元エヌ・アイ・エフの中村忠嗣氏ら、大阪で「LIGHT UP VENTURES」を本格始動——西日本のシードスタートアップに特化

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「QUINTBRIDGE」に入居した LIGHT UP VENTURES の 中村忠嗣氏
Image credit: Light Up Ventures

LIGHT UP VENTURES は、エヌ・アイ・エフ SMBC ベンチャーズ(現、大和企業投資、SMBC ベンチャーキャピタル)出身の中村忠嗣氏によって立ち上げられたスタートアップファンドだ。同社は今週、開業1周年を迎えた大阪・京橋にある NTT 西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」に入居し、本格的な投資活動を始めた。同施設に入居するベンチャーキャピタルとしては、今のところ唯一だという。

1号目となるファンドは10億円規模で、まもなくファイナルクローズを迎える模様だ。リミテッドパートナー(LP)には、適格機関投資家としてインキュベイトファンド、山本正喜氏(Chatwork 代表取締役社長 CEO)、千葉功太郎氏(千葉道場ファンド代表)、村口和孝氏(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表)のほか、地銀系 VC、アルゴリズムソリューション大手、広告代理店などが名前を連ねる。NTT 西日本や大阪産業局などとも連携し、シードスタートアップの発掘と投資を行う。

LIGHT UP VENTURES が対象とするのは、西日本のシードスタートアップだ。富士川以西とか、箱根の関より西とか、厳密な定義があるわけではないが、創薬など、いわゆる足の長い案件を除き、特定のバーティカルにとらわれることなく、シードスタートアップに投資していくという。すでに3社に投資を実行していて、うち2社については明らかになっている。一つは、香川・高松に拠点を置く FISTBUMP、もう一つは京都・京丹後に拠点を置くながすな繭だ。

2016年創業の FISTBUMP は、法律事務所向け事件管理 SaaS「クラウドバランス」を開発している。昨年には、かがさき起業家オーディション アイデアシーズ賞、徳島ニュービジネス支援賞2022 DX プラン賞を受賞した。ながすな繭は、シルク産業が盛んな京都府北部で、蚕の繭からセリシンやフィブロインといった絹タンパク質を抽出し、さまざまな製品への応用を図る創業20年目の化学系企業だ。大手総合化学メーカー大手 UBE(東証:4208)などから出資を受けていて、今月には、J-Startup 2023 に採択された。

中村氏はこれまでに、エヌ・アイ・エフ SMBC ベンチャーズ在籍時を経て累計で30社に投資を実行、このうち、4社がIPO、6社が M&A でイグジットを果たしている。著名な投資先(当時)には、広告取引監視サービスを開発した Momentum(2017年、KDDI 傘下の Syn. ホールディングスが買収)などがある。中村氏と共に業務に従事する足立吉弘氏は、日本アジア投資在籍時や独立後のファンドを経て累計6社に投資を実行、このうち1社が IPO、1社が M&A でイグジットを果たしている。

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