TencentやAlibabaが新LLM投入、Baiduが自動車メーカーに生成AI提供など——中国スタートアップシーン週間振り返り(7月31日~8月4日)

SHARE:
GitHub 上に公開された Alibaba(阿里巴巴)の LLM「Qwen-7B」
Image credit: Alibaba, GitHub

本稿は、Technode(動点科技)が、7月31日〜8月4日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

Tencent(騰訊)、AI モデルのベータテストを開始(8月4日)

現地メディア 36Kr(36気)によると、「WeChat(微信)」のオーナーである Tencent(騰訊)は、自社開発の AI 大規模モデル「Hunyuan(混元)」のベータテストをついに開始した。この動きは、同じ中国のテック大手 Alibaba(阿里巴巴)と Baidu(百度)が独自の AI 製品のベータテストを開始してから数ヶ月後のことである。

36Kr の報道によると、Tencent の複数の従業員が、ボットとのチャットやテキストから画像への変換、Web ページやミニプログラム(小程序)のコンテンツ作成まで、AI 主導の機能を体験できるようになったと語っているという。この報道はさらに、Tencent がジェネレーティブ AI モデルをさまざまななビジネスに連携していると述べている。36気

Alibaba(阿里巴巴)、70億パラメータを持つ2つの大規模モデルをオープンソース化(8月4日)

3日、Alibaba(阿里巴巴)のクラウド・コンピューティング部門は、中国のテック大手としては初めて、同社の大規模言語モデル「Tongyi Qianwen(通義千問)」をベースとした2つの AI モデルのソースを公開した。この動きは、オープンソースの大規模モデルをめぐる世界的な競争をさらに激化させると予想される。「Qwen-7B」と「Qwen-7B-Chat」の2つの公開共有モデルは、いずれも4月に発表された Tongyi Qianwen の小型版である。

Alibaba Cloud Intelligence(阿里雲智能)の CTO Jingren Zhou(周靖人)は、より多くの開発者がジェネレーティブ AI のメリットを享受できるようにすることと、オープンソースコミュニティの繁栄を支援することが目的だと述べた。それぞれ70億のパラメータを備えた2つのジェネレーティブ AI モデルは、現在、世界中の学者、研究者、月間アクティブユーザ数が1億人未満の営利団体が自由にアクセスできる。これらは、Alibaba のAI モデルコミュニティや、アメリカを拠点とする共同 AI プラットフォーム「Hugging Face」を通じてアクセスすることができる。動点科技

WeChat(微信)が「RED/Xiaohongshu(小紅書)」風の表示モードをベータテスト(8月3日)

Tencent(騰訊)のスーパーアプリ「WeChat(微信)」が、ライフスタイル共有プラットフォーム「RED/Xiaohongshu(小紅書)」に似た表示モードをテストしている。この動きは、潜在的な読者を獲得したいコンテンツ制作者にとってはチャネルの多様化につながるが、WeChat に近い情報筋は地元メディア The Paper(澎湃) に対し、これは新機能ではなく「ごく小規模のベータ版」であり、TikTok のような WeChat Channels 動画オサービスの拡張機能だと語っている。

この情報源はまた、この機能は WeChat Channels ルの短編動画クリエイターがより簡単にビジュアルコンテンツを公開できるようにすることを意図しており、同時にユーザがそのような投稿にアクセスする効率を向上させることも意図していると付け加えた。澎湃

Baidu(百度)、Great Wall(長城)と Geely(吉利)の自動車にジェネレーティブ AI ツール提供へ(8月2日)

Baidu Apollo(百度阿波羅)は2日、自動車メーカーの Great Wall(長城)とインテリジェントドライビング企業 Ecarx(億咖通)が、大規模言語モデル(LLM)「ERNIE(文心)」に裏打ちされたインテリジェントキャビン技術の最初のアプリケーション探索パートナーとなったと発表した。

発表によると、Great Wall と Baidu は、インテリジェントな車内インタラクションにおける LLM の応用を探求するために協力しており、すでに量産車モデルに組み込まれる複数の革新的な機能を検証している。

2023年4月に開催された上海モーターショーでは、中国検索大手 Baidu(百度)の自動運転ソリューションプラットフォームBaidu Apollo が、ERNIE で開発された移動計画、知識 Q&A、AI 描画など、車載シナリオ向けのさまざまなインテリジェント運転技術を実演した。IT 之家

Meituan(美団)、AI ロボット開発に注力する会社を設立(8月1日)

企業データベース「Qichacha(企査査)」によると、フードデリバリ大手 Meituan(美団)は最近、中国南西部の主要都市である成都に、AI ロボットの開発をターゲットとした新会社を設立した。

Qichacha によると、この新会社には、Meituan の子会社が間接的に100%出資しているという。この新会社は、ここ2ヶ月の間にMeituan が設立した十数社のテック関連企業のうちの最新のものであるが、Meituan はこの動きについて公式な声明を発表していない。企査査

Alibaba DAMO Academy(阿里巴巴達摩院)、動画追跡 AI フレームワーク「HQTrack」を発表(8月1日)

Alibaba DAMO Academy(阿里巴巴達摩院)は、大連理工大学と共同で AI フレームワーク「HQTrack」を発表した。公式の紹介によると、このフレームワークは VMOS(Video Multi-Object Segmentation)モジュール と MR(Mask Refinement)モジュールで構成され、「動画内のあらゆる物体の高品質な追跡」を目指している。

研究チームによると、オープンソースのフレームワーク「DeAOT」と「HQ-SAM」をベースに構築された HQTrack は、「動画内の複数のオブジェクトのセグメンテーション」を可能にするためにさらに改良されているという。この AI フレームワークは、顔認識、インテリジェント運転、監視追跡など様々な分野に応用できると研究チームは付け加えた。IT 之家

Geely(吉利)、自動車業界初の大規模言語モデルをリリースへ(8月1日)

中国の自動車メーカー Geely(吉利)の Gan Jiayue(桂生悦)氏は7月31日の社内会議で、同社が大規模言語モデル(LLM)を開発し、2023年後半にリリースする計画であることを明らかにした。Geely によると、LLM は自動車業界のあらゆるシナリオに対応する初の大規模モデルになる見込みだという。

この新しい AI モデルは、車両と車外の音声対話(VOVI)などの自動運転機能や、子どもの絵本の読み聞かせや音楽ビデオの再生などのエンターテインメント機能をサポートする。この AI モデルはすでに、9月に発売される Geely の次期モデル「Geely Galaxy L6(吉利銀河 L6)」に搭載されている。財联社

中国政府、テック大手各社にスタートアップ投資の紹介を要請(7月31日)

中国当局は、Tencent(騰訊)や Meituan(美団)といった国内最大のテック企業に対し、消費者、通信、メディア企業への新興企業投資で成功した事例を提供するよう要請した。Bloomberg が7月27日に報じたところによると、これは、2年前に規制当局による取り締まりがあった後、テック大手による、こうしたプロジェクトへの支援を認めるという新たな柔軟性を示している。中国商務部と NDRC(国家発展改革委員会)が、この要請を行ったという。

以前、ロボット産業や半導体産業への投資についてケーススタディが求められ、その後、NDRC は WeChat(微信)の公式アカウントに珍しく謝辞を掲載し、Tencent(騰訊)や Meituan(美団)による投資が中国の国家目標に沿ったものであることを強調した。中国は最近、Tencent(騰訊)や Ant Group(螞蟻集団)に対する規制当局の調査を打ち切るなど、民間セクターへの信頼を回復するための措置を講じている。Bloomberg

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する