自動運転の仕組みを応用、視覚障害者を出歩きやすくするウエアラブルデバイス「Ara」

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「Ara」
Image credit: Masaru Ikeda
  • SXSW 2022 Innovation Awards の部門横断最優秀賞、「Wearable Tech」部門で最優秀賞を獲得

視覚障害者が外を出歩くには、これまで付き添い人か、盲導犬か、白杖に頼るしかなかったわけだが、ここへ来て、テキサス州オースティンとメキシコ・メキシコとに拠点を置くスタートアップ Strap Technologies が新たな仕組みを開発した。自動運転車に使われているのと同じセンサー(レーダー、LiDAR、超音波)を使って、視覚障害者が目の見えない人が周囲の状況をより明確に感じられるようにする胸部装着型デバイス「Ara」を開発した。定価990米ドルだが、現在は842米ドルの特別価格で販売されている。

Ara の重さは500グラム以下で、1回の充電で72時間動作が可能。壁、段差、近くの人、歩道の段差などの危険物の接近を計算し、身体に装着している4本のストラップが、ユーザーの学習したメソッドに従って振動し、触覚フィードバックでその情報をユーザに伝える。この振動のパターンと強さが、障害物の位置、避け方、距離などを直感的に教えてくれる。白杖は手に届く範囲にある障害物のことしかわからず、盲導犬と歩いていても衝突や転倒のリスクは高い。Ara とあわせて使うことでこうしたリスクの軽減に役立つ。

自動運転に使われる技術の多くは、視覚障害者の QoL(生活品質)を向上させるのに役立つ。実際、GPS を使って周辺情報を得るデバイスは健常者より視覚障害者の方が使いこなしている。確かに、視覚障害者が歩くスピードは自動運転車の走行するスピードよりも遅いが、技術的には視覚障害者を誘導する技術の方が開発が難しい。クルマは多くの場合、道路のレーンに沿って移動するが、人間はそうとは限らないからだ。ただ、自動運転技術の発達によって、視覚障害者を介助する技術が進化し、コストは格段に下がってきた。

この分野では、トロントに本社を置く iMerciv は2019年、マイクロソフト社から助成を受け、超音波衝突警告センサー「BuzzClip」を249米ドルで発売した。そのほか、超音波で捉えた周囲の状況をリストバンドの振動で伝える「Sunu Band」開発の メキシコ Sunu、立体音響で周囲の状況を伝える技術を開発するフランス・リヨンの GoSense、ホンダの支援を受け靴に差し込む振動インターフェイスを開発する Ashirase などが存在する。

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