店舗向けMEOツール「口コミコム」運営のmov、7億円をシリーズA調達——通信キャリア3社などから

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前列左から:石井貴基氏(千葉道場ファンド)、渡邊陽介氏(mov)、大薮永氏(mov)、渡邊誠氏(mov)、菊池惟親氏(mov)、杉山慎一郎氏(mov)、澤山陽平氏(Coral Capital)
後列左から:塚本繁男氏(i-nest capital)、新井春香氏(NTTドコモ・ベンチャーズ)、笹原優子氏(NTTドコモ・ベンチャーズ)、宮本氏(KDDI)、 林昇平氏(グローバル・ブレイン)、Nicole SJ Jang 氏(楽天ベンチャーズ)、猪越聡行氏(楽天ベンチャーズ)、安田純也氏(SMBC ベンチャーキャピタル)、飯塚航氏(SMBC ベンチャーキャピタル)
Image credit: mov

AI 店舗支援 SaaS「口コミコム」を運営する mov は25日、シリーズ A ラウンドで7億円を調達したと発表した。このラウンドは千葉道場ファンドがリードし、KDDI Open Innovation Fund(GP:グローバル・ブレイン、LP:KDDI)、NTTドコモ・ベンチャーズ、Rakuten Capital、i-nest capital、Coral Capital、SMBC ベンチャーキャピタルが参加した。SMBC ベンチャーキャピタルは、前回ラウンドの昨年7月のプレシリーズ A ラウンドにも参加していた。mov の累計調達額は10億円に達した。

今回ラウンドの投資家には、通信キャリアの CVC が3社相乗りしていて、互いに競合関係にある中では珍しいケースだ。口コミコムは、いわゆる MEO(マップエンジン最適化)ツールで、この分野ではドイツの Uberall が世界最大手だが、国産 MEO ツールとしての口コミコムをより堅固なポジションに育てたい、という投資家各社の意図が働いているようにも見える。この分野には、国内では「Canly」「HOSHITORN」運営のエフェクチュアルなどが競合として存在する。

mov は2015年9月、シリアルアントレプレナーの渡邊誠氏らにより創業。口コミコムは主に小売店や飲食店をターゲットとしたサービスで、店舗が情報を登録すると、Googleマップなどの地図アプリに表示されるほか、営業時間の変更や不適切なユーザ投稿写真の削除対応、口コミへの返信などが一括でできる。また、オンライン投稿された顧客の生の声を、リアル店舗における店員の接客や環境の改善に活かすことができる、〝O2O のミステリーショッパー〟的な役割を担わせることもできるようだ。

Image credit: mov

口コミコムの業績、クライアント数は共に右肩上がりで、最近は、業種を問わず大手企業からの受注が相次いでいるそうだ。渡邊氏によれば、この動きには言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大が影響している。特に今年に入ってから現れた第6波は、飲食店にこれまでと違ったレベルの危機感をもたらすことになった。第5波までは数は減っていたものの一定数の来客(感染リスクにあまり神経質ではない人たち)に支えられていたが、変異株の出現で感染力の高まりから第6波以降はめっきり客が減っていたというのだ。

そんな事情から、店舗の経営者らはより本格的な対応ができる MEO ツールを探し始めた。渡邊氏によれば、口コミコムは MEO ツールとしては後発ながら、カスタマーサクセスや機能を充実させたことで、一通りの MEO ツールを一巡したユーザが流れ着く受け皿となり、スイッチングコストが高くない領域であるにもかかわらず、チャーンレートは低く抑えられているという。外国人観光客の入国制限が緩和されることを見越して、mov の従来事業であるインバウンド対応ソリューションにも問い合わせが急増しているそうだ。

mov では今回調達した資金を使って、口コミコムの導入拡大に資する人材採用、口コミコムに蓄積されたデータを活用した新たな AI サービス開発、マーケティングへの投資を行い、国内外の店舗運営業務の高収益化・効率化を加速していくとしている。

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