ChatGPTもClaudeも使えるPoe、知恵袋「Quora」が対話型AIサービス発表/GB Tech Trend

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「Poe」
Image credit: Quora

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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話題沸騰中のChat-GPTですが、各社次々と対応を発表しています。世界的知恵袋サービス「Quora」もそのひとつです。同社はチャットボットメディア「Poe」をリリースしました。Quoraが所有している膨大なコンテンツをもとに、ボットとの対話をしながら有益な情報を聞き出せる形になっています。

Poeのサブスクリプションは、月額19.99ドルまたは年額199.99ドルで、現時点ではiOSまたはApple Silicon搭載のMacで提供されています。無料ユーザーはこれらのモデルをテストし、1日1問、無料で質問ができます。PoeではChatGPTをはじめ、Claude、Sage、Dragonflyといったそれぞれに特徴を持つ対話型AIの中から任意のものを選んでやり取りできるのが特徴です。

Quoraはこれまでも人との対話形式を通じてQAコンテンツを提供してきました。これが24時間休みなくすぐ回答してくれるAIとの対話自体がコンテンツになるわけですから非常に相性が良く、こうしたサービス形態の観点からも、QuoraがPoeをリリースしたのは当然の成り行きだったかと思います。

さて、時を遡って2016年。Facebookがメッセンジャーにチャットボットを組み込むと発表した前後、チャットボット関連のスタートアップには大きく資金が集まりました。ただし、その多くは自社サービス利用のオンボードを効率的かつ低コストに対応できる、といったようなものがほとんどだったと記憶しています。

他方、今回のPoeの動向は全く違う背景によって誕生しています。AIが参照する膨大なコンテンツを所有するQuoraだからこそ立ち上げられるボットサービスであり、便利なQAサービスという以上に、新しいメディア領域が誕生したと言っても過言ではないでしょう。

特に注目したいのはChat-GPTをはじめとする対話型生成AIの料金設定とそれに応じるユーザーの反応です。例えば国内でも大手企業からスタートアップまで福利厚生の一環としてChat-GPTの利用料金を負担しようという動きが出ています。Poeも日本円で年額3万円ほどのサブスクリプションになっていますが、Chat-GPTをアイデアの壁打ちなどで利用している人であれば、モデルを使い分けられるという点、そしてQuoraならではのチューニングされた回答という付加価値に価値を見出す人もいるはずです。

この数年で多くのテキストメディアは広告モデルからサブスクリプションに舵を切ってきましたが、無料でも得ることができるニュースのような情報に対して読者が支払う額には限界があります。ところがPoeのように対話型AIを通じた膨大な知識コンテンツ提供に価値軸を振ることができれば、メディア収益性を高めることにも繋がるかもしれません。

今後、Poeのような「特化型Chat-GPT」が市場の多く登場することが予想されます。他社にはないユニークなコンテンツを多く持つメディアやそれに類する情報を持った企業の価値が再認識されることでしょうし、老舗企業・メディアであれば過去に保有しているデータ量は相当なものになります。改めて一次コンテンツの価値が急速に見直されることになるのではないでしょうか。

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