スキルや価値が滑らかになる世界を求めて/フィナンシェ田中 × ACV唐澤・村上(1)

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

今回のゲストはフィナンシェ取締役COO・CMO、田中隆一さんにご登場いただきます。

フィナンシェは、ブロックチェーン・トークンを使ったクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を提供するスタートアップです。ソーシャルゲーム「gumi」を創業した國光宏尚さんや今回のゲスト、田中隆一さんなど起業経験豊富なシリアルアントレプレナーを中心に2019年、その活動をスタートさせました。現在は200以上ものスポーツチームやエンタメプロジェクト、個人などのトークンを発行する国内唯一のプラットフォームに成長しており、3月16日からは、自身のトークンである「FNCT」をCoincheck取引所にて取扱いが可能になる「IEO」も実施しています。

中でも日本映画界を牽引する堤幸彦、本広克行、佐藤祐市監督らが参加する「SUPER SAPIENSS」は4月時点で4.8万人がトークンホルダーとして参加する巨大なコミュニティに発展しており、国内でエンターテインメント作瀬品を制作する「DAO」としての活動にも注目が集まっています。創業時からこのプロジェクトを牽引し、南葛SCなどをはじめ話題のスポーツプロジェクトを数多く手がけたことでも知られる田中隆一さんにお話を伺いました。5回連続でポッドキャストから一部をテキストにしてお送りします。

ポッドキャストで語られたこと

  • スキルや価値が滑らかになる世界を求めて
  • クラファン2.0の価値とは何か
  • エンタメの次は食、地域通貨を循環させる方法は?
  • 成功体験、どう作る?
  • フィナンシェで価格が乱高下しない理由

唐澤:本日はフィナンシェの田中隆一さんにゲストとしてお越しいただいてます。よろしくお願いします。

田中:株式会社フィナンシェの田中と申します。よろしくお願いいたします。

唐澤:まず田中さんのご紹介と、フィナンシェについて、どういうことをやられてるのか簡単に教えてください。

田中:弊社は株式会社フィナンシェと言いまして、2019年の3月に「FiNANCiE」というアプリを立ち上げております。この「FiNANCiE」はブロックチェーンの技術を利用してトークンを発行して、クリエイターさんやスポーツチームプロジェクトの夢や目標を応援していくプラットフォームになっております。

私自身がこのブロックチェーンの世界に入ったのは2015年ぐらいです。元々こういった経済活動とテックの融合に興味を持ってたんですけども、その中で特に海外において、新しい潮流がこのブロックチェーンまたはトークンの世界で起こっているのを知って興味を持ち始めました。元々シンガポールで東南アジアを中心に決済の事業をやっていたんですが、国境を越える決済の壁を越え得る技術でもあるし、いろんなところで可能性を感じました。

弊社代表の國光(宏尚氏)とリサーチする中で、まず2018年にgumi Cryptosというファンドの立ち上げをご一緒させていただきました。これはブロックチェーンに特化したファンドで、今2号ファンドも立ち上がっています。いわゆるベンチャーキャピタル型のファンドです。そちらを立ち上げつつ自社サービスをやっていきたいなというところで、構想を2018年から考えつつ2019年に弊社創業メンバーの4名で立ち上げたサービスでございます。

唐澤:ありがとうございます。田中さんが元々フィンテックをされていたとは私も初めて知りました。(中略)いろんな事業領域がある中でファントークンに注目された最終的な決め手は何ですか?

田中:元々はフィンテックをやりたかったわけではなくて、コミュニケーションをグローバルでより滑らかにしていく仕組みに興味を持っていたんです。それがあったがゆえに、2012年当時はZyngaというFacebook上のソーシャルゲームで世界最大級のゲーム会社にいて、その中でゲームというものを通じてコミュニケーションをしていくことのすごさや革新性を感じていました。さらにそこから突っ込んで情報や、やり取りだけではなく価値の交換も今後できるんじゃないかなというところで、CtoCのメルカリのようなやり取りもありますし、スキルの交換とかそういったところに興味を持ち始めたのがきっかけです。(中略)

唐澤:なるほど。複数のトレンドとやりたかったことを集約させた領域ということですね。

田中:そうですね。海外でのいわゆる既存の決済手数料って、30%とか下手したら40%ぐらいかかるんですよね。一つのコンテンツを買うにも中間業者が40%手数料を取っていく。コンテンツの購入だけではなくて、海外の送金にもやっぱり同じような手数料がかかってしまっているところがサービスをネットで決済していく上で非常に阻害になっている。その中でビットコインとブロックチェーンの技術に出会いました。これ自体が国境を越えた価値の交換手段になり得ていくんじゃないかなっていう可能性を感じたのが一番最初のきっかけです。

唐澤:なるほど。となるとフィナンシェもグローバル展開を視野に入れているんですか。

田中:おっしゃる通り、元々フィナンシェというサービス自体は、グローバルに個人やクリエイターの価値を応援していくっていうところで、今の我々のミッションも「10億人の自己実現を応援するプラットフォームになる」っていうところは変わってないんです。ただ、グローバルでサービスをするためには、どうやってグローバルにマーケティングしていくのかとか、それはそれで非常に大きなハードルがある。まずは日本国内でしっかりと実績を作り、我々の提供するサービスの価値を証明したい。その第一手段として日本でやったっていうのもあります。(中略)

唐澤:「好き」とかファンみたいなものもそうですし、冒頭で「コミュニケーションを滑らかにする」っていう表現は私もすごくおっしゃる通りだなと思ったんですけど、日本に閉じた話ではなくて、グローバル共通のニーズなんですね。

田中:そうですね。日本国内だけを見ても、いわゆる情報っていうのはもうTwitterとかFacebook、あとはいろんなブログでもみなさんやり取りはしてると思います。

いわゆる価値、今ですと通貨ですよね、通貨のやり取りだと銀行が担っている部分って非常に大きいと思うんですけども、その中でやり取りするのが今の基本的なデフォルトだとすると、例えばビジネスのお金のやり取りも本当だったらリアルタイムにやり取りできるところがベースだと思うんです。

でも振り込みの手順の問題で月1回やり取りをするとか。給与もそうですよね。月1回のそのタイミングじゃないともらえない。どうしてもそこがトランザクションのボトルネックになっているのを当たり前のように感じてたと思うんですよ。そこをもうちょっと考え方を変える。最終的な話にはなるんですけど、もっともっと自分の持っているスキルとか価値が滑らかにできるんじゃないかなと思っていたのが原点ではありますね。

次につづく:クラファン2.0の価値とは何か/フィナンシェ田中 × ACV唐澤・村上(2)

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