脚本、キャスティング、撮影、編集、ポストプロダクションなど、長編の CM 動画を制作するのは必ずしも容易ではなく、多くの時間と費用がかかることが多い。Waymark は、AI で企業の CM やナレーション制作を支援するスタートアップで、この難しい作業を簡単にしてくれる。

Waymark に企業の基本情報を入力するだけで、AI が自動的に動画の編集、脚本、吹き替え、採点を行い、プロが吹き替えを担当した高品質な CM 動画が出来上がる。これら一連の面倒な作業を5分で行うことができる。Waymark によれば、CM 制作にかかる時間を94％節約できるという。

Waymark の創業者 Nathan Labenz 氏は、MarTech Series のインタビューで次のように語っている。

企業経営者は世界で最も多忙な人種であり、私は彼らがよりスマートな方法で時間を節約し、価値を創造する手助けをしたいと考えている。

彼は、企業は限られたリソースで最大の価値を生み出すことができるという考えを理解しており、Waymark を使って、企業が困難な動画制作プロセスを好転させる手助けをしたいと考えている。

なぜ CM というテーマを選んだのか？

2010年、Labenz 氏と彼の大学時代の友人 Jay Gierak 氏は、最初の起業となる、企業がプロ人材を見つけるためのプラットフォーム「Stik」を共同設立した。Stik は良い結果を達成した。プラットフォーム上のすべてのコメントが Facebook 上の実在の人物に関連付けられ、コメントの信頼性が保証されるため、200万を超えるコメントが寄せられ、数十万社がこのプラットフォームにプロ人材探しに集まった。

しかし、良い時代は永遠に続くわけではない。数年後、Facebook がいくつかのデータ制限を変更し Stik が危機に陥ったことで、Labenz 氏は中小企業は資金やリソースの不足から成長の障害に直面することが多いことに気づいた。彼は Stik の業務をこなしながら、「中小企業が、より多くの価値を創造できるように支援する」ことを目標に、他の起業について考え始めた。

2016年にはスマートテレビ広告市場が活況を呈し始め、調査会社 Statista によると、全米でスマートテレビ広告に費やされた金額は、2014年と比較してほぼ倍増した。Lavenz 氏は広告動画のトレンドに目をつけ、さまざまな分野の企業向けに手頃な価格の CM 動画テンプレートを提供するため、その年に Waymark を創業した。Lavenz 氏は、AI やアルゴリズムなどの技術トレンドを追いかけ、動画技術を最適化してきた。

今年、Waymark はアメリカの通信会社 Charter と提携し、AI広告生成技術を発表した。これにより、Waymark は AI を直接利用して企業の広告動画作成を支援できるようになった。Lavenz 氏は、AI 技術を活用すれば、企業はクリエイティブで質の高いキャンペーンを自動的に展開できるようになり、特にリソースの限られた中小企業にとっては、より大きなマーケティング効果を生み出すことができるようになると考えている。

10万社の CM 制作を支援

Waymark では、企業はブランド名、所在地、希望する声のトーン、消費者に伝えたいメッセージを入力するだけで、Waymark の AI が動画、ナレーション、音楽を含む広告動画を素早く生成する。

動画が生成されると、企業は編集インターフェースにアクセスし、画像の変更、アナウンサーの男性から女性への変更、タイミングの調整、画質の向上、スクリプトの微調整、広告コピーのタッチアップ、動画の調整を行うことができる。最初の出来上がりに満足できない場合は、新しいバージョンを生成してもらうこともできる。

しかし、Waymark のAIはどうやって CM 動画を自動生成しているのだろうか？

Waymark の CEO Alex Persky-Stern 氏は、Waymark AI が、企業名や所在地などのプロンプトに基づいて、製品画像、説明動画、ロゴなど、すべてのビジュアルを企業の Web サイトから自動的にキャプチャし、見た目にも魅力的なスクリプトとナレーションを書き始めることができると説明する。全プロセスにかかる時間はわずか5～10分だ。

Persky-Stern 氏によると、年初のローンチ以来、Waymark AI は10万社以上を集め、30万本以上の動画を制作してきたという。

彼らのクライアントのひとつである CBS 系列の KOAM Pittsburgh は、Waymarkを 通じて企業やブランドに広告を出してもらおうと努力している。Waymark はまた、企業が検討できるよう、多くの動画の例やテンプレートを Web サイトで提供している。

Waymark は現在、年間25米ドルの Digital、月間125米ドルの Pro など4つのプランを提供している。1社であれば年間25米ドルで無制限に動画制作を楽しむことができ、Pro では複数のブランドの広告を同時に制作することができる。また、よりカスタマイズされた仕上げには、エンタープライズ向けの個別見積も提供している（編注：価格は変更されている可能性がある）。

Hulu や FordDirect などと提携

Waymark は年初から、Ford のパートナー FordDirect が Ford と Lincoln のディーラーに AI 広告を無料で提供したり、全米113のローカルテレビ局を持つデジタル広告会社 Grey Television が Waymark の広告をさらに広めたりするなど、大企業とも積極的に提携している。また、OTT 大手 の Hulu や Roku と提携し、広告作成の推奨ツールに Waymark を入れてもらっている。

Waymark はシリーズ B ラウンドで、Detroit Venture Partners、Tech Startup Stabilization Fund、Revolution、NorthCoast などから460万米ドルを調達した。Lavenz 氏は、次のように語った。

ジェネレーティブ AI が高品質な広告の敷居を劇的に下げた。世界のほとんどの企業は小規模だが、高品質な映像を制作するのに十分なリソースがないという問題を解決するために、Waymark や AI 技術なら利用できる。我々は今後もジェネレーティブ AI がクリエイティビティに与える影響を探求し、Waymark の動画品質を改善し続けていく。

【via Meet Global by Business Next（数位時代） 】 @meet_startup

【原文】