貸付投資「Funds」20億円調達、ANRIやメルペイら出資ーーファンド本数の大幅増、その理由を聞いた

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写真左から取締役の笹嶋靖史氏、代表取締役の藤田雄一郎氏、共同創業者で取締役の柴田陽氏

貸付投資「Funds」を企画・販売するファンズは4月27日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先になったのは既存投資家でグローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠 テクノロジーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、AGキャピタル、新規引受先としてANRI、 日本郵政キャピタル、メルペイ等が参加した。調達した資金は総額約20億円。シリーズCラウンドでこれまでの累計調達額は32億円となる。

調達した資金はファンド募集の拡大やサービス拡充、コンプライアンス体制強化を目的に人員体制の増強、マーケティング活動に投資される。Fundsのサービス開始は2019年1月。関係会社貸付を活用した社債のようなスキームを用意し、個人でも企業に貸付ができる金融商品を販売している。予定利回りで1〜3%のミドルリスク・ミドルリターンが特徴で、1円単位からの少額投資ができる。

2年間の実績をまとめたインフォグラフィックを公開している

これまでに73本のファンドの募集を実施し、95%が満額成立している。参加している個人投資家の数は3万人で、公開したファンドの8割が3時間以内に満額申込を達成するなど、新たな資産運用サービスとして定着しつつある。本誌ではこの後12時から共同創業した代表取締役の藤田雄一郎氏と、共同創業者で取締役の柴田陽氏にClubhouseで公開取材を実施して詳しい話を聞く予定だ。

話題のポイント:ということでClubhouseの公開収録で詳しいお話伺ってきました。何よりも驚いたのはFundsが募集するファンドの本数の増加です。以前の記事でも書いた通り、Fundsには大きな課題があったのですが、それが解決されていました。

そしてこれにはやはり明確に理由がありました。下図を使って説明します。

Fundsの特徴である「ミドルリスク・ミドルリターン」を実現したスキーム、それが関係会社貸付を使ったものでした。資金調達をする企業が子会社を作ってそこがファンドを組成するという方法なのですが、これのメリットは以前の記事に書いた通りです。(下記に引用します)

しかし、実際にその資金を運用するのは企業の関係子会社になっています。集めた資金をその子会社に貸付するわけです。なんでそんなややこしいことをするかというと、ファンドにはもし、失敗した場合に「補填ができない」というルールがあるからです。

例えばとある上場しているA社があるとします。彼らが匿名組合のファンドを組成し、個人から資金を集めてそれを直接、複数社の事業に投資して運用するとしましょう。当然ながら全部が上手くいくわけではなく、いくつかは失敗します。この失敗のリスクはこのスキームでは、出資した個人投資家が負うことになります。これが従来、ソーシャルレンディングで発生したリスクの構造でした。

関係会社貸付はそれに対して防波堤のような役割を果たします。A社は自分の関係会社B社に対して集めた資金を貸付します。B社がそれを運用して勝率を出すところまでは上記スキームと同じなのですが、この「貸付」というのがキモで、B社はA社に対して「返済の義務」が発生することになります。つまり、勝率がどうであろうと負けた分も含めて返さないといけない、というわけです。

さらにA-B社連合には評判リスクというものがあります。完全にA-B社連合が倒産するようなデフォルトの可能性もないわけではありませんが、そうでなければ、従来個人投資家が負うべきとされていたリスクは、B社で受け止めてもらうことが可能になります。

結果的に、ファンドの形(権利)でありながら社債(貸付)の特性を持つ商品設計になっている、というわけです。ややこしいですが、理解できるとなるほどよく考えたなと思うスキームです。

実施する側からするとややこしいスキームですが、個人投資家からは「ミドルリスク・ミドルリターン」が実現されており、Fundsの商品はどれも数十秒で完売するという人気を獲得することになります。

しかしこのスキームには重い十字架がオマケで付いてきました。そうなのです、資金調達する側が子会社を設立しなければならなく、ファンドの組成件数が伸びないという頭の痛い問題があったのです。当然ですがこれではスケールしません。そこでFundsがもうひとつ用意したスキームが、ファンド組成を担っていた子会社の部分(特別目的会社のSPC)をFunds側で運用する、というものでした。

このためにFundsでは昨年に第二種金融商品取引業の免許を取得し、ファンズ・レンディングという貸金業の子会社を立ち上げています。これで足回りが軽くなった結果、ファンドの組成が一気に伸びたというわけです。

お話によれば、これまでひと月に3、4件ほどしか(しかも数十秒で売り切れる)公開できなかったファンドが「今では3件同時に公開できる日もあるほど」(柴田さん)スケールしたそうです。現在は一件あたり5,000万円から1億円ぐらいのサイズのファンドを毎月10億円ほど売り出しているそうです。

関係会社貸付のスキームに比べてFunds側のリスクが若干上がりますが、そもそもFundsを利用する企業はかなり慎重な審査を経て参加する上場企業が中心です。評判リスクは依然として利用企業側にあり、全体のリスクとしてはそこまで変わらず「会社が潰れない限りは返済の義務があるので、借り手が倒産するリスクを中心に投資判断をして欲しい」(藤田さん)ということでした。

ファンド組成のボトルネックが取れた今、次に目指すのはプラットフォームの拡大です。現在3万人という数字は桁数を増やすため、今回の調達資金が大きく投じられるというお話でした。また、こうやって集まったユーザーと企業を投資という接点だけでなく、タッチポイントを増やす活動も推進しています。

電通と発表した「FinCommunity Marketing(フィンコミュニティマーケティング)」では、貸付投資を通じて企業と擬似的な株主のような関係値を構築し、特別な優待(彼らが貸付優待と呼ぶもの)を提供するなど、単なるリターンだけでない事業への参加方法を提供していて、これが企業にとってプラスに働いているということでした。

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