本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします
アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。
ポッドキャストで語られたこと
- 企業が自前でNFTマケプレを作る理由
- カストディアル vs. ノンカストディアル
- ウォレット開発から始めた理由
- 〝繋がるコールドウォレット〟が誕生するまで
- 暗号資産業者の求めに応えた高いセキュリティ
- 非Web3企業がWeb3を始める上で重要なこと
- 事業開発の苦労、高かったハードル
- インフラ・ウォレットを開発するユニークな存在
- あらゆるチェーン&トークンへの対応
- 「経済の巡りを変えていく」ためのアプローチ
カストディアル vs. ノンカストディアル
村上:我々もクライアントと対峙していて、今の話はすごい話題に出るところなんですが、カストディアルとノンカストディアル(企業側が秘密鍵を持つか、ユーザ側が秘密鍵を持つか)のプロコンがある中で、Gincoさんはどうアプローチされてるんですか? プロコンだから、必ずしもこっちだって言い切れないところもあるんですよね。
房安:それはそう思います。いきなり結構深い話に入っていないですか?
村上:ちょっといきなりカロリー高めなところに行きましたね。
房安:僕は好きな話なので嬉しいですが。まず、カストディアル とノンカストディアルがどう定着するかみたいな中長期的なイメージでいくと、これ僕の個人的なイメージなんですが、プロユーザにノンカストディアルが定着して、マスにはカストディアルが定着するというのが中長期で僕はイメージしてる姿なんですね。なので、どっちが良いではなくて、今企業さんがアクセスしたいユーザがどっちを使うのかから逆算するだけなのかなと思っています。
村上:まだ慣れていない方にはカストディアルで安心だけど、その分もしかしたら若干不便なところ、例えば2段階認証的なものとか、手厚くセキュリティのことを事業者側で担保してあげる。プロユーザはそれよりもとにかく効率よくバンバンやっていきたいみたいなところで、自己責任でノンカストディアルで……みたいな感じなんですかね。
唐澤:国による違いもあるんですかね。カストディアル ・ノンカストディアルの議論は国内もそうですけど、海外のマーケットの方が結構よく聞く話で、自己主権というか自分で管理しなければいけないので存在する話だと思うんです。
その前提を日本で本当にそこまで共有されているのかな?と思っています。極端な話、ID/パスワードですら、皆さん自分で管理しないじゃないですか。毎回「パスワード忘れました」ボタンを押すじゃないですか。あのボタンが一番押されているんじゃないかと思うんですけれど。日本と海外の違いはあるんですかね。
房安:そうですね、正確にデータを取ってないところなので、感覚の話にはなってしまうんですが、おっしゃる通り、日本の方は、預かってもらう銀行のイメージが強いのかなと思います。なので、自分で秘密鍵を管理するという概念が海外に比べて受け入れられづらいというのは、可能性としてはあるかもしれないですね。
あとさっきおっしゃっていただいてた、カストディアルの場合に利便性が落ちるとか、例えばウォレットコネクトとかを使って、マーケットプレイスとか外部のDeFiとかに接続するときにある程度制約がある、もしくは接続できないっていうところは、一定程度、発生すると思うんですよね。
将来的にはそういったものへの接続も可能とする状態を目指しながら、今はマスに対して提供したいからカストディアルにした、という選択を取られる企業さんもいます。そういった時には、サーバ型だけどパブリックチェーンをベースに個別にウォレットをちゃんと作って、後で渡せるようにしてあげるというハイブリッドのご提案もしています。
唐澤:本当に欲しいと言われたときに渡せると確かに選択肢が広がりますよね。
村上:ウォレットを中心としたパブリックチェーン活用への参入は早かったですよね。
房安:そうですね。2017年ですね。
次につづく:ウォレット開発から始めた理由:Ginco 取締役副社長 房安 × ACV唐澤・村上(3)
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