デジタル資産投資Upriseが23億円調達、コロナ禍で調達続く育児テックなど——韓国スタートアップシーン週間振り返り(12月6日~12月10日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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12月6日~12月10日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは15件で、資金総額は659億ウォン(約63億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • デジタル資産投資プラットフォーム「Heybit(헤이비트)」、グローバル ETF 自動投資サービス「Iruda Investment(이루다투자)」を運営する Uprise(업라이즈)が240億ウォン(約23億円)を調達、顧客獲得を強化する計画。
  • ホワイトボード・コラボレーション・プラットフォームを提供する Allo(알로)=旧社名 BeeCanvas(비캔버스)が、Zoom Video Communications、Atinum Investment などから60億ウォン(約5.8億円)を調達。月間アクティブユーザが40万人を突破、昨年に比べてユーザは10倍以上、売上は2倍以上の増。今回調達した資金で人材採用と事業領域拡大に乗り出す計画。
  • 知識管理のための統合文書作業ツール「Typed(타입드)」を開発する Business Canvas(비즈니스캔버스)が国内外の投資会社から50億ウォン(約4.8億円)を調達。現在140カ国以上でユーザを獲得、来年正式サービスを開始し本格的なグローバル市場攻略を目指す。
  • 企業向け採用管理ソリューション「Doodlin(두들린)」が43億ウォン(約4.1億円)を誘致。Socar(쏘카) 、Idus(아이디어스)、カンナムオンニ(강남언니)など1,300社の企業を顧客に獲得、調達した資金で人材採用とサービスの高度化に乗り出す計画。
  • 3Dビジョン技術とAI 技術を使った製造・物流用ロボット精密制御ソリューション「CMES(씨메스)」が GS Retail から40億ウォン(約3.8億円)の戦略的投資を受けた。GS Retail 物流センター自動化のために協力する。
  • 伝統酒サブスクプラットフォーム「Sooldamhwa(술담화)」を運営する Damhwa Company(담화컴퍼니)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。ユーザは1万3,000人、年間売上派60億ウォン(約5.8億円)を突破する見通し。調達した資金により、AI レコメンデートションサービスの高度化と、自社キュレーション商品を拡大する計画。
  • 釜山のシェアリングモビリティ「Tourzy(투어지)」を運営する Tour Staff(투어스태프)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。釜山都市圏と済州道にサービスを拡大する予定。
  • 車両管理相談プラットフォーム「Doctor Cha(닥터차、Cha は車の意)」を運営する Autopedia(오토피디아)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。サービスの高度化と人材採用の予定。累積相談件数5万件、累積見積額120億ウォンを記録。
  • フィットネスセンター統合管理 SaaS「Bodycodi(바디코디)」を運営する Redblue(레드블루)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。長期利用権決済機能、顧客コミュニティ、コマース連携サービスなどを発表する計画。

トレンド分析

新型コロナウイルス感染拡大で、脚光を浴びる子育て分野のスタートアップ

新型コロナウイルスの感染拡大は全世界を麻痺させたが、これをきっかけに新しいサービスの出現と遅れを取っていた産業成長を促進もした。 投資家から大きな関心を受けられなかった、保護者のための児童関連スタートアップにも好機となった。保育施設が感染拡大で閉鎖されたことで生じたケアの空白を解決するサービスに集中的に投資が殺到したのだ。

海外では今年、Sequoia Capital、Greylock、ソフトバンク、Andreessen Horowitz など、有名 VC がリードした大規模投資事例がいくつも出ている。キッズフィンテックサービスの「Greenlight」は2億6,000万米ドル、子どものための乗車共有サービス「Zum」は1億3,000万米ドル、働くママのためのジョブプラットフォーム「Themomproject」は8,000万米ドルを調達、子どもケアサービスを提供する「Otter」も2,300万米ドルを調達した。

韓国国内でもこうした流れが見られる。2016年頃から児童関連のプラットフォームが登場したが、投資会社から大きな関心を受けられなかった。今年は「Jaranda(자란다、育つの意)」、「Tictoc Croc(째깍악어、カチカチと音を立てるワニの意)」、「Mom Sitter(맘시터)」など、韓国を代表する児童のケア·教育サービスを提供するプラットフォームが、それぞれ100億ウォン(約9.6億円)近い大型資金を調達した。

Mom Sitterは100億ウォン(約9.6億円)を調達し、Jaranda と Tictoc Croc は今年だけで2回にわたりそれぞれ97億ウォン(約9.3億万円)と70億ウォン(約6.7億円)を確保した。 これら企業は累積調達額の半分近くを今年に入って調達した。 それだけ育児ケアに対する投資家の関心が今年大きかったことが窺える。また、Greenlight をベンチマークしたキッズフィンテック「Lemontree(레몬트리)」も登場しシード投資だけで50億ウォン(約4.8億円)を調達、オンラインキッズスクールプラットフォーム「Gugge(꾸그)」や学校アプリ開発の Athena’s Lab(아테나스랩)も資金調達した。

育児と子供に関するサービスなので、女性創業者が設立した企業が多数を占めている。Mom Sitter、Jaranda、Tictoc Croc、Lemontrree など資金調達に成功した企業の60%以上が、女性創業者によるスタートアップであることがわかった。特に、子どもケアサービスにだけ大きな資金が注がれているように見える。 児童ヘルスケアや金融、採用など、子どもと親の両方のための多様な分野でサービスが提供され、多様性を確保することは解決していくべき課題だ。 また、グローバル市場では、家族分野のサービスにのみ集中的に投資するファンドも生まれ、市場が拡大しているものの、韓国国内ではまだそのような流れは見えていない。

しかし、子供関連を包括するファミリーテック分野での投資は、育児経験を持つ女性ベンチャーパートナーの活躍が目立ち、育児ソリューションに喜んでお金を支払う意向のあるミレニアル女性が増加したことで、さらに加速すると思われる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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