
Walmart(ウォルマート)は、その広大なグローバルネットワークの中で、独自の音声アプリケーションを設計・開発して複数のプラットフォーム上で展開できることになりそうだ。
世界最大の小売企業であるWalmartは本日(訳注:原文掲載日は11月2日)、Botmockの技術を買収する計画を発表した。Botmockはノーコード・プラットフォームを使用し、簡単に会話型アプリケーションの開発と展開ができる独自のソフトウェアを持つスタートアップだ。この買収の詳細については報道発表時点では明らかにされていない。
ノーコード・ローコードのアプリ開発は市民開発と呼ばれることもあり、ソフトウェア開発の手法としては新しいものではない。しかしここ半世紀の間に市場に登場した次世代ツールや、作業を民主化する直感的なユーザーインターフェースのおかげでこのジャンルは新たな命を得ている。標準的なアプリケーションに機能を追加したり、特定の要件に合わせて調整したりする必要があるため、企業でこの手の開発に携わるエンジニアは手を焼いていた。今ではビジネスプロセスを最適化する目的で、ビジネスラインの社員がアプリケーションを微調整したり、時には作成したりすることも可能になっている。
イノベーションの鍵は「ノーコードインターフェース」
Botmockが提供するドラッグ&ドロップ式のインターフェースはエンジニアでなくても、顧客や従業員のニーズを満たす会話型アプリケーションを作成することができる。このインターフェースと接続APIはWalmartの既存の会話開発プラットフォームに追加され、ユーザーが会話体験をデザインし、プロトタイプを作り、テストしデプロイすることを高速化してくれると同社は述べている。
Walmartのコアリテールサービス&エマージングテクノロジー担当上級副社長のCheryl Ainoa氏は、LinkedInのブログで現在のプロセスとスケジュールでは「エンジニアリングチームとビジネスチームが協力して、これらの体験を構築し、テスト・デプロイするのに数カ月かかることがあります」と書いている。一方のBotmockを使えば人事や経理などの非技術者を含むあらゆる社内チームが、数日でこれを実現できるそうだ。
Botmockのコードレスプラットフォームは直感的なドラッグ&ドロップのインターフェースを持ち、会話体験の設計が終わるとバックグラウンドで自動的にコードが開発される。デザイナー、マーチャント、カスタマーサービス、その他の非開発者のチームがこれらのツールを利用できるようになれば、Walmartは企業全体のビジネスオーナーに対して音声やチャット、インテリジェントアシスタントの体験を作る力を与えることができるとAinoa氏は語る。
「スマートに」買い物をする
「音声やチャットのシームレスなインタラクションを構築することはかなり設計が難しく、顧客のユニークな状況やニーズに応じて可能なすべての会話の流れを考える必要がありました。例えば、お客さまが音声を使って1週間分の食料品のカートを作る時、『カートに牛乳を追加してください』と言うかもしれません。そのときの正しい行動や対応はお客さまが過去に牛乳を買ったことがあるかどうか、好みの牛乳の種類は何か(2%、無脂肪など)など、さまざまな要素によって異なります。すでに何種類かの牛乳をカートに入れているのか。もしそうであれば、数量を変更するかどうかを尋ねるべきか。それともすでにカートに入っていることを知らせるべきか、といったことです」(Ainoa氏)。
これまで利用顧客に対してこういったオプションを提供するためには、まずエンジニアがWalmartの製品チームやデザインチームと協力して、簡単なプロトタイプを設計する必要があった。問題の複雑さによっては展開に数週間から数カ月かかることもあったと、Ainoa氏は語る。
「Botmockの技術を使えば、私たちのチームはわずか数日で会話型の体験を構築し、展開することができるのです」(Ainoa氏)。
Ainoa氏によれば、Walmartの既存の会話型プラットフォームでは、GoogleやSiriによる音声ショッピング、Text to Shopによるテキストショッピング、非接触型ピックアップの注文時の顧客のチェックインなどが可能なのだそうだ。WalmartのAsk Samアプリでは、業務担当者が質問するだけで店舗内の商品の場所を調べることができるようになっている。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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