すべての不動産テックスタートアップよ、日本に来たれ!【ゲスト寄稿】

mark-bivens_portrait本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


東京で過ごしていると、建設機械の雑音を聞かずに過ごすことは難しい。常に変化を続けるこの街では、一年中新しい建物の建設が行われているようだ。この現象は、大阪、神戸、福岡といった日本の他の主要都市の多くでは繰り返されているが、東京においては、その傾向がより顕著だ。幸いにも、近隣住民や通行人を邪魔しないよう、日本の建設技術は熱心に雑音レベルを制限している。さらに言えば、プロジェクトは開始から終了まで時間内に効率的に進むようだ。これがパリなら、同じ時間で、まだ工事のための計画会議が行われている段階である。

東京のオフィスやコワーキングスペースの建設は今年特にアクティブになると考えられ、私の意見では2つの波がその要因になると思う。一つは2020年のオリンピックに向けた準備、もう一つは、日本中を席巻する魅力的なイノベーションを渇望する波だ。

言うまでもなく、日本の不動産デベロッパ各社は、この2つの波が重なったところにいる。三菱地所、三井不動産、森トラスト、東急不動産はもとより、外国人には馴染みの薄い日鉄興和不動産や APAMAN グループといった大企業までが、イノベーションという捉えどころないものの追求に力を注いでいる。これらの企業は、日本での規模拡大に関心のある日本内外のスタートアップからの急増する需要に応えて、スタートアップハブやコワーキングスペースを建設している。

一方、WeWork のような外国企業はすでに東京で重要な拠点を築き上げており、数カ所については予定よりも早く満室稼働に達している。

この幸福感から得られる2つの学び

この幸福感から得られるものとして、私は2つの結論を導き出した一つは、もし東京や他の日本の主要都市でオフィススペースを探すスタートアップなら、特に来年の夏のオリンピックが終わった後には、すぐにそれが膠着状態になるかもしれないということ。もう一つは、不動産業界のイノベーティブテックに取り組むスタートアップにとっては、説得力のある市場がここ日本に出現しつつあるということ。それが不動産管理ツールであれ、工事のテクノロジーであれ、ブロックチェーンベースの不動産ソリューションであれ、商業地や住居のマーケットプレイスであれ、東京には需要がある。

数年前、フランスのポップアップ店舗プラットフォーム「PopUp Immo」の創業者が、日本市場参入の可能性を探るべく、当地を訪れた時のことを覚えている。その時は、彼は日本がまだその段階にないと判断し、アメリカ市場に視点を向けた。以降 PopUp Immo はアメリカの同業である StoreFront を買収、現在ではポップアップ小売業で誰もが認める世界的リーダーとなった(Mohamed には敬意を込めてそう言いたい)。

今から振り返ると、Mohamed が日本よりアメリカの市場を優先された決断は、当時は正しいものだった。しかし、彼が今日、同じような選択を迫られたしたら、その判断は少し違ったものになるのではないかと思う。

日本は壮大なマクロ経済の課題に直面している。イノベーティブなスタートアップに対する需要は、私が日本に訪問してきた中で、国内にも海外にも(国内は十分ではないけれども)、今までになく強いものとなっている。

すべての不動産テックスタートアップよ、日本に来たれ!

日本では不動産テックのスタートアップが不足しているため、私は海外のイノベーティブなプロジェクトを精査してきた。中でも、そういったスタートアップが豊富にいるヨーロッパに注力している。私は現在、ヨーロッパの不動産業界で活動する、100を超えるスタートアップのディールフローをトラッキングしている。さらに言えば、PitchBook にいる友人たちのおかげで、不動産またはそれに近接する分野には、350を超えるテックスタートアップがヨーロッパにいることがわかった。PitchBook から引用したデータの一部を以下に紹介したい。

Source: PitchBook

不動産分野のイノベーションに取り組むテックスタートアップで、もし日本市場への進出にあたって資金調達に興味があるなら、私はぜひ話を聞いてみたい。

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