
Microsoftは7日、政府機関向けの新しい「Azure OpenAI Service」を発表した。そして8日、Microsoft は、ジェネレーティブ AI を安全、責任、そしてセキュアに組織に連携しようとする顧客に対して、新しい3つのコミットメントを発表した。
それぞれ、AI の主流化に向けた Microsoft の旅が継続的に前進し、その AI ソリューションとアプローチが信頼できるものであることをビジネス顧客に保証することを意味している。
あらゆるレベルの官公庁に対応したジェネレーティブ AI
地方、州、連邦レベルの政府機関や市民サービスに携わる人々は、有権者、請負業者、イニシアチブに関するデータなど、どうしたらいいかわからないほどの多くのデータに悩まされるいる。
ジェネレーティブ AI は、非常に大きなチャンスをもたらすように感じる。政府職員は膨大な量のデータをより迅速に、自然言語によるクエリやコマンドを使用して、データ検索や情報検索の不便な旧来の方法とは異なる方法で検索できるようになるのだ。
しかし、政府機関は通常、データやタスクに適用できるテクノロジーに非常に厳しい要件を持っている。Microsoft Azure Government は、Bloomberg が新しい Azure OpenAI Services for Government のニュースを報じたときに指摘したとおり、すでにアメリカ国防総省、エネルギー省、NASAと連携している。
Microsoft の戦略的ミッションおよびテクノロジー担当 CTO Bill Chappell 氏は、この新しいツールを発表したブログ記事で、次のように書いた。
政府機関のお客様向けに、Microsoft は商用環境の大規模言語モデルに Azure Government から安全にアクセスできる新しいアーキテクチャを開発し、ユーザーは政府クラウド運用に必要な厳しいセキュリティ要件を維持できます。

具体的に発表したのは「Azure OpenAI Service REST API」だ。この API は、政府の顧客が新しいアプリケーションを構築したり、既存のアプリケーションを OpenAI の GPT-4、GPT-3、Embeddings に接続することを可能にするものだ。Microsoft は、政府機関の顧客が暗号化されたトランスポートレイヤーセキュリティ(TLS)「Azure Backbone」を介して OpenAI の API に安全に接続できるようになる。
ブログ記事には、次のように投稿されている。
このトラフィックは完全に Microsoft のグローバルネットワークバックボーン内にとどまり、公共のインターネットに入ることはありません。あなたのデータが OpenAI モデルのトレーニングに使われることはありません(あなたのデータはあなたのデータです)。
顧客に向けた新たなコミットメント
Microsoft は8日、同社がジェネレーティブ AI 製品およびサービスの開発にどのように取り組むかについて、すべての顧客に対する3つのコミットメントを発表した。
- 責任を持って AI を開発・導入するための学びを共有する
- AI 保証プログラムの作成
- 顧客自身が責任を持って AIシ ステムを導入することをサポートする
最初のコミットメントの一環として、Microsoft は、責任あるAI基準、AI影響評価テンプレート、AI 影響評価ガイド、透明性ノート、責任ある AI 導入に関する詳細な入門書などの主要文書を公開すると述べた。さらに、Microsoft は、責任ある AI の実践について自社の従業員を訓練するために使用されるカリキュラムを共有する予定だ。
2つ目のコミットメントは、「AI Assurance Program」の創設に焦点を当てている。このプログラムは、顧客が Microsoft のプラットフォーム上に展開するAIアプリケーションが、責任ある AI に関する法律や規制の要件に準拠していることを保証するためのものだ。このプログラムには、規制当局のエンゲージメント支援、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が発表した AI リスク管理フレームワークの実装、フィードバックのための顧客協議会、規制当局のアドボカシーといった要素が含まれる。
最後に、Microsoft は、顧客が自社の AI システムを責任を持って導入する際のサポートを提供する。同社は、責任あるAIガバナンスシステムを導入する企業を支援するため、世界各地の地域に AI 法務・規制の専門チームを設立する予定だ。また、Microsoft は、PwC や EY などのパートナーと協力し、彼らの専門知識を活用し、顧客が独自の責任あるAIシステムを導入する際にサポートする。
Microsoft と AI に渦巻く広い文脈
これらのコミットメントは、責任あるAI利用を促進するための Microsoft の取り組みの始まりを意味するが、同社は、テクノロジーと規制のランドスケープが進化するにつれ、継続的な適応と改善が必要であることを認めている。
Microsoft の今回の動きは、オープンソース AIの 開発に冷ややかな影響を与える可能性があると専門家が指摘する同社の LLaMA LLM の公開をめぐり、アメリカの議員が Meta Platforms の創業者でCEO の Mark Zuckerberg 氏に質問状を送るなど、AI の悪用の可能性や責任ある AI 実践の必要性を巡る懸念を受けてのものだ。
このニュースは、Microsoft がソフトウェア開発者向けに開催した年次カンファレンス「Build」で、Google や Amazonが 提供するクラウド分析サービスに Microsoft を先行させようとする、クラウドユーザ向けの新しいデータ分析プラットフォーム「Fabric」を発表した直後のことだった。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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