エンタメの次は食、地域通貨を循環させる方法は?/フィナンシェ田中 × ACV唐澤・村上(3)

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

今回のゲストはフィナンシェ取締役COO・CMO、田中隆一さんにご登場いただきます。

フィナンシェは、ブロックチェーン・トークンを使ったクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を提供するスタートアップです。創業時からこのプロジェクトを牽引し、南葛SCなどをはじめ話題のスポーツプロジェクトを数多く手がけたことでも知られる田中隆一さんにお話を伺いました。5回連続でポッドキャストから一部をテキストにしてお送りします。

ポッドキャストで語られたこと

  • スキルや価値が滑らかになる世界を求めて
  • クラファン2.0の価値とは何か
  • エンタメの次は食、地域通貨を循環させる方法は?
  • 成功体験、どう作る?
  • フィナンシェで価格が乱高下しない理由

唐澤:200ぐらいあるプロジェクトの中でスポーツやエンタメの数が多いなと思うのですが、今後こういうプロジェクトが出てくるとフィナンシェさんにとっても世の中的にもいいんだよねみたいなジャンルはありますか?

田中:そういった意味で注目して取り組んでいる内の一つが地域とその食です。大きな可能性を秘めてるかなと思ってまして。まず地域に関して言えば、日本全体で人口が減っている中で地方の衰退を地方自体が何かしら解決していかなきゃいけない。その地方に住んでいる人だけのコミュニティだと、どうしても限界になってきてると思うんですよ。

でも、例えばその地域に元々関係のあった人が都心にいたり、その地域のことが気になってる人もいますし、1回そこへ旅行に行った人たちがその地域のことを好きになるかもしれないっていうような関係者人口を集めようと。

(中略)食って今までは大量生産の中で商品が作られてきて、それはそれで大事な供給元だと思うんですが、一方でクラフトマンというか、その地方にしかない食の文化とか食材とかがあって、そこにその物があるからというファンも多いと思うんですよね。(中略)

唐澤:(中略)地域通貨議論で毎回話題になるのが流動性の問題だと思うんですよ。その地域でしか使えないのは、ある意味メリットでもありデメリットでもある。(中略)そういったところの仕組み的な部分も含めてどうお考えですか?

田中:まず一つは、その地域じゃない人たちがなぜその地域の経済圏に入っていくか。さっきも話したように、そこの出身の方たちもいると思うんですけど、それよりもやっぱりこの物が好きで、それがそこにあるからその地域を大切にしたいという方が自然だと思うんですよね。スポーツチームもそうですし、食とかもそうですし、観光とか場とかもそうだと思うんです。

そういったコアな人たちを繋ぐには、地域というのはあくまで概念だけなので、食というコンテンツがあって初めて出来上がるものかなというのが一つ。

地域通貨はどうしてもその中で流通させることが目的になっていると思うので、じゃあ外の人たちはどうやってその物を持って、かつ持っていることで別に行かなくても何かしら貢献してるというところでいくと、僕らの仕組みって持ってる人が増えれば増えるほどトークンの価値が上がっていく。どちらかというとインセンティブの仕組みにも近いかなと思っています。

なので、決済でそれを回してこうっていうのはその次かなと思ってはいるんですよね。(中略)僕らとしては(中略)ちょっと地域通貨とは概念が違うかなと思います。

唐澤:地域って言った時に、ある程度ターゲットを決めていく方がファンを作りやすくなることに繋がるかもしれないですね。ファンダムみたいなものを作ろうと思った時に中心になるコンテンツやストーリーみたいなものがないと結構きついじゃないですか。

田中:そうなんですよ。みなさんざっくりと、「この地域にはこれがあるし自然もあるし」と感じているところを、それってみんな思ってるわけで、その地域の人たちは思ってるけど、外の人たちも「これだよね、これがあるからやっぱりここの地域に行きたくなるよね」みたいな、そういったものを作っていくのでもいいと思う。作ってるところもたくさんあると思うんですけど、最終的にそこに帰っていくという考え方でいいと思っています。

唐澤:かつ、価値が変動するっていう、ここですよね。円と何が違うのみたいになった時に、その地域に注目があって、そこに人を集め続けるインセンティブ設計みたいなところがすごく重要かなと思います。

次につづく:成功体験、どう作る?/フィナンシェ田中 × ACV唐澤・村上(4)

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