金融サービス比較「Finda」が47億円、AI基盤ソフト「Moreh」が15億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(7月24日~28日)

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Image credit: Finda, Moreh

7月24日~7月28日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは13件で、資金総額は1,255.1億ウォン(約126億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • 融資仲介フィンテック企業 Finda(핀다)が470億ウォン(約47億円)を調達した。2年6ヶ月ぶりの投資で融資仲介市場の成長と成長の可能性を認めた。Finda は2016年に設立され、仲介金額は、1兆ウォンを突破した。
  • AI インフラソフトウェア Moreh(모레)が150億ウォン(約15億円)を調達した。AI 半導体やクラウドなど、インフラから AI アプリケーションサービスまで全過程を網羅する製品・サービスを提供する。今回調達した資金で AI フルスタック事業を加速化する計画だ。
  • Drimaes(드림에이스)が125億ウォン(約13億円)を調達した。2015年に設立された車両インフォテインメントソリューション企業で、現代自動車、起亜自動車、ルノーサムスン、韓国 GM など主要自動車メーカーに供給している。今回調達した資金でソリューション開発、量産集中、グローバル市場への進出を加速する計画だ。
  • Common Computer(커먼컴퓨터)が80億ウォン(約8億円)を調達した。2018年に設立されたクラウドインフラサービスで、脱中央クラウドにより AI 共有ネットワークプラットフォームを開発している。今回の戦略的調達で InBody(인바디)と協業し、AI チャットボットを高度化する予定だ。

トレンド分析

ブロックチェーンスタートアップ投資が67%下落

ブロックチェーンスタートアップは今年最も困難な時期を送っている。LUNA 事件と FTX の破産は仮想通貨市場に対する信頼を弱め、市場の低迷を加速させた。仮想通貨の暴落と全体的な景気後退により、投資家がリスクを回避したためブロックチェーン投資は急減した。

PitchBook のデータによると、今年の第1四半期の仮想通貨スタートアップへの資金調達は2020年以来最低水準に落ち、前年同期比80%減少した。最近 Sequoia Capital も景気後退に対応し、スタートアップファンドを含む仮想通貨ファンドを半分に減らした。

韓国国内もブロックチェーン分野への投資減少傾向は毎年続いている。2022年のブロックチェーン企業が調達した金額は2,611億ウォン(約260億円)で、2021年比24%減少した。今年第1四半期に調達した資金は合計635億ウォン(約64億円)で、昨年同期比67%下落した。7月までに902億ウォン(約90億円)が関連スタートアップに流入しているが、現在と同じ投資速度が続くと、昨年より集まる資金が少ないものと予想される。

ただし、第2四半期から投資規模が多少上昇し、最悪のシナリオは避けることができると見込まれる。また、投資家は依然としてコア技術を保有している企業に関心を示しており、追加の資金調達も可能と思われる。

上半期にはWeb3ゲームプラットフォームを中心にメインネット開発、オンチェーンデータ分析スタートアップなどインフラ企業に資金が集まった。これらはグローバルを目指して海外投資会社、大企業から資金調達に成功している。

最も多くの資金を調達したのは、Story Protocol(스토리프로토콜)だ。Web3エコシステムでIP を生成し、ライセンスを管理、新しく構成できる「Story Lego Ecosystem(스토리 레고 생태계)」を形成し、クリエイターが所有権とインセンティブを持ち、さまざまなストーリーを生成する方法を提供するという目標を持っている。

ブロックチェーンメインネットを作る SuperBlock(슈퍼블록)も90億ウォン(約9億円)を調達した。同社は、軽量ノード構造で脱中央化メインネットを開発、誰でも簡単に使えるブロックチェーンエコシステムを作ることを目指している。

分散型クラウドプラットフォームを開発するCommon Computer(커먼컴퓨터) も70億ウォン(約7億円)を調達し、AI 開発エコシステムの底辺をグローバル市場に拡張していく資金を調達した。

オンチェーンデータ分析「CryptQuant(크립토퀀트) 」を運営する Team Blackbird(팀블랙버드)は85億ウォン(約8.5億円)を調達した。仮想資産ウォレット識別技術を通じて200カ国以上にサービスを提供しており、暗号データは主要なグローバルメディアなどに利用されており、信頼性の高い会社として注目されている。

そのほか、初期投資で仮想資産取引所、ブロックチェーンコミュニティ、AI 仮想資産運用会社など新しいサービスは引き続き登場している。

グローバル景気の低迷に伴い、仮想通貨の暴落、ブロックチェーン技術商用化の減速など、さまざまな理由でブロックチェーンのスタートアップ投資は下落しているが、ブロックチェーン技術は、仲介者無しで透明性・効率性を向上させられるるなど技術の可能性は依然として有効だ。市場がいつ回復するかわからないが、市場にはすでに十分な仮想通貨ファンドが存在し、技術の可能性に対する投資家の希望が維持されているため、市場をただ悲観的に評価する理由はないと見られる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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