SmartHRが61.5億円調達ーー2.6万社の継続率は99%超「従業員データ」活用で働き方改革推進に一役

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2019.7.22

SmartHR代表取締役の宮田昇始氏

人事労務クラウドを提供するSmartHRは7月22日、シリーズCラウンドの資金調達を公表した。第三者割当増資と新株予約権付社債を使ったもので、調達した資金は総額61億5000万円。内訳は第三者割当増資分が55億円、新株予約権付社債分が6億5000万円となる。第三者割当増資を引き受けたのはシニフィアン(THE FUND)とALL STAR SAAS FUND、海外投資家でLight Street Capital、ほか名称非公開の2社となっている。

SmartHRを導入する企業数は2万6000社で、継続利用率は99.5%と高い水準を誇る。2017年10月に公開したペーパーレス年末調整機能や、その翌年8月の雇用契約機能など順調にアップデートを重ね、今年4月からは上位プランとなる料金形態を発表。同社の説明では15%の顧客が切り替えに応じている。

<参考記事>

国内企業の人事を飲み込むSmartHRーー2年弱で1万社獲得、その急成長の理由を聞く

現在130名の体制で、開発やマーケティング、カスタマーサポート、営業がそれぞれバランスよく集まっている。また新規事業として確定拠出年金「bowl」を提供するSmartHR Insuranceや、会議改善クラウド「SmartMeeting」など子会社も立ち上げた。本誌では同社代表取締役の宮田昇始氏にビジネスの方向性などを聞いた(太字の質問は全て筆者、回答は宮田氏)。

前回取材時、企業の「入退社」トラフィックを掴むことで月間退会率0.5%という高い継続率を実現していると伝えた。現在も99.5%という高い継続率を続けているが、改めてそのモデルについて説明をしてもらいたい

宮田:はい、ビジネスのコアは従業員データが「集まる」「溜まる」「活用できる」というモデルです。

まずデータを集めることについてですが、従来は複数の書類に手書きで集めて転記していた従業員情報をスマホ・PCから簡単に集めることができるようにしました。これによって記入ミス、文字が読めない、何度も同じことを記入させられる、転記のミスなどがなくなる。

ありそうでなかった年末調整などの手書きをデータ化した

宮田:結果として従業員データがSmartHRにどんどん蓄積されます。これが我々のビジネスのコアです。先進的なメガベンチャーでさえ従業員データは「ばらばら」「ぐちゃぐちゃ」「ちぐはぐ」な状態です。SmartHRの従業員データは行政手続きにも活用され、常に正確、常に最新の状態を保てます。さらに4月の大幅アップデートで「履歴情報」と「申請・承認」の機能が追加されたけどのでより強化されています。

これら集めた従業員データはどのように活用されている

宮田:これまでは社会保険手続きや、年末調整、雇用契約など手続系に活用できていました。現在はそれに加え「カスタム社員名簿」という複数の名簿を簡単につくれるようになっています。

これはアルバイトや一般社員が顔と名前を一致されることに使えるライトな名簿や、経営層が人材配置につかえるような重めの名簿までを自由に作成できるものです。さらに9月にはHR向けのBIツールのような「分析レポート」を公開予定で、活用の幅をどんどん広げる計画です。

そうは言っても企業側に強いニーズがなければ従業員リスト作成にコストをかけるという意識は生まれない。どのようなフィードバックがあったか

宮田:2019年4月から「働き方改革関連法」が施行されましたよね。この対応がかなり大変で、おおよそ人事労務の方が担当されているのですが、実は彼らって「兼務」や「残業」も多いんです。

働き方改革のおかげで残業が増えたら笑えない

宮田:この業務のなかで効率化の余地が大きいのが「社会保険」や「年末調整」「労務(人事情報管理や雇用契約管理など)」なんです。こういった人事労務担当者の業務を効率化し、働き方改革の第一歩を踏み出す際のソリューションとしてまず最初に想起いただいているのは大きいと感じてます。

行政側の電子化による追い風も大きいと感じるが

宮田:そうですね、そういう意味ではもうひとつ、2019年4月から書面交付が義務付けられていた「労働条件通知の電子化」が解禁になりました。2020年4月からは大企業の社会保険手続きの一部が義務化されます。ご利用社で、雇用契約書は発送から回収まで約1カ月半かかっていたのが、現在では10日ほどで全体の95%を回収できるので必要な時間が1カ月短縮された、という方もいらっしゃいます。また、万一書類に不備があってもオンラインですのですぐに再送信も可能です。

こういった画期的な法改正が導入の後押しになってユーザーの利便性にも繋がっていると感じています。

ありがとうございました。

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