誰でも買える個人向け社債「風」のFundsーー資産運用の新たな選択肢となるか

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ニュースサマリ:ソーシャルレンディングの比較サイトなどを運営するクラウドポートは1月8日、個人向け貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」の口座開設受付を開始した。Fundsは事業資金を借りたい企業と貸し付けたい個人を結ぶマーケットプレース。

貸付ファンドは同社独自のスキームで設計された金融商品で、個人向け社債に似た性質を持つ。一定の審査を経た企業が匿名組合としてファンドを組成し、個人はそこに出資する形で資金を提供して分配金を得ることができる。運用についてはマーケットプレース登録企業が「関係会社貸」によってグループ企業に貸付して実行する。1円単位での出資が可能で、年率1.5%〜6%のミドルリスク・ミドルリターンを狙う。口座開設、管理、投資の手数料は無料。デポジット口座への送金手数料は個人負担となる。

ファンド募集の開始は1月23日から。貸付ファンドを組成する予定になっているのは、アイフル、デュアルタップ、LENDYなど。それぞれ一定の基準で経営ガバナンスが効いていることなどが審査条件になっている。なお、同社は当サービス立ち上げに先立ち、第二種金融商品取引業登録を完了している。

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話題のポイント:クラウドポートが個人向け社債に「似た」金融商品を編み出しました。同社代表取締役の藤田雄一郎さんに詳しくお話を伺ったので紐解いてみたいと思います。

話の前に。みなさん社債って購入されたことありますか?資産運用に興味ある方であれば証券会社通じてそういった商品を勧められたり、スタートアップ文脈であればCB債(転換社債)という名前を聞いたことがあるかもしれません。ちなみに筆者は残念ながら購入したことはなく、CB債の文脈で「ああ、お金を借りたことにして後で株に変換する、アレか〜」ぐらいに記憶してました。

社債も株式も企業が何らか事業の資金を調達する際に使うツールなんですが、ざっくり言えば社債は「借金」で、株式は「会社の権利(議決)」という違いがあります。株式ほどドンと返ってくることはないけど、高い確率で利子つけて返ってくるという「割のよい貯金」みたいな感じですかね。実際に人気らしく、売り出されたものについては即完売の状況だそうです。

で、今回、Fundsが取り扱うのはこの個人向け社債に「似た」ものになります。何が違って何が似ているのか、少し整理するとこんな感じ。

  • 社債は証券会社経由。貸付ファンドは個人が自由に購入可能(1円単位)
  • 共に最終的には事業資金として企業へ貸付
  • 株や仮想通貨のような激しいボラはなく、銀行貯金よりは利回りある

ポイントは「関係会社貸付」というスキームを入れていることにあります。ちょっとややこしいので詳しく。今回、Fundsでは匿名組合のファンドを企業が組成して、そこに個人が出資する形で資金を提供することになっています。

しかし、実際にその資金を運用するのは企業の関係子会社になっています。集めた資金をその子会社に貸付するわけです。なんでそんなややこしいことをするかというと、ファンドにはもし、失敗した場合に「補填ができない」というルールがあるからです。

例えばとある上場しているA社があるとします。彼らが匿名組合のファンドを組成し、個人から資金を集めてそれを直接、複数社の事業に投資して運用するとしましょう。当然ながら全部が上手くいくわけではなく、いくつかは失敗します。この失敗のリスクはこのスキームでは、出資した個人投資家が負うことになります。これが従来、ソーシャルレンディングで発生したリスクの構造でした。

関係会社貸付はそれに対して防波堤のような役割を果たします。A社は自分の関係会社B社に対して集めた資金を貸付します。B社がそれを運用して勝率を出すところまでは上記スキームと同じなのですが、この「貸付」というのがキモで、B社はA社に対して「返済の義務」が発生することになります。つまり、勝率がどうであろうと負けた分も含めて返さないといけない、というわけです。

さらにA-B社連合には評判リスクというものがあります。完全にA-B社連合が倒産するようなデフォルトの可能性もないわけではありませんが、そうでなければ、従来個人投資家が負うべきとされていたリスクは、B社で受け止めてもらうことが可能になります。

結果的に、ファンドの形(権利)でありながら社債(貸付)の特性を持つ商品設計になっている、というわけです。ややこしいですが、理解できるとなるほどよく考えたなと思うスキームです。

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クラウドポートのチームは以前から何度か取材していますが、最近になって元財務省のメンバーなどが参加しています。藤田さん自身、ソーシャルレンディング畑が長いこともありますが、アイデアの裏側にはこういった経営陣、アドバイザリーボードの存在も大きく影響しているのでしょう。

最後に。藤田さんも取材の時に話していましたが、これから個人には資産運用のノウハウが高く求められる時代に入ってくると思われます。残念ながら年金や社会保障の仕組みというのは全ての人に正しく機能するものではない、というのが一般的な認識になりつつあります。筆者も親世代が高齢化するなか、社会で支えることの難しさを感じている一人でもあります。

恐らくこの分野に特効薬はなく、若くて体の動く間からこういった資産運用を考える癖が付いていれば、働き方やライフスタイルなどによって色々なオプションが選択できるはずなのです。年金という単一選択肢で全員が幸せになれるというのはやはり無理がありました。

Fundsはまだ始まる前ですが、ここ数年で立ち上がったロボアドバイザーやクラウドファンディングのような考え方も含め、多くのオプションが次の世代のために増えることを期待したいです。

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