人工知能で肺がんを早期診断ーーAI臨床診断「Optellum」が100万ポンドの資金獲得

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ピックアップ:Luminous Ventures invests £1m in world’s first Cancer AI software

ニュースサマリー:AI臨床診断支援ソフトウェアを開発する「Optellum」は7月15日、Luminus Venturesによる100万ポンドのシードラウンド調達を発表した。

同社の創業は2016年。米国およびヨーロッパの病院から収集したCTスキャン、臨床データ、組織分析を含むデータを用いて機械学習を行い、数千もの医師の集合的な経験に基づく肺がんの早期診断および治療のためのソリューションを提供する。

臨床医は経験不足による見逃しを防ぎ、患者は無害な病変の過剰診断による不必要な検査コストの負担を防ぐことができる。

話題のポイント:日本においてがんによる死亡者数が最も多い部位は肺です。2016年の肺がんによる死亡者数は男性で5万5200人(全体の25%)、女性で2万2100人(全体の14%)となっています。特に男性は2番目に多い胃がんによる死亡者数が3万1700人(全体の14%)であるため、肺がんが原因で亡くなる人の多さが目立ちます。

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画像クレジット:がん統計’ 16

肺がんはその他のがんと比べて、決してステージごとの5年相対生存率が高いわけではありませんが、ステージⅠでは肺腺がん約90%、肺扁平上皮がん約70%、肺小細胞がん約60%、肺・気管約80%と早期診断を実現することでがんによる死亡者数を減らすことができます。

しかし、肺がんの早期診断は困難です。肺がんの一般的な診断手順はまず問診、症候・症状を確認し、視診、触診などの理学所見を行います。次に胸部X線や胸部CT検査などを行い、これらの検査で肺がんが疑われた場合には、さらに確定診断のための検査を実施されます。

つまり、肺がんを見つけるには胸部X線や胸部CT検査の時点で疑われなければなりません。胸部X線は腫瘍の大きさが2cm以上ないと見つけることはできず、がん発見率は全国平均0.05%と低いのが現状です。また胸部CT検査は僅かな大きさでも腫瘍を見つける経験豊富な呼吸専門医が必要となります。

この画像診断が困難かつ呼吸専門医個人の技術に依存していることが早期診断のボトルネックになっていました。

早期診断を実現する方法として、核医学でがん細胞の特性を利用したPET-CT検査が注目されています。PET-CTでは形態画像とがん細胞が栄養とするブドウ糖代謝の機能画像を組み合わせることで直径5mmのがんを発見できるとされています。

更に2019年4月6日に発表されたハイデルブルク大学病院の論文によると、がん増殖時には発現する物質を標的とすることで、患者への負担を抑えながらがんを識別することに成功しています。ただし、健診では保険適用外となるため約9万円の検診料がかかるので、死亡者数を減らすためには簡単に肺がんを早期診断できることが求められるのです。

Optellumのソリューションは胸部CTスキャンに適用できます。そのため、高額な検診料を払わず、数千人の医師の集合的な経験に基づく「優秀な目」に診断してもらえるのです。

肺がん早期診断のボトルネックを解消し、かつ簡単に検診してもらえる仕組みを提供する同社の強みはオクスフォードに拠点を置き、臨床専門家のチームとトップテクノロジー企業出身のエンジニアを抱え、そして医療画像処理スタートアップのMirada Solutionsなどと協力することで生まれているそうです。(執筆:佐々木峻

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