中食サービスのマチルダ、保育園保護者の要望を受け東京・有明で夕食のテイクアウトサービスを開始

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今日からテイクアウトステーションが開設されるブリリア有明スカイタワー前で。
左から:箕輪大祐氏(ひまわり福祉会 未来戦略部部長)、福沢悠月氏(共同創業者 COO)、丸山由佳氏(共同創業者 CEO)、福島大樹氏(ひまわりキッズガーデン有明 園長)
Image credit: Masaru Ikeda

中食(なかしょく)サービスを展開するマチルダは14日から、東京・有明のマンション「ブリリア有明スカイタワー」敷地内でのテイクアウトサービスを始める。これは、このマンションに入居する保育園「ひまわりキッズガーデン有明」に子供を預ける保護者へのアンケート結果を受けて開始されるものだ。ひまわりキッズガーデン有明を運営する、ひまわり福祉会では保護者、特に母親の負担を軽減することを念頭にどのようなサービスを期待するかアンケートを取ったところ、回答の8割は食事の手間軽減に関するものだったという。

マチルダは以前、この地域で中食サービスを展開していたことがあり(2019年〜2020年9月)、サービスを利用したことがある保護者が同社の名前をアンケートに記入し回答。ひまわり福祉会を通じてマンションの管理組合がこの要望を受け取り、同マンションの敷地内にステーションを設置してテイクアウトが提供されることになった。ステーションは平日の午後5時〜8時に開設されるため、保護者は子どもを保育園に迎えにいく際に受け取れるのが最大のメリットだ。なお、このサービスは誰でも利用することができる。

Image credit: Masaru Ikeda

マチルダは、LINE を使って事前予約することで、週1〜5回の頻度で夕食のおかずをテイクアウトできるサービスだ。メニューから自由に食べたいものを選べる外食やフードデリバリとは対照的に、1回に提供されるメニューは1種類のセット(食べ物は複数皿)のみ。毎回異なるメニューが提供されることでユーザは楽しみが得られ、マチルダは調理フローやロジスティクスを簡素化することができる。あえて〝選べない〟ようにしたことで、子供の好き嫌いをなくしたいと考える母親からも人気を集めているようだ。

臨海副都心である有明駅周辺は、単身よりも家族住まいが多いエリアなので、人数が増えると注文単価が高くなるフードデリバリよりも、自分で持ち帰ることでコストを下げられる中食サービスの需要は高い。また、LIFULL が公開しているデータによると、この地域の平均世帯年収は東京都全体の平均よりも50万円以上高く、プレジデント社のが公開する年収マップでは東京で最も高い地区に指定されている。住民の層を考えると、多少のコストはかかっても、安心で安全なものを食べたい志向に、マチルダのサービスがうまくハマるのかもしれない。

Image credit: Masaru Ikeda

料金は週5回の場合で1回あたり2,100円/セット、つまり、1家族3人で食べる場合で1人あたり700円と、決して安いというわけでもない(と同時に、高いというわけでもない)。先週、正式サービス開始を前に有明で開催された試食会で話を聞いてみると、子供はもとより、夫の満足が得られることに期待を示す主婦らの声を多く聞くことができた。スーパーやコンビニなどの陳列品を好まず、かといって、仕事から帰宅後に料理するのは面倒というときに、共働き家庭でマチルダの料理は重宝することになるだろう。

マチルダは2018年11月、ユーザベース出身の丸山由佳氏(現 CEO)により創業。一度は中食サービスを実証ベースで展開するも、リソース不足やスケールに向けたスピードの課題などから2020年9月に一度サービスを終了した(会社は休眠)。その後、DeNA やデライト・ベンチャーズ出身の福沢悠月氏(現 COO)を共同創業者に迎え、2021年1月に会社は活動を再開。2021年5月から順次、都内や東京近郊の高層マンションエリアなどで中食サービスの営業を再始動した。

INITIAL によれば、マチルダは2021年7月、ANRI とデライト・ベンチャーズから資金調達している(ラウンドや調達額は不明)。

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