本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします
アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。
ポッドキャストで語られたこと
- 企業が自前でNFTマケプレを作る理由
- カストディアル vs. ノンカストディアル
- ウォレット開発から始めた理由
- 〝繋がるコールドウォレット〟が誕生するまで
- 暗号資産業者の求めに応えた高いセキュリティ
- 非Web3企業がWeb3を始める上で重要なこと
- 事業開発の苦労、高かったハードル
- インフラ・ウォレットを開発するユニークな存在
- あらゆるチェーン&トークンへの対応
- 「経済の巡りを変えていく」ためのアプローチ
〝繋がるコールドウォレット〟が誕生するまで
唐澤:どういった特許を取られたんですか?
房安:我々が取得している特許は、コールドウォレットと呼ばれる、オフラインで暗号資産を管理する仕組みに関するものです。コールドウォレットは、資金決済法上の暗号資産交換業者様が、ユーザの暗号資産を預かる上でクリアしないといけない事務ガイドラインにおいて重要な位置づけにあります。
この仕組みを業務に合わせてスムーズに導入できるというのが弊社の特許でして、なぜこれが特許として重要かというと、コールドウォレットはオフライン環境にあるものなので、インターネットから切り離されて存在しており、ご想像の通り、一般的な業務と分断されてしまうんです。
すると物理空間が分かれて、そこに行かないとデータが取れないとか、出社しないと業務ができないとかいう問題が多発してたんですね。ハッキング事件が複数回起こった後に事務ガイドラインの内容も非常に厳しめに変わっていって、元々ホットウォレット(サーバ上にも置いて良い暗号資産)の量はもっと多かったんですが、法改正後は5%しか許されない。
唐澤:しかも、同等の金額を裏で持っておかないといけない。
房安:流出を想定して5%相当の弁済原資を確保していることを義務付けられて、事実上、全部コールドウォレットに入れておきなさいよということでもあるんですよね。そうなったら、暗号資産交換業者さんのビジネスは結構崩壊してしまうんじゃないかなという危機感を持ちました。これを解決することで、暗号資産交換業者様の事業の拡大を止めずに進めてもらえるんじゃないかと考えて、そこを作ったのがありますね。
唐澤:そのコールドウォレットは、物理的に訪問しなくても繋がるのですか?
房安:繋がります。物理的にオフィスに行かなくても実施することができるような仕組みを持っていまして、それでもオフラインを維持できるという仕組みになってます。
村上:読みました、特許。僕全然コールドウォレットとか詳しくなかったので、どういう特許なんだろうと思って興味津々で拝見してたんですけど、それがそうなんですね。業界課題があったってことなんですね。
房安:そうですね。特に2020年からコロナでリモートワークが始まったときに、交換業者の業務はなかなかリモートにできなかったんです。でも、我々のソリューションを入れると、暗号資産交換業者様の会社の中で、我々のソリューションを物理的に保管されてるところがメインではあるんですが、署名だけ済ませておいて、後の作業は自宅で行うということもできるんですね。なので半リモートというか、何曜日だけ署名をしに出社して、コールドウォレットの署名が完了したらあとは家で業務をするということもできるようになっています。
唐澤:単純にインターネットに接続されていないことによって安全性が担保されてるのに対して、リモートでももう1回リコネクトできるということは、オフラインであるメリットがニュートラライズ(相殺)されるということはないんですか。
房安:それはオンラインで操作できる業務内容を何にするかによると思っていて、基本的には暗号資産の秘密鍵がオフラインで適切に管理されていれば、その秘密鍵が誰かに窃取されて流出するとか、不正に内部犯に使われることは防げます。その一点だけ押さえておけば、あとは特定の操作しかできないんです。
署名を終えた後のトランザクションは、宛先も残高も書き換えることができないようになっています。できるとしたら送るタイミングをずらすとかですね。今送りたいけど送らせない、とかいう悪さはできますが、それ以外の操作はオンラインだとできなくなっているので、内部犯や外部からの秘密鍵の窃取は防げるようになります。
唐澤:あくまで鍵の操作に関わる部分だけを現地で済ませておくことによって、その後発生する作業は別にオンラインでもいいよねという、作業の種類に応じて、そう切り分けたわけですね。
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