B Dash Camp in 福岡が開幕——〝持たざる国〟日本のスタートアップは、世界でどう勝つか? #bdashcamp

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渡辺洋行氏

本稿は、10月21〜22日に開催されている B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka の取材の一部。

コロナ禍で約2年ぶりとなった B Dash Camp が福岡市内で開催されている。国内で約半年ぶりに緊急事態宣言が全面解除となったのを受けて、長らく人とリアルに会う機会を失っていたコミュニティの人々が、久しぶりに集結したという印象。公式発表値ではないが、今回の B Dash Camp には700名程度の投資家や起業家が参加しているようだ。

今回のイベントの最初を飾ったパネルセッション「ネット企業の成長はどこに向かうのか」では、アメリカや中国のそれと差が拡大しつつある日本のスタートアップシーンについて、どうすれば世界で勝てるのか、その可能性や具体的な戦術について、論客でもある起業家4人を交え議論が繰り広げられた。

このセッションに登壇したのは、

  • 家入一真氏(CAMPFIRE 代表取締役社長)
  • 國光宏尚氏(gumi ファウンダー、Thirdverse 代表取締役 CEO ファウンダー、gumi cryptos capital マネージングパートナー)
  • 佐藤航陽氏(スペースデータ・レット 代表取締役社長、メタップス 創業者兼会長)
  • 辻庸介氏(マネーフォワード 代表取締役社長 CEO)

モデレータは、B Dash Camp の主催者である B Dash Ventures 代表取締役社長の渡辺洋行氏が務めた。

日本は、〝リソースを持たざる国〟

辻庸介氏

セッションの冒頭、渡辺氏は日本のスタートアップシーンが先進国の中でも圧倒的に遅れてきていることを指摘。VC のファンド運用規模で言えば、10年ほど前であれば日米で100倍くらいの差があったが、ここ数年は日本のファンドも大型化するなど、その差を縮滅つあったが、世界的な資金余りからアメリカのファンドがさらに大型化し、日本のファンドとの差を再び広げた。ユニコーンの数では、日本は米中と一桁異なる。果たして、日本のスタートアップやそれを取り巻くプレーヤーは、世界で勝てるのだろうか。

今夏315億円の公募調達を発表し時価総額4,000億円をつけたマネーフォワードの辻庸介氏は、戦いのルールが変わってきたのではないか、と応じた。今回の調達において、同社は半分以上は海外の機関投資家から資金を集めているが、彼らは「ARR(年間売上高)成長率で評価し、利益が出なくても成長に(資金を)突っ込んでほしい(辻氏)」という姿勢が強い。だが、このシリコンバレーの流儀に従っている限り日本は世界で勝てず、「どうすれば日本発の自分たちのルールが作れるか」をしばしば考えていると辻氏は語った。

佐藤航陽氏

佐藤氏は、衛星データと 3DCG を活用して仮想空間に世界を自動生成する AI を開発。衛星データからリアルを創造するこの事業は、ゲームで使われればメタバース、テロ対策に使われればデジタルツインなど、アプリケーションの幅は無数に広がる。佐藤氏は、ネットの2次元から3次元への進化、衛星や宇宙データの活用、環境など SDGs への期待は世界的に確かなものになっていると語った。

ここで挙げた3つの分野で、日本は圧倒的に遅れている。仮に国とかが後押ししたとしても、今から巻き返すのはかなり難しい。資金・プラットフォーム・人材の全てを持っている中国のような戦い方と、そういうものを持っていない(日本の)我々の戦い方は、変えるべきかな、と思っている。(佐藤氏)

gumi 創業者の國光宏尚氏今年6月に取締役会長を退任し、現在は、VR ゲーム開発の Thirdverse、仮想通貨事業に投資する Gumi Cryptos、ブロックチェーン関連事業フィナンシェの代表を務める。國光氏は VR 分野への投資を2015年から(Tokyo VR Startups など)、仮想通貨分野への投資を2017年から(gumi cryptos)始めている。

彼はこれまでに世界中のスタートアップに投資してきたが、既に VR からは12社、仮想通貨からは9社のユニコーンが生まれており、わずか数年で多くのイグジットが出ていることを強調。こうしたスタートアップを身近で見てきた経験から、日本からユニコーンが出づらいのは、「起業家やエンジニアのレベルは世界に負けていない。日本のマーケットが小さいだけ。」と環境要因が大きい可能性を指摘した。

家入一真氏

家入氏は、グローバルで戦おうとすると、技術をはじめとするリソースを総動員する必要があるが、それ以外の選択肢、例えば、事業がうまくいかなかった時の受け皿を民間でどう作っていくかについて、この数年間考えてきたという。公的な支援などで救われる部分もあるが、一方で個人個人が助け合うレイヤーが共存することで、世の中の仕組みからあふれた人々を包摂する必要性を強調した。

分散型、非中央集権型は、日本が世界で勝つカギになるかも

國光宏尚氏

コロナ禍でリモートワークが常態化したことで、分散型の働き方はもはや特別なものではなくなった。この分散型の働き方と、分散型概念の産物であるブロックチェーンを元にした仮想通貨(トークン)を積極的に取り入れることで、佐藤氏が言っていた「資金・プラットフォーム・人材」の3つのリソースのうち、資金や人材面の問題がかなり解決されるだろうと、國光氏は言う。

Thirdverse は東京に40人ほどのスタッフがいるが、ビジネス開発とマーケティングはサンフランシスコ、デザインはオースティン、開発はウクライナに分散していて、国や地域に関係なく人材を集めるとすごくラク。日本だけで採用しようとすると、こうは行かないだろう。

またブロックチェーンを使ってできるようになったのがインセンティブの革命だ。ビットコインやイーサリアムといったプロジェクトもオープンソースだが、従来のオープンソースがボランティアの尽力で作られてきたのと対照的に、トークンという形でインセンティブが得られ、超金持ちが現れるようになった。(國光氏)

応援したユーザにもトークンという形でインセンティブが配れる、まるでストックオプションのような仕組みが構築できれば、勤務場所の自由度と、報酬の自由度が担保される。アメリカの一部スタートアップでも採用されているようなエクイティとトークンによるハイブリッド報酬のような仕組みが確立されれば、日本のスタートアップは世界で勝てる可能性があるかもしれない、と渡辺氏は解説した。

佐藤氏も現在のプロジェクトに関わる人とはほぼリモートで作業を進めており、「会ったこともないし、普段はカメラをオフにしているので、声とアイコン以外はわからない」相手と仕事を共にしていても違和感は無いという。自身が創業したメタップスでは、優秀な人にコミットしてもらおうと採用活動に勤しんできたわけだが、現在のプロジェクトで関わる人たちとの関係性は、それと対照的だ。

良いポジションやキャリアの方々に、それを捨てて、先がどうなるかわからないプロジェクトに入ってきてもらうのは、なかなか難しい。ものすごいコストをかけて、覚悟をしてもらって、入ってきてもらってきたわけだが。しかし、今は(副業として)本業のために勉強したいからと言って来てくれる人もいるし、今後は給料もトークンでいいという人も出てくるかもしれない。(佐藤氏)

佐藤氏はまた、人それぞれの個性によって、適性のあるビジネスも違ってくるだろうと話した。例えば、パネリストの家入氏や國光氏は、大企業の空気には馴染めないかもしれないが、新しい技術が生まれた時にその個性が発揮される。対して、勤め人を一定期間やれた人は、これからの10年間、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野などに身を振った方がいいと思う、と締めくくった。

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