地でパイロットテストを実施している。また、インドでは Tata Trusts とビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けた Social Alpha Project のサポートを受けながら、ウッタル・プラデーシュ州など州の10地区200エーカー以上で500人以上の農家の協力のもと、パイロットテストを実施している。ポリマー製品は2020年10月からインド国内で販売を開始し、過去5ヶ月で1,700kgを販売した。

EF Polymer は、「Okinawa Startup Program」2019-2020 のファイナリストだ。2019年の Climate Launchpad Award のグランドファイナルで「炭素技術賞」を受賞した

via OIST

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