#28 DAO型店舗運営のカギ、「そこで買いたくなる」
仕掛けとは 〜DeStore大東CEO × ACV唐澤・村上〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

経済活動においては、そのサービスを提供する側と受け取る側、ショッピングなら売る側と買う側が存在するわけですが、立場が違うゆえに、需給関係にはミスマッチが生じることがあります。消費者にとっては欲しいものが店に無い、販売者にとってはお客の欲しいものがわからない、というアレです。この構造上の問題を解決する方法として、企業の中には商品のファンに株主になってもらっtたり、消費者にステークホルダーになってもらったりする動きも出てきています。

web3なら、こうした課題をどう解決できるでしょうか。ブランドやメーカーや店舗は、ただ一人のためだけにサービスを提供しているわけではないので、万人の好みにあったサービスを提供できるわけではありません。民主的かつ透明性を保ちながら、いかにコア層となる顧客の熱量を掴む仕組みを作ることができるか。前編に引き続き、サンフランシスコでDeStoreのローンチを控える起業家、大東樹生さんに話を聞きます。

ポッドキャストで語られたこと

  • 偶然の出会いが生み出す帰属意識
  • 支払ったコストに応じた棲み分け設計
  • 株式とDAOのオーナーシップの違い

前回からの続き)

唐澤:コミュニティのマッチングみたいなものは、今後もっと出てくると思っています。コミュニティって、自分に合うかどうかみたいなのが結構あるじゃないですか。正直、その中にいる人たちがどういうコミュニケーションしているのかとか、新しく入ってくる人に対してはどういうスタンスなのかとかあるじゃないですか。コミュニティのルールとかコミュニティの雰囲気とかがもうちょっと見えるようになってくると、面白いですよね。ユーザー側も乗っかりやすいんではないでしょうか。

大東:外側からどんなコミュニティだとか、あるいはセレクティブだとしても、こういった形を取るとこういったコミュニティに入れるみたいな導線が引かれているとか、入り口から結構、従来のやり方とは変わってくることが多いんじゃないかなと思います。

村上:まさに繋がりの可視化ですかね、やはり、テンション上がるときは、そのセレンディピティ的な「あ、そこに何繋がりあったの」みたいなことですよね。結構人間って、共通点を見つけたときって、国に関係なくみんなテンション上がる瞬間があるじゃないですか。

そういったところを体験の中で、「実はそこの会社さんのこれを仕入れたのね」みたいなところの可視化があると、何か急激にちょっと遠く感じてたコミュニティが近く感じて、そこの粘着性に繋がっていくのかなみたいな、そういう設計も大事になってくるんですかね?

大東:偶然の出会い、人との出会いもそうですし、ブランドさんとかも偶然性のある出会いとか、ちょっとした帰属意識みたいなのが非常に大事かなと思っています。例えば店に来たときにたまたま人がいて実は友達の友達だったとかだけでも店にもう一回通う理由にもなります。実店舗では、わざわざその場所で買わなきゃいけない理由を推す必要がありまして、最終的にはどれぐらいその人が帰属意識を持っているかということですね。そこはすごく非常に重要だと我々も思っています。

唐澤:そう考えると店舗に何を置くのかは、実はそこまで大事じゃなかったりするんですかね。最初DeStoreのコンセプトを拝見したときに思ったんですが。ファッションとかはすごくイメージしやすいんですけど、極論を言えばコンビニみたいな超コモディティ、日々例えばスーパーとかの場合はあまりはまらないんすかね?

大東:必ずしもファッションとかじゃなくて他のものでいいのかなと思ってまして、ファッションで一旦やってるのは、私がファウンダーとしてストーリーとして強く語れるところだからです。だだ重要なことはオンラインでも買えるんだけど、実は未だにオフラインで買っていて、そのオフラインで買う理由がちょっとここにお金を使いたいからっていうのが大事かなと思っています。必ずしもファッションである必要は無いかなと思っています。そこは柔軟に幅を広げていきたいなと思ってます。

唐澤:今ローンチ前でいろいろ開発もされていると思うんですけど、一方でコミュニティはコミュニティで形成されていると理解しています。るんですけれども、コミュニティをDAO化していく際に、難しい部分とかはあるんですか。よくDAOって概念としてはいいんだけど、実はそんなに綺麗じゃないみたいな話をよく聞くんですけれども。

