資産運用とクレカを「合体」させたPool、カンムが目指すベンチャーデット・新スタイル

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ニュースサマリ:アプリから発行できるVisaプリペイド「バンドルカード」などを提供するカンムは6月15日、新たなプロダクトとして資産運用型のクレジットカード「Pool」のサービス開始を伝えている。Poolは投資とクレジットカードを組み合わせた商品で、ユーザーは投資した資金の1%を年利のリターンとして受け取れる期待できる上に、預け入れた資金を限度額とするクレジットカードとしても利用できる。カードブランドはVisa。一般的な投資運用商品は、一定期間の預け入れを条件にすることが多く、Poolは資産運用と預け入れた資金の流動性の両方を担保していることが特徴。

仕組みはカンムがPool用に用意したファンドにユーザーが出資し、その運用益をリターンに充てる方法。ファンドは毎月募集を実施し、2カ月で償還(満期)を迎える。ユーザーはこの償還期限までに次のファンドに再投資するかどうかを選択できる。再投資の申し込みをしなかった場合は預けた資金は償還され、出金となる。1つのファンドに対する投資下限は1,000円で、上限は1,000万円までとなる。

ユーザーは会員登録後に、本人確認を済ませた上で必要な審査を受ける。この審査が完了するとVisaのクレジットカードが送付され、利用を開始することができる。なお、ファンドという性質上、1%の年利リターンは税引き前の内容でその成果は保証されていない。また、クレジットカードとして利用する場合は翌月一回払いのみとなる。

Poolの仕組み

話題のポイント:カンムは国内フィンテックスタートアップの注目株なのですが、ここにきて非常に個性的な商品をリリースしました。貸付投資という新しいカテゴリを創造したことで爆発的な人気を誇る「Funds」が近い考え方です。Poolではそこにさらにクレジットカードを付与して、預けた資金を日常生活でも使えるようにしたのが画期的でした。

詳細やリスク、そしてカンムが何を目指しているのかについては、代表の八巻渉さんにポッドキャストでお聞きしていますので、ぜひそのお話を聞いてください。

ポッドキャスト全文

BRIDGE編集部・ポッドキャストではテクノロジースタートアップや起業家に関する話題をお届けいたします。今回の取材では新しい資産運用の形を提案するクレジットカード「Pool」をリリースされたカンム代表の八巻さんにお越しいただきました。

若年層などクレジットカードが持てない層にも使える、プリペイド型のバンドルカードを提供していることで知られるカンムですが、数年の歳月をかけて新しいカードソリューションの提供を発表しました。Poolは預けた資金に1%のリターンを期待できる上に、その預けた資金を限度に通常のクレジットカードとして日常生活に使えるというものです。その仕組みがどうなっているのか、カンムのこれまでも含めて八巻さんにお伺いしてきました。ぜひ彼の声をお聞きください。

カンムでPool事業に取り組んだチームのみなさん(写真提供:カンム)

八巻さんって学生起業でしたっけ?

八巻:大学を卒業してベンチャーに入って3年目ぐらいに起業したので似たようなもんなんですけど、学生時代に起業した会社ではないです。

確か六本木の有名な起業ビル出身ですよね

八巻:本当に同じタイミングで起業したのは、みんなのマーケットの浜野くんで、同じタイミングでオフィスにはメルカリやグノシー、CAMPFIRE、BASEが1つ下の階にいたみたいな感じでした。あと、コイニーと。

改めてそんなカンムのご紹介をお願いできますか?

八巻:カンムは2011年に創業して13年目か12年目ぐらいです。めちゃくちゃ長いこと会社やってます。最初から金融とITをテーマにやっていて。最初は会社四季報のオンライン版を個人向けのサービスとして提供してたんですけど、なかなかスケールしなそうだねっていうので、金融サービスをもっとレバレッジかけれるようなテーマが何かないかな?と考えていました。

結局、経済を成長させるのは消費か投資なので、投資ではなく消費の方でなにかユーザーの体験をよくできる商品をできないかなと思って、カード決済データを分析して、その人に合ったクーポンを提供し、その人が消費行動を変えるみたいなことができないかっていうので、クレディーセゾンさんとカードリンクオファー(CLO)というものを提供してました。

これが2013年です。これはカード会社さんから決済データ全部ください、みたいなことしないといけなくてなかなかハードルが高い。今だとフィンテックって流れがあるのでやりやすいのかもしれないですけど、当時はそういう話もなくて。

まあ、これもスケールが難しいということになって、自社でカードを発行できたら色々とはかどるんじゃないかと思い、2016年からオリコカードさんと提携してバンドルカードというサービスを提供しています。

ありがとうございます。バンドルカードについても説明してもらっていいですか?

