心疾患を音で見つける「超聴診器」開発、熊本発AMIが日清紡HDと資本業務提携

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

鹿児島や熊本を拠点とするヘルスケアスタートアップ AMI は、日清紡ホールディングスと資本業務提携を締結し、 1.5億円を資金調達したと発表した。今回の調達により、累積調達額は明らかになっているものだけで7.7億円を超えた。2017年5月には KDDI ∞ Labo 第11期のデモデイで優勝している。

AMI は、これまで医療従事者の経験と聴覚に頼らざるを得なかった聴診器を進化させた「超聴診器(心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器)」を開発。心筋活動電位の発生タイミングとデジタル化された聴診音を抽出し合成することで、音声ノイズを取り除き、疾患に繋がる心雑音のみを自動的に検出することを目指す。

日清紡 HD は「ライフ&ヘルスケア」を戦略的事業領域の一つに定めており、強みである無線通信技術を使った医療機器や介護領域の製品を開発している。AMI は、超聴診器で DtoD(医師-医師間)の遠隔医療サービスや地域医療格差是正を標榜しており、日清紡 HD とは、情報通信技術、センシング技術、医療機器製造などのノウハウ共有により、遠隔医療サービス実装で事業共創する。

今回の連携の背景について、AMI代表取締役CEOの小川氏は以下の様にコメントしている。

2018年の「第5回”ヘルスケア産業づくり”貢献大賞」授賞式後の懇親会で、日清紡マイクロデバイス社との意見交換をきっかけに技術交流が始まりました。そして、この度『超聴診器』の研究開発および遠隔医療の社会実装に向けて、日清紡HDとの資本業務提携に至りました。

今後は、肥銀キャピタルをはじめとした既存株主や共同研究先との共創により、質の高い遠隔医療サービスの社会実装を目指します。(AMI 代表取締役CEO 小川晋平)

AMI は医師の小川晋平氏により、2015年11月に創業。熊本大学、鹿児島大学、京都大学、大阪市立大学、富良野協会病院、天陽会中央病院、済生会熊本病院、相良病院などで臨床研究を実施している。

また今年3月には、経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラム「J-Startup KYUSHU」企業の一社として選定されている。

「J-Startup KYUSHU」企業に選定されたことを受け、共同研究先やベンチャーキャピタル、自治体の皆さまからお褒めの言葉をいただいたり、マスコミからの問い合わせがあったりと、反響の多さに驚いております。

産学官の連携をもとに医療DX を推進する新たな DtoD(Doctor to Doctor:医師 – 医師間)遠隔医療サービスやクラウド総合病院構想の実現に向けた取り組みを、より一層強化します。(AMI 代表取締役CEO 小川晋平)

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