「ロボット+クイックコマース」がつくる新時代の購買体験ーーKDDIとROMSが渋谷に全自動店舗「auミニッツストア」オープン

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

KDDIは9月13日、小売・物流施設向け自動化ソリューションを提供するROMSと共同でロボティクスコンビニエンスストア「auミニッツストア 渋谷店」をオープンしました。これはKDDIが運営するau Style SHIBUYA MODIに併設されたもので、商品のピッキングから袋詰めまでをロボットが全て実施してくれるものです。

全ての注文がオンライン化されており、利用者はmenuアプリから商品を購入することができます。商品の受け取りはデリバリーとテイクアウトの両方が選択可能で、テイクアウトの場合は渋谷の店舗端末に注文番号を入力して受け取ることができます。デリバリーの場合は配達員が所定の場所まで届けてくれる仕組みです。近隣へのデリバリーを前提とした、新型のコンビニエンスストアモデルである「クイックコマース」をロボティクス技術で自動化したもので、商品を保管するバックヤードを含めて店舗サイズが約50㎡と、従来のコンビニエンスストア以下の省スペースで運営できるのが特徴になっています。商品が品切れになればすぐに注文アプリに反映され、商品ケースや賞味期限などもシステムで管理しているため、商品補充や廃棄といった作業についても省力化が図れるとしています。最初は食料品や日用品などのデリバリー向け人気商品を取り扱い、今後は500商品に拡大する予定だそうです。

オープンにあたり、その狙いなどをKDDIサイドで取り組みにあたったKDDI事業創造本部LX戦略部の武田裕子さんと仁科知則さん、宮本真帆さん、陸田瑛星さんにお話をお聞きしました(文中の敬称略、太字の質問は全てMUGENLABO Magazine編集部)。

au Style SHIBUYA MODIに併設された店舗と受け取りの端末

auミニッツストア渋谷店の概要について教えていただけますか?

武田:ロボットが商品を自動でピッキングから袋詰めまでするお店で、無人化しているのが特徴の店舗です。KDDIがこの店舗をオープンした背景が大きくふたつあって、ひとつ目は少子高齢化に伴う労働人口の減少です。このような社会課題に解決するため、無人化・省人化・自動化のような技術の検討が進められており、KDDIとしても関連技術を社会実装することでサステナブルな社会の実現に貢献したいという思いがあります。

もうひとつはお客様がお買い物をする時の購買行動がスマートフォンを中心としたデジタル上の接点へと変わってきているのではないか、という状況の変化です。モバイルからのオーダーに応えるための店舗側の仕掛けとして、ネットワークと連動したロボットを実装した店舗というのがお客さまの選択肢のひとつになるのではないかという考えがあり、実験的にオープンしたというのが背景です。

9月にオープンしましたが、それまでの過程の中で課題はどこにありましたか?

仁科:無人店舗という新しさもあるのですがやはり”社会実装”の部分ですね。あくまで入り口はデジタルを前提にしているのですが、リアルが連動するところでの制約事項を解いていく難しさがあったと感じています。

例えば、場所については直営店の方のご協力もあって確保できたのですが、工事をする際にも渋谷区のレギュレーションやテナントとしての制約事項など、ハードルが思った以上にありました。
またお客様の観点で言うと、無人化の仕組みはお客様からは見えにくいので、auミニッツストアというサービスそのものをいかに知っていただくか?という点もありました。どういう訴求が必要なのか、世の中にどうやって知らせていくかという課題でしたね。

自動ピッキング店舗に設置されたROMSロボット

それぞれの課題に対してどのような方法で解決したのでしょうか?

仁科:一番大きかったのはパートナーの存在ですね。マルイさん、ローソンさん、menuさん、コストコ(ホールセールジャパン)さん、多くの方にご協力をいただき、社会実装やサービスの魅力化を進めることができました。

そして特に伝えたいのがROMSさんの存在です。一緒に自動ピッキングの仕組みを作っていただいたベンチャー企業ですが、彼らの頑張りなくしてこのプロジェクトは全くできなかったと考えています。大企業に振り回された場面もあったと思うんです。それでもスタートアップらしいスピード感を持って、うまくクリアしていただいたのかなと感じています。

ROMSさんとの提携はどのような経緯からでしたか?

仁科:以前から無人化については多くのベンチャー企業とお会いした時期があって、数年前から面識はありました。今回のプロジェクトで、自動ピッキングの仕組みをauショップのような狭いエリアに作り込めるという点で、ほぼ他に並ぶプレイヤーがいないと理解していました。
また、効率化という視点だけでなくこういった仕組みを入れることで、お客様の購買体験が変わるはずだという視点を持ってるプレイヤーでもあります。武田さんが最初に購買体験が変わっていくとお話していましたが、こういった姿勢と通じるところが一緒に取り組みたいと考えた理由です。

実際にオープンし、利用されたお客様の反応はいかがでしょうか?

宮本:実際に来ていただいた方は大きく2パターンあり、 ひとつがmenuの配達クルーの方が依頼品を取りに来るケースです。もうひとつはテイクアウトで実際に使うユーザーさんが来てくれるパターンです。

前者のmenuのクルーさんについては本当に受け取るだけですから、今までの飲食店のように手渡しだったものが無人化しているので、面白いねというコメントを頂いたりしています。もうひとつ、テイクアウトの方はロボットが動いているところを見たいと来てくださる方が多くて、ロボットがピッキングしてくれる様子を動画とか写真に撮って喜んでくださっています。

商品ラインナップは今後、拡大していく予定なんですよね

陸田:ローソンとコストコの商品が中心のラインナップなのですが、まだ一部しか商品を扱っていないので、食品から日用品まで多くのジャンルを充実させていきたいと考えています。今後はそれ以外の商品、できればこのauミニッツストアでしか買えない限定商品も用意できたら面白いかなと考えています。

今回の取り組みに関わったKDDIのLX戦略部のみなさん

最後に今後の展開について教えていただけますか?

仁科:テクノロジーを社会に実装していく流れを加速していきたいという想いを持っています。例えば国内でもフードデリバリーは広がり始めていますが、キャッシュレスやシェアリング・エコノミーのような流れは海外と比べるとあまり広がっていません。

今回は、ロボットを活用することで労働力不足の課題解決に直結するような試みでしたが、このように確実に訪れる今後の日本の課題に向き合う、前向きな挑戦を色々な企業や人がトライできる流れを作る事例になると良いと思っています。

もうひとつ。私たちがいるKDDIのLX戦略部は、KDDIのCVCファンドを運営するビジネスインキュベーション推進部から枝分かれしていますが、引き続き、オープンイノベーションの担い手であるという自覚は持ち続けています。

やはり「KDDIってオープイノベーションの会社だよね」という印象はみなさんに感じていただいていると思いますし、今回の件も見方を変えていただくと、マルイさんやローソンさんのような大手企業と、menuさんやROMSさんのようなベンチャーさんの掛け合わせで実現できたオープンイノベーションの強い事例になると思っています。

今、投資の面では「スタートアップの冬」と言われていて厳しい局面かもしれませんが、新しいものを作ろうという時に、スタートアップの存在は不可欠だと思っています。時代を作るようなスタートアップが活躍する社会になって欲しいなと考えています。

ありがとうございました!

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