大東:今我々にはDiscordがありまして、誰でも入れるDiscordなのでグローバルな人もいれば、ローカルでベリファイした人ばかりですよっていうことを店舗に来て証明した人だけが入れるチャンネルとかがあります。その次に実際に同じものを買った人っていうのがローンチしたタイミングでできる(チャンネルを作る)と思うんですが、やはり難しい点としては、「透明である」とか「誰でも参加できる」というと聞こえはいいんですけど、誰が言っても、よくも悪くも、ノイズの場合はノイズという感じで存在するかなと思っています。

必ずしもDiscordで今1万人いるとか5万人いるとかより、どういった人たちを本当に集めたくて、「こういった人たちはこういうアクションを起こしているので、これぐらい(話を)聞く」とか、そういったフィルターをかけていかないと、単純にDiscordでチャットをする、やりとりをするだけでは、いろんな時間が取られて、リソースがなくなっていくみたいなことは結構、周りでも散見されるように思います。

我々も無視するわけではないんですが、少なくとも今はオーナーシップNFTを出していない状態なので、例えば彼らが「NFTショップをやろうよ」と盛り上がったとしても、結局、後々に彼らがオーナーシップNFTを買って実際に店を出すのかどうか。出さなければ、結局それは「なんでもない人たちの本当のユーザーではない人々のつぶやき口コミだよね」みたいな、そういった見極めが難しいところだと思います。

唐澤:そうですよね。「Discordを立ち上げれば、コミュニティを運営している」みたいな勘違いもあるじゃないですか。インセンティブづけが難しいですね。もちろん理想的な姿は、貢献度の高い人たちもどんどん関与していって、New Joinerみたいな人たちもうまく受け入れながら回っていく状態まで作れるといいんですけれども、ファーストステップは難しいですよね。活性化させるとか、ネタをどう提供するとかは、どうされてるんですか。

大東:我々で今やっているのはローカルであるかどうか、つまり実際お店に来たかどうかみたいなところですが、最終的に我々が考えているのは、インセンティブよりもコストをしっかり払うかどうかみたいなところの方が重いかなと思っています。結局、誰でも参加できて、「こんなことやると、こんないいことがあるよ」というよりは、一定のお金を払うとか、一定の時間を過ごしたとかのみでしか入れない上に、同じコストを支払った人たちは同じぐらいの発言権を持っているみたいな形の方が非常に強いかなと思っています。

もちろん入り口は誰でも参加できる、誰でも意見を言うことができる、中のことを見れる、ということは前提だと思ってるんですけど、ある程度は何かしらコストを支払った上で、これぐらい貢献しているから立場が上がっていくとか、でもまずは何かしらのコストは少し支払うというフィルターを入れるみたいなのが重要だと思います。

唐澤:なるほど、そのステータスをちゃんと分けるし、そういう人たちがアクセスできるようなものを何かしっかり分けて、ある程度〝「濃い人たち」〟がそれぞれの濃さに合わせて集まれる場だとか、コミュニケーションできる場を設けていくみたいなイメージですか。

大東:まさにそういった感じで、NFTのTierをいくつか用意しようかなと思っていまして、値段によって議決権の重さが変わる、Tierによってはそもそも議決権を持たないとか、ライトに参加できるけど、オーナーシップはないといった感じです。

唐澤:最初は金銭的なものかもしれないし、時間をかけて、もしかしたら、自分のリレーションの人を連れてきたり、いろんなコントリビュートの仕方が全部まとまってオーナーシップおいう一つの分かりやすいトークンの価値とか、わかりやすい指標にしていけるのは、一種の格闘技的に寄せていけるのも、いいのかもしれないですね。今まで、株は金銭で金銭を買うしかないじゃないですか。(株には)自分のエフォートは、そんなに反映されないのかなという感じがします。

大東:私がすごい好きな記事で、AdobeのCPOをやっていて、元々BenchmarkのパートナーをしていたScott Belskyさんっていう方がいらっしゃるんですけど、彼が「ステークホルダーエコノミー」というブログを書いていまして、同じことを言ってました。上場株の流動性と近しいものがあると。

ただ結局、理屈としては上場株は買うと意思決定に参加できるんだけど、結局あのレベルのデカさだと、何も感じなくなってしまう。それがすごいスモールスケールになって、実際にトークンを持つことで、店舗とか地元のアイスクリーム屋さんとかに対してオーナーシップを得て、ファン vs. オーナーとか、カスタマー vs. スタッフじゃなくて、全員がステークホルダーとして投票することができるなるといいよね、という話です。それが実は小さい地元レベルのスモールビジネスでの勝ち筋だよね、みたいなことを書いていました。おっしゃる通り、上場株と同じようでいながら、絶妙に体験が違うというのは、さすが鋭い視点だと思いました。

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