a16zが出資、AIチャットボット「Poe」にみる生成AI事業の勝ち筋/GB Tech Trend

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7,500万ドルの調達を発表した「Quora」
Image Credit: QuoraのPoe

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

世界的QAサイト「Quora」が7,500万ドルの資金調達を発表しました。著名VCであるAndreessen Horowitz(以下、a16z)が出資しています。同社は昨年、AIチャットbotサービス「Poe」をリリースしました。

今回の調達に関して、Quora CEOのAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏は、Quora上で声明を発表しています。投稿によると、現在Quoraは月間ユニークビジター数は約4億人。Quora単体では黒字化できていることから、調達資金の大半をPoeへ利用するとのことです。本メディアでも、Poeのリリース時には記事にしており、当時はQuoraのユースケースを拡大する新たなプロンプトメディアとしての可能性をお伝えしていました。D’Angelo氏の投稿を見る限り、QuoraとPoeは強い相関関係にある一方、各々単独プロダクトとして成長させていくことが伺えます。

D’Angelo氏の投稿で最も興味深い点は、Poeを「ウェブブラウザー」のような市場ポジショニングで捉えている点です。この発言は、Poeリリース時のメディア取材時から一貫しています。AIはまさにインターネットのように、インフラに近い概念です。ChatGPTやBardといった単独サービスが市場を寡占していくのではなく、様々なサービスへアクセスできるブラウジング体験のような「入口」をデザインしていく必要性をD’Angelo氏は持っているようです。

この考え方はQuoraに蓄積されている膨大なQA情報を元にした「誰もが自分だけの対話型AIボットを開発できるプラットフォーム」というアイデアに結実します。私たちが各種ウェブサービス、検索結果をブラウジングする体験を、チャットボットとの「対話」が置き換えると考えたわけです。GPT Storeも同じトレンドに乗っていますが、より人間の生の声を教師データとして獲得しているQuoraの相対的な価値は高い印象です。

さて、今回出資を決めたa16zもブログ記事を発表しています。記事によると、クリエイタープラットフォームとしてのPoeに期待を寄せている旨が伺えます。AI開発を行いたいがモデルを作れなかったり、ノウハウをあまり知らないロングテール層に向けたサービスとしての成長性に可能性を感じたようです。ゲームプラットフォーム「Roblox」が、ゲーム開発プラットフォームを提供することで、巨大なゲームクリエイター経済を築いて上場したのと同じように、Quoraも同様の成長曲線を辿ると考えたのでしょう。

実際、a16zはPoeと同じAIチャットボットサービス「Character.ai」へ大型出資しています。a16zは、クリエイターエコノミー、パッションエコノミーの市場コンテキストを長く啓蒙してきたこともあり、AI領域においてもクリエイター基軸でさまざまなサービスへの出資を加速させそうですし、急成長を遂げるものが登場しそうです。

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