作物と雑草をAIで認識、自動運転除草ロボット開発FarmWiseに農業界から寄せられる熱い視線

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「Titan」
Image credit: FarmWise
  • SXSW 2022 Innovation Awards の「Robotics & Hardware」部門で最優秀賞を獲得

除草作業を省力化・自動化できないかというのは長年の農家の思いだ。海外だと栽培面積が大きい分、その需要はさらに大きい。伝統的には除草剤が使われてきたが、残留農薬が健康に害を及ぼす可能性や環境負荷への懸念から、除草剤に代わる方法を求める声には根強いものがある。アナログなアプローチではあるが、日本の水田でも近年各地でアイガモ農法の導入が目立つのは、そんな社会背景が影響しているのだろう。

自動運転や画像認識の技術を使って、無人で畑を除草するロボットマシンを開発する FarmWise は、ファームテックスタートアップの中でも注目の存在だ。今年6月にシリーズ B ラウンドで4,500万米ドルを調達、時価総額は1億〜5億米ドルに達したとみられている。同社が2019年に発売したディーゼル駆動の無人除草マシン「Titan」は、2020年の Times 誌が選ぶ「The Best Inventions」の一つに選ばれ、現在では、アメリカの野菜栽培大手25社のうち18社が採用している。

FarmWise は現在、Titan の上位機種となる Vulcan を開発している。カメラと AI により作物を正しく認識し、そうでない植物を刃で刈り取るという除草の方法は基本的に Titan と変わらないが、Vulcan の方がより精密精緻な制御ができる。今年初めにケール、アーティチョーク、加工用トマトなどの画像認識からはじめ、今後はトウモロコシや大豆などの画像を AI に学習させ、対応可能な作物のバリエーションを増やす。2023年には、アメリカのいくつかの農場とパイロット運用を開始する予定だ。

FarmWise はこれまでに、のべ1.5万時間におよぶマシンのオペレーションを通じて、4.5億枚以上の作物のスキャン画像からデータベースを充実させた。これにより、より確実に多くの作物と雑草を見分けられる。アフターコロナの人材不足とロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格の高騰で、農業界は抜本的な作業効率化を求められており、これが FarmWise が多くの農場と成約する上で追い風となっている。直近のラウンドには、加工野菜製造大手の Taylor Farm が出資参加した。

この分野には、いくつかの競合が存在する。イギリスの Small Robot Company、スイスの Ecorobotix といったスタートアップも、それぞれ、画像認識により作物を認識し雑草を除去する。オーストリア、チェコ、イタリア、オランダでは、発がん性があるとして2023年から除草剤グリホサート(商品名:ラウンドアップ)が使用禁止になることも、こうした除草作業を効率化する技術を持つヨーロッパ勢の躍進に拍車をかけている。

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