八巻:アプリをインストールして生年月日を入力をするとVISAのカード番号が発行されて、そのカード番号を使ってネット決済できますよというビザのプリペイドカードサービスになります。プリペイドなんで先にチャージが必要なんですけど、コンビニチャージとかネットバンク、ATMでチャージいただいていたんですが、2018年からは後払いのチャージも結構使われていて、後払いも先払いもできるプリペイドカードがお店で使えますよっていうのを提供してます。

では、今日の本題のPoolについて教えてください

八巻:元々、我々はVisaのカードを発行したり、そのシステムが強い会社でもあって、新しい顧客属性の方に提供できるカードがないかなというところから開発を始めました。Poolとはどういったサービスかというと一言で言うと、「手元の資産形成に活用できるクレジットカード」というコンセプトでリリースする、投資とVisaカードを組み合わせたプロダクトになります。アプリ上で口座開設を行い、その口座にお金を入れて、投資を申込むとリターンを期待できます。

また、同時に口座に入れた金額が与信枠となり、Visaの加盟店でカード決済をすることができます。カード決済をしたら決済金額の1%のキャッシュバックも得られます。カード決済に使ったお金は、全て口座のお金から精算されます。具体的な期待リターンについては細かくちゃんと説明しないといけないのでサイトをご覧いただきたいんですけども、期待利回りで年に1%がつくVisaのカードみたいにご認識頂けると良いかなと思ってます。

1%は資産運用としては低い印象です。どういう利用ユーザーを想定していますか

八巻:おっしゃるとおり、バリバリ投資経験がある方は、数%以上のリターンを期待されているかと思います。実際私もそうです。ただ、プールの狙いというのはどうしても日常生活のために手元に資金が必要です。現金で保有していると金利は付きません。その手元資金を少しでも運用に回したいと思う人が、テストの結果、結構いらっしゃり、その方々を当初はメインターゲットと置いています。ただ、わかりやすいリターンやリスク、いつでもカード決済に使えるという点で、投資のハードルを下げられているとも考えており、投資未経験の方に、最初の投資の第一歩として使っていただけるようなプロダクトに今後はしていきたいと考えています。

開発の背景は

八巻:老後2000万円問題ではありませんが、日本は長年低金利が続いており、ちゃんと資産運用をしないと、外国に比べて相対的に貧しくなっていくことが、日本のリテール金融の最大の課題で解決すべき課題だと考えたからです。世界は3-4%等で成長しており、かつコロナ明けで米国はインフレ、さらに円安も重なりここ半年程度で日本円の価値が20%以上毀損しています。これは放置できない課題です。

なお、今述べたのはビジョンの話ですが、自社の戦略上も重要で、Poolでの初期の運用先は、弊社で提供しているバンドルカード事業としています。というのもバンドルカード事業は決済事業なわけですが、多額の運転資金が必要なビジネスでもありまして、その決済資金に集めた資金を充て、決済収益をリターンの原資にしようとしています。バンドルカード事業は自社内の事業なので、まずはコントロールしやすい領域で資金を運用しようと考えております。

これが実現すれば会社として調達コストが下げられるところに大きなメリットがあるので、これを使って資金が循環するような仕組みを実現したいと思っています。それができると金融サービスをこの先いろいろ作っていきたいと思ってるんですけど、そういったサービスを提供する会社として非常に強固な基盤が作れると思っているので、このバンドルカードとPoolがお金で繋がってる構造を作るという意味において、戦略リボンの重要な位置付けと置いてます。

一方で投資家保護の観点も重要になってきます

八巻:おっしゃるとおりで、Poolは第二種金融商品取引業として登録している当社が提供するサービスで、提供にあたっては、金商法の規制・ガイドラインといったルールへの準拠が必要です。一方でリスクはもちろん存在していて、投資家も自己責任原則のもとで投資判断を行っていくため、我々事業者としてもしっかりとルールに準拠して、投資判断に必要な情報を提供し、説明していく義務があるのは当然だと思っています。

特にpoolはウォレット、カード、投資という複数機能から構成される少し複雑な商品設計なので、丁寧な情報提供や説明が必要だと思っています。そこで、ルールに定められたいわゆる法定書面による情報提供、説明だけでなく、動画を作成したり、FAQを充実させたりして、丁寧さ、わかりやすさにこだわってみました。投資未経験の方でも、安心して最初の投資の第一歩として使っていただくためにリターン、リスクといった必要な情報をわかりやすくお伝えしていくことが何よりの投資家保護であると考えております。

最後に、このサービスを通じてバンドルカード含め、目指したい世界観を教えてください

八巻:Poolのリリースと同時に、ベンチャー企業向けに貸付を行うベンチャーデッド事業も新規事業として仕込んでいます。今までベンチャー企業は銀行から借入がしにくく、株式での調達が中心だったのが、ベンチャー企業の規模が大きくなり、かつ初期投資の必要な領域に広く展開され始めた背景から、ニーズが増えていくと予想しています。つまり、将来的にはPoolで調達した資金をベンチャー企業側に提供していく、という構想を描いています。なお、バンドルカードは550万人に利用されているので、こういった会員送客や培った不正検知のノウハウも合わせて提供できると考えており、資金を提供するだけではない強みに昇華できる可能性があると踏んでいます。

このように、バンドルカードの会員やノウハウ、Poolの資金を活用した、ノンバンク事業を今後展開していきたいと考えています。その先には、バンドルカードやPoolのような自分のお金を管理・運用したい人向けのサービスを提供し、そこで集まった資金をお金が必要な人に提供するサービスも合わせて、資金が循環する仕組みを作りたいと考えています。

世の中からお金を集めて、成長する産業に投資をして、経済成長を促す、ある種銀行のようなプラットフォームを構築していきたいです。

ありがとうございました!

修正補足:記事初出時に1%のリターンを受け取れる、としましたが、運用という商品の特性上、確約されたものではないため「期待できる」に変更しています。

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