国内HR Techの一角、クラウド労務管理「SmartHR」運営がWiL等から5億円調達、開始9カ月で利用数は1700社に躍進

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KUFU代表取締役の宮田昇始氏

クラウド労務管理「SmartHR」を提供するKUFU(クフ)は8月30日、WiLをリードとする第三者割当増資を実施したと発表した。同ラウンドに参加したのはBEENEXTと500 Startups Japanの2社と、個人として千葉功太郎氏、赤坂優氏、西川順氏の3名。調達した金額は総額約5億円で、払込日や株式比率などの詳細は非公開。

今回調達した資金で20名ほどの人員を35名まで強化するという。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏の話では、赤坂氏と西川氏はエウレカとしてSmartHRを最初に導入してくれた有料のエンタープライズユーザーであり、千葉氏と合わせてこれまでエンジェル投資家を迎え入れてこなかった同社のメンター的な役割を期待しているという。

同社の創業は2013年1月。宮田氏によると資金調達はこれまでにOpenNetwokLabと昨年7月のシード追加資金3000万円、今年1月にEast Ventures、DGインキュベーション、BEENEXTからの増資で調達した4000万円の計3回を実施している。

しばらくの受託開発時期を経て2015年11月に公開したクラウド型の労務管理サービス「SmartHR」が大ヒットとなり、開始9カ月を経た今、1700社の利用社数を獲得した。

料金形態は各社で管理する従業員数に応じており、宮田氏はその全体契約人数は非公開としつつも、一人当たり500円程度で契約ができるよう各種プランを調整しているということだった。なお、51名以上のプランは応相談となっている。

国内カンファレンスで賞を総なめ

LaunchPadで優勝、国内賞レース4冠を獲得

OpenNetworkLabに始まり、日本語版のTechCrunchやB Dash Camp、Infiniy Ventures Summitなど各種スタートアップ系のピッチ賞レースで、「全て」最優秀賞を獲得した評価の高いプロダクトが順当に次のステージに進んだ。

従来どこも手をつけなかった手作業による労務管理、特に役所に提出する書類の数々は経営をやったことのある人であればその微妙な面倒さを理解できるはずだ。この「微妙」というのがミソで、ほとんどの場合は社労士に一任するのが当たり前になっており、主に人材が動くタイミングで発生する業務ということもあって、そこに忙殺されるということはあまり発生しない。

つまり、盲点だったのだ。

開発に至ったストーリー、盲点とも言える市場性、分かりやすいビジネスモデル。彼らの「発見」への高評価は納得感がある。

気になるのは競合の存在だ。これほどいい場所を見つけてくれたのであれば他社が黙っているはずはない。宮田氏によると、同様のバックオフィス系サービスで一部、労務管理に寄せてきているところがある他、「インターフェースを完全に丸パクリ」(宮田氏)している事例も聞き及んでいるという。

もちろんこういった追従は予想通りと、競合対策も進めているという。具体的な内容については近日に公開するということだったが、後追いしてくる人には相当嫌な施策になるらしい。その一方で宮田氏はこのようにも語っていた。

「競合が市場を広げてくれるという面もあります。似たようなサービスを提案した結果、その内容からこういうサービスがあったんだと気がついて結果的に私たちを選んでくれることもあります。会計ソフトがクラウド化した時はそもそもそういうジャンルがあったから理解もしやすかった。けど、労務管理はそういうものがなかったので啓蒙が必要なんです」(宮田氏)。

クラウド会計サービスの市場規模から想定して国内で獲得可能な社数を20万社ほどと試算しているという宮田氏。継続率も98%と高いが、数名の小規模事業者にとってはメリットを感じにくいなどのフィードバックもあるそうだ。